あらすじ
いままでにない、湿原のすべてがわかる本! 湿原は多くの生き物を育むだけでなく、未来の地球環境をも左右しうる重要な機能を備えた水と炭素の貯蔵源です。他の場所では生きづらい動植物を育み、保水機能によって洪水被害を軽減し、膨大な炭素を泥炭として抱え込んで人間の生活と地球環境を支えている湿原。そんな湿原について、その形成過程から動植物相、直面している問題、そして保全・復元の展望までを楽しく解説しました。
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Posted by ブクログ
作者の露崎史郎先生は、北海道大学大学院地球環境科学研究所に所属しており、専門は植物生態学、および環境保全学。と紹介されている。
この本は湿原について書かれているが、決してそれだけに関わるものではないということが、この肩書きからも見て取れる。湿原は周囲の環境と密接に繋がりがあり、植物や生物に影響を与え続けているからだ。
湿原は、経済的に生産性のないものとして見られる傾向がある。
北海道にはミズゴケ湿原が多い。泥炭があるのが特徴で、モール温泉や、珍しいところでは豊富町の石油が混じったモール温泉がある。そうした恩恵も受けているのだが。
昨今では太陽光発電が湿原を脅かしている。釧路の大楽毛(おたのしけ)の馬主来(ぱしゅくる)沼湿原ではキタサンショウウオという絶滅危惧種がいるのだが、あろうことがそのすぐそばまで太陽光発電の計画があるという。他にも釧路にある湿原で、各地で見直しを求める声が上がっている。
サロベツでの風力発電も問題視されている。オオワシやオジロワシなどの渡りのルートになっているため、風車に巻き込まれてしまうことが問題だが、土台を埋めると、その周囲に外来種の植物が繁茂するという環境破壊の問題もある。
果たして自然エネルギーを得るために構造物を作ることがエコなのか、よく考えなくてはならない時期に来ているようだ。
湿原は水と炭素の貯蔵庫で、多くの動植物の棲家であり、川や山林、海に至るまで、全ての環境は繋がっているのだということを心したい。
なお、専門的な調査やデータに関しては、素人なのでよく理解していない。認識できるのはミズゴケ、ヤチボウズ、泥炭くらいなので、そこは申し訳ないが、記録は面白く読めた。