あらすじ
「話を聞いてないよね」
一度でもそう言われたことのある人は必読!
聴力に問題がなくてもなぜか話を聞き取れない、「LiD(聞き取り困難症)」の
大規模当事者アンケートを収録!
第一線で研究を続けてきた著者の「簡単問診票」と
リアルなお困りごととその対策を詰め込みました!
〈問診票の一部はこちら〉
□周囲の雑音や声や様子など、色々なことが気になってそわそわしてしまい、会話に集中できないことがある
□仕事や勉強や作業や遊びなどに集中していると、呼ばれていることに気づかない時がある
□話を聞きながらメモをとる、ということが難しく、話を聞くときはメモはとらず、聞くことだけに集中している
□馴染みのない単語や、自己紹介や電話口の人の名前がうまく聞き取れない
□誰かの話を聞いているときに集中力が続かなくて、なぜかぼんやりしてしまったり、気づいたときには話題が変わっていることがある
問診票は全16問! 3つ以上当てはまったらLiDかも…?
〈お役立ち困りごと対策も多数!〉
・ノイズキャンセリング機能が役立つ!?
・『3分クッキング』を書きとる訓練がある!
・実は漢方が役立つことも
・テレビは字幕で解決!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
私は聞き取り困難症ではなく軽度の感音性難聴と診断されていますが、同じようなことで困っているので、参考になればと読みました。
当事者が実際に行なっている対策も載っているので、大変参考になりました。
Posted by ブクログ
聞き取り困難症(LID)について書かれていて、初めて知りました。
この症状を抱えている人は100人に1人はいるのではないかといわれているとのこと。
騒がしい場所だと話が聞き取れない、突然話かけられると話を聞き逃してしまう、長い話になると最初の話を忘れてしまう等、誰でもありそうな症状もあるので見逃されてきた実態があるとのこと。
症状の理由、対策、チェックリスト等も参考になりました。
Posted by ブクログ
聞いてるつもりなのに
「話聞いてた?」と言われたら読む本
著者:阪本浩一
発行:2025年3月10日
飛鳥新社
聴力には問題ないのに、人が何を喋っているのか聞き取れない。そんな話が新聞記事にてちょくちょくお目にかかるようになってきた。LiD(聞き取り困難症)というそうで、日本ではAPD(聴覚情報処理障害)と呼ばれていたが、最近は国際基準に合わせてLiDというとのこと。ただし、今でもそのどちらも知らない医師すら結構いるという。著者はもちろんその第一人者だとは思うが、著者ですら、2009年に兵庫県立こども病院に部長で勤めるようになって、患者の母親からAPDじゃないでしょうか、と相談を受けて初めてその言葉を知ったという。
LiD=聞き取り困難症、Listening Difficulties
APD=聴覚情報処理障害、Auditory Processing Disorder
*現在では国際的基準に合わせて前者で呼ばれる
潜在的に症状を抱えている人は100人に1の割合とも言われる
・ガヤガヤした飲食点などで、会話が聞き取れない
・電話での聞き取りができない
・会議など話が長いと、聞き間違いが多い
など、深刻な話である。
研究途上ではあるが、原因の多くを占めるのは、生まれ持った脳の特性だと考えられ、脳が持つ認知機能の偏り、つまりクセと考える。心因性でない場合は治療法がなく、一方で進行性もない(加齢により耳が遠くなることはある)。しかし、対策はあり、後半はそれについて書いている。
例えば、聴覚情報処理障害であることを示すコアラをモチーフにしたマークが作られていて、普及を図っているようでもある。買い物や街中など、これをつけていると相手が気遣う、というパターンだけど、そのためにはこうした症状が周知、理解される必要が不可欠でもある。
専門医によるちゃんとしたアドバイス(解決策、対策)が並ぶが、ちょっと笑うものもある。例えば、大勢の人が喋ったり、音楽がなったりする飲食店などで、仲間内の会話がバックにまぎれて聞こえない、という人が多いそうだけれど、その場合、宴会の幹事は自分で引き受けて、なるべく静かな店、壁際、個室を探して予約せよ、などというアドバイスがあったりする。まあ、その通りではあるけど(^o^)
ノイズキャンセリングイヤホンを使うのも一手だとするが、見た目には仕事中なのに音楽を聞いているのかと不快に思う人がいるので、これもやはり社会への周知と人々の理解が不可欠である。
授業や会議においては、補助器である「ロジャー」を話し手に使ってもらうことも紹介している。送信機(マイク)を首から提げてもらって話して貰う。なお、補聴器は他の音まで大きく聞こえてしまうので意味がない。
締めくくりとして「EQ」の高さを上げる。「IQ」は知能指数、こちらは「相手や情況を思いやり、察する心」で、EQS(情動知能スケール)の測定もできる。
①自分の今の気持ちをとらえる「自己対応」
②他者と良好な関係を築き、維持するために必要とされる「他人対応」
③その場にいる人の立場や状況を判断する「状況対応」
これらができれば、仮に聞き取りが難しい状況であっても落ち込むのではなく、柔軟に対応できる。
「ちゃんと話を聞いてる?」と指摘されたときでも腹を立てずに状況を素直に受けとめることができる。
いや、このEQは周囲の者にこそ求められるものなのだろう、心したいと感じた。
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聞こえにくい情況の4パターン
①言葉が虫食い状態で聞こえる
・単音や単語、ワンフレーズが抜け落ちる
・語尾だけ聞き取れるが・・・
・目の前の人の声より周囲の音がクローズアップして聞こえる
・電話の声は虫食い状態で聞こえる
・重要な部分ほど穴抜けになる
②頭の中で音がミックスされる
・全ての音や声が重なる
・雑音と人の声が渾然一体に
・どうでもいい音は聞こえるのに、会話相手の声が拾えない
・物音で聞きたい人の声がかき消される
③言葉として頭に残らない、認識できない
・音としては認識するが、単語としてCOCOE内。
・長い文章を区切り話されると、内容が全て記憶からこぼれ落ちる
・宇宙語のように聞こえる・・・など
④母音と子音が認識できずに聞き間違える
・「び」と「り」が同じに聞こえる、「加藤」が「佐藤」聞こえるなど
・大きい音に耳のピントがあう、「機械室」を「控え室」に聞き間違う
・子音や「さ行」、「しゃ・しゅ・しょ」だけ聞こえる
・「ひ」と「し」が同じに聞こえる
カクテルパーティー効果
ガヤガヤしたパーティー会場でも、どんなにうるさい場所でも、自分が興味のある言葉なら無意識のうちに聞き取れる現象
ウェルニッケ野
言語を理解する処理をしてくれる脳の部分
・ガヤガヤした飲食点などで、会話が聞き取れない
・電話での聞き取りができない
・会議など話が長いと、聞き間違いが多い
聞き取りに必要とされる脳の働き
(一つでも不足すると聞き取り力が落ちる)
①注意力・集中力
②語彙力
③ワーキングメモリ(作業記憶)
④推測力
⑤覚醒基準(頭ぼんやりでなく覚醒している状態)
*聞き取りを左右するのが①と③
注意力は4つに分類される
①「選択的注意」:複数の音が発生したときでも、特定の音を聞き分ける能力
②「持続的注意」:注意を集中し、その状態を維持させる力=集中力
③「分配的注意」:同時にいくつかのことに注意を向けること
④「注意の転換」:注意を向けているときにほかのことに気が付き、注意の鉾先を切り替える力
LiD当事者で発達障害と診断された人は2割強から3割、グレーゾーンが4割。
発達障害とは、脳の認知機能に特性や偏りがあるため、生活に問題が生じた状況を指す。
・ADHD(注意欠如/多動症):聞こえの問題として、話しかけられても気づかない、長い話を集中してきけない、人の話の途中で他のことに気を取られる・・・など
・ASD(自閉スペクトラム症):コミュニケーション障害、社会的なやりとり苦手、こだわりの強い行動、聞こえではニュアンスの変化などが理解できず、同音異義語理解が困難、関心がないことに注意が向かない
・LD(学習障害):知的障害とは違い、「聞く、話す、読む、書く、計算するまたは推論する」といった学習に必要な能力の習得に時間がかかる状態。「限局性学習障害」と言う。ディスクレシア(文字の読み書きが困難)、音韻認識が弱い(言葉を音として認識・理解する力が弱い)人も
現在、LiDを疑い病院を訪ねる人は20代女性が多い。ADHDやASD(グレーゾーン含む)でも、女性の場合は多動やかんしゃくを起こすことは少なく、不注意ぐらいしか目立たない。そのため発達の問題が見過ごされやすい。社会人になって聞き取りに問題があり、仕事での失敗が増えて病院を訪れることになる。
人間の集中力はそんなに長く続かない。LiDの人は、聞くことにエネルギーを消費しているので、脳は疲れやすく、話を聞いている途中に強烈な眠気に襲われることがある。
漢方薬は意外と効くかもしれない。
その一つ、抑肝散(よくかんさん)は、疳の虫(かんしゃく)を抑える作用があるとされ、小児科で処方される。五臓(肝、心、脾、肺、腎)のうち、耳の聞こえに関わる「肝」の高ぶりを抑えて、イライラを落ち着かせたり、リラックスさせたりする働きがある。
加味帰脾湯(かみひとう)は幸せホルモン「オキシトン」を出す神経を活性化させる。
五苓散(ごれいさん)は天気の悪い日は気圧などが不安定になり、体調を崩す人がいるが、この薬は内耳の血流をよくし、体内の水分バランスを整えることで自律神経の乱れを整え、めまいや耳鳴りなどを抑えて聞き取りを助ける。