【感想・ネタバレ】子どもという価値 少子化時代の女性の心理のレビュー

あらすじ

1990年代以降、少子化は社会的問題としてさまざまな議論を呼んできた。
しかしそこには、少子化が出産・結婚をめぐる女性の心理の問題であるという認識が欠けている。
日本では「親子は一心同体」とその絆を強調されるが、そうした考え方もいまや普遍的とは言えず、変化してきている。
現在「子どもをもつ」とはどういう意味があると考えられているのか。
少子化を心の問題として捉える人口心理学を提唱、その視点から考える。

■□■目次■□■

1章 「子どもの価値」展望―子どもの価値の古今東西
2章 人類初の人口革命―子どもの命と親の愛情の変質
3章 「なぜ子どもを産むか」―「つくる」時代の子どもの価値
4章 人口革命下の女性の生活と心の変化―子どもの価値・産む理由の変化の背景
5章 子どもを〈つくる〉時代の問題

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Posted by ブクログ

ネタバレ

[ 内容 ]
90年代以降、少子化は社会的問題としてさまざまな議論を呼んできた。
しかしそこには、少子化が出産・結婚をめぐる女性の心理の問題であるという認識が欠けている。
日本では「親子は一心同体」とその絆を強調されるが、そうした考え方もいまや普遍的とは言えず、変化してきている。
現在「子どもをもつ」とはどういう意味があると考えられているのか。
少子化を心の問題として捉える人口心理学を提唱、その視点から考える。

[ 目次 ]
1章 「子どもの価値」展望―子どもの価値の古今東西
2章 人類初の人口革命―子どもの命と親の愛情の変質
3章 「なぜ子どもを産むか」―「つくる」時代の子どもの価値
4章 人口革命下の女性の生活と心の変化―子どもの価値・産む理由の変化の背景
5章 子どもを“つくる”時代の問題

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[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2011年03月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いやー、とても興味深い。
特に男性は子どもって結婚したらそりゃ産むもんだろ、という感じの人多いと思うけど、子ども産むか産まないかというのは女性の心の問題に密接に関わってるっていう、言われてみれば当たり前のことを恥ずかしながら認識した。

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●いまの日本では子どもの価値というのは当たり前に認められている。親はお金をかけて子どもに良い教育を受けさせようとする。子どもが生まれたら夫婦2人の時間より子どもが優先されるようになる。
でもこんな価値観は実は現代の日本だけ。歴史的にみても子供に投資するようになったのは最近になってから。現代の欧米でも、子どもは親とは違う人格を持った個人として見なされるし子どもが生まれても夫婦中心の生活。
ということで、親にとっての子どもの価値は普遍的なものではなく社会によって規定されるもの。

●少子という結果は昔も今も変わらない。過程が違うだけ。昔は多産多死少子。今は少産少死少子。
子どもが死ななくなったから「子どもを作る」という発想が出てきた。これは大転換となった。
子どもを作るかどうかを選択することができるようになったから、現代の夫婦は子どもを持つことのメリデメをリストアップして検討することができるようになった。昔は不可抗力でできていたので、デメリットなんて考える余地がなかった。
子どもを授かる発想だった時代には、どうしようもなく受け入れるしかなかったマイナス価値がにわかに意識化し出した。

●産む性である女性が自分の命の危険をかけて出産し、さらに育児を引き受けてきたという立場への配慮はこれまで乏しかった。リプロダクティブライツの視点から、それがようやく個人の幸福や心に関わる問題と捉えられるようになった。こうした観点抜きで少子化とか子ども作るかどうかとかの議論はすべきでない。

●膨大な家事量や人生における相対的な長い育児期も消滅した現代、個人化志向の高い妻ほど、結婚満足度が高い。「私は私」「夫婦といえども他人」という意識が強いほど幸せということ。妻であり母であっても1人の個人として生きることが保障された生活に女性の幸せがあるという考え方。
これ男性も同じ。職業一筋の生活に適した論理的理性的、積極的のような特性だけでなく、感受性こまやかさ、協調性思いやりなど、女性的な特性も兼ね備えた人が今日の社会では適応的で自尊感情も高い。

●専業主婦の方が育児不安は強い。

●子ども産まない人が増えてるのは職業進出によるものか?そうではない。職業継続により子どもを持たない選択をしているのは都市部に多く、通勤や住宅、育児体制などの劣悪さが原因となってる。仕事をしてるしてないかじゃなくて、働きやすさの方が大事。

●よその子を褒める叱る文化は日本ではあまりない。フランスでは見られている。このような社会教育というのもすてき。

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2023年02月04日

Posted by ブクログ

いわゆる私の親世代以上の人が、こういった観点で少子化時代の女性の心理を親身になって論述しているというところに、ただただ感銘を受けるのみといった新書である。

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2013年02月05日

Posted by ブクログ

子どもが「授かりもの」でなく、選択的にもつものになった今。親が良かれと与える教育機会(習い事など)に包まれる子どもたち自身は本当に幸せか?という問いかけが心に残りました。どのようなケースが、アンバランスな愛着形成につながりかねないかという分析もなるほど。

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2012年08月02日

Posted by ブクログ

もっとも印象に残った一節を引用します。
「最近、日本の社会を語る時、「少子・高齢化」がまるで枕言葉のように使われています。特に少子化は有史以来初の大事件、大問題であるかのように。それを耳にするたびに、私は子どもが少なくなったこと以上にもっと大問題があるのにーーと思わずにはいられません。眼をむけるべきは子どもの数の減少ではなく、子どもの価値に生じている変化、親にとっての子どもの意味・価値の変化。それこそ有史以来の一大変化です。」
という指摘が痛切です。数の変化は人為的に社会政策で対応策を取り得ますが、意味・価値の変化を再逆転させるのは至難の技です。

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2012年05月15日

Posted by ブクログ

 働く女性として賛同することが多かった。子どもは生みたいけど、自分の仕事に支障が出るのは困る。自分のキャリアアップの道が閉ざされるのは悲しい。でも仕事だけの人生は嫌。子どもがいる充実した家庭も欲しい。
 避妊や不妊治療などの普及で、子どもは両親の意志でつくられる存在になり、親の価値を押しつけられる存在になった。そんな時代の子どもに親はどういう価値を見いだすのか。
 時代や国家間による子どもの価値観の違いや、話は日本の少子化の原因から、日本の母親・父親の抱える問題、子育て論にも波及し、興味深く読めた。
 共働きで子育てをすることに筆者はとても前向きで好意的な理論を持っていて、その理論に勇気づけられた。出産に怖じ気づいていたが、生むのも悪くないかもしれない。

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2012年01月26日

Posted by ブクログ

「母親というアイデンティティ」について一時期盛り上がっていた。たとえば
・金原ひとみ「母の仮面が苦しいあなたへ 『自分』は今もそこにいる」(2023年11月)、
・イスラエルの社会学者オルナ・ドーナト「母親になって後悔してる」(邦題、新潮社刊、2022年)
でも別に最近の発見というわけではなくて、以前からあった言説が、より女性中心の視点で、より繊細に語られるようになったという感じかな?
こちらの2001年の本は、以前は「生まれてくる」ものだった子どもが、医療や技術の発展により、計画的に「つくれる」ようになったこと、女性が教育を受けたり働いたりするようになり、母親以外の役割を持つようになったこと、一方で日本社会は相変わらず、母親に負担を強いていること、また自分で計画して作った子どもなので、子どもの人生プランまで握ろうとしてしまうこと、などが書いてある。
作ったのはいいけど子どもは別の人格であり、物ではないから、親の思い通りにしてしまうのは違う、そこが難しいところ。筆者はたとえば里親・養子とか、産むことと育てることを分けて、社会で育てることを最後に提唱している。本田和子「子どもが忌避される時代」でも、同じような結論にたどり着いていて、なかなか興味深いことだと思った(柏木恵子さん1932年生、本田和子さん1931年生)。

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2025年11月13日

Posted by ブクログ

男女平等を言う著者の主張は決して過激なものではなく常識的なものであり、たぶん国民の8割は支持するだろうし、もちろん僕も支持する。
だからこそ、恣意的なデータの使い方があるのにはがっかり。

ま、ごく一部なんだけど、一部でそれだと、全部疑わなきゃいけないからなあ。
内容としては、まあまっとう。

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2013年10月22日

Posted by ブクログ

卒論、修士論文の両方で文献として使わせていただきました。観念に取り組むという意味では欠かせない1冊。

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2009年10月04日

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