【感想・ネタバレ】異形のヒグマ OSO18を創り出したもののレビュー

あらすじ

道東を恐怖と混乱に陥れた「牛を襲うヒグマ」の正体とは? ハンターの焦燥、酪農家の不安、OSO18をめぐる攻防ドキュメント!

山の神を「怪物」に変貌させたのは大自然か、それとも人間か?

66頭の牛を襲撃し、神出鬼没、「忍者グマ」とも称されたOSO18は、23年夏に野垂れ死んだ姿で発見された。
著者2人は2年にわたりOSO18の生態を調査、伝説のハンターたちとともにOSO18を追い続けた。
追うハンター、痕跡を消すヒグマ、そして被害におびえる酪農家の焦燥をつづり、ヒグマとの駆除か共生かで揺れる人間社会と、牛を襲うという想定外の行為を繰り返した異形のヒグマがなぜ生まれたのか、これから人間は変貌し続ける大自然とどう向き合えばいいのかを問う一冊!!

(目次)
序 章 たった一枚の写真
第一章 正体不明の怪物
第二章 端緒
第三章 託された男たち
第四章 宿命
第五章 縄張り
第六章 出現
第七章 消失
第八章 禁猟区
第九章 突然の死
第一〇章 消えた亡骸
第一一章 怪物の実像
第一二章 名前を持たなかったヒグマ
終 章 人間たち

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Posted by ブクログ

ネタバレ

積読チャンネルにて紹介されていたので購入。本書の著者であるNHKのディレクター2人のガッツに拍手。ハンター達に煙たがられても何とか取材を続行しようとする姿が素晴らしかった。特に若いディレクターの有元さんが堆肥場からOSO18の骨を見つけるシーンはとてつもない執念を感じた。
OSO18自体はあっけない最期だったが、本書でも書かれている通りそのあっけない死から深く考えさせられることが多々あった。
約1000頭を捕獲したハンター集団の一員である赤石さんの写真がかっこよすぎた。70歳で1000頭のうちのほぼ半分を一人で捕獲したというのだから驚きだ。

最近特に熊被害のニュースが上がっているが、個人的に表面的な意見ではなくこういった熊側の生きる上で避けられなかったことや、人間が作り上げたり管理してしまったがための環境変化の問題などにも少しは知見を深められた気がした。

追記
カバーを外すと本体にでかでかとOSO18の写真が使われているのも良い。

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2025年10月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

手に取るきっかけはラジオ内砂鉄堂書店の砂鉄さんの話を聞いていた息子の頼み。9歳には難読漢字が多く、ほぼすべて読み聞かせた。

評価は2か3で迷う。正直2だけれど、綿密な取材に敬意を表して3に。

NHKの2人のディレクターの取材記録。
これはノンフィクション?
OSO18を実際に目にできなかった2人だから仕方がないが、エピローグがポエムすぎる。OSO18の最期の描写(2人の想像)などはテレビ用の絵コンテを書き起こしたよう。
それ以外にも、ところどころがかなり客観性に欠ける決めつけのような表現があり、つっこみたくなる。自分たちをかっこよく書きすぎなのかもしれない。

ノンフィクションとしては微妙だけど、ネットニュースより詳しくOSO18のことを知りたい人には一読の価値があると思う。

さて、OSO18はあっけない最期の一報も記憶に新しく、映像でも文筆でも題材としてはおもしろいに決まっている。

テレビ番組制作のため、謎のヒグマOSO18の姿とその捕獲の瞬間をどうしてもカメラに押さえたい2人。OSO18を通して、人を撮るのだと。

テレビ番組をつくることへの執念のみで動くNHK2人は、町の安全のために駆除に奔走しているハンターたちと気持ちがすれ違う。かなりあからさまに避けられているが、その理由は書かれていなくてぼんやり。謝罪したとは書いているが、NHK2人が何をしたか書いたらいいのに。ノンフィクションぽくないのは、そういうとこだぞ。

矛盾もある。藤本さんが入院している期間に、藤本さんがOSO18を目撃した、との記録。一時退院してたのかな?だったら書いて欲しい。退院祝いの焼肉の盛り上がりにいまいちついていけなかった。

プロデューサーの「テリー伊藤」発言でのNHKのノリがわかる記述は良かった、ちょっとズレているテレビ局の人たちって感じで。NHKの軽薄なノリがハンターに受け入れてもらえなかったのかなってぼんやりと浮かび上がる。

テレビではOSO18を通して人が描かれていたのかもしれない。
でも、この本ではNHKや2人の仕事や世間からどう思われているか、そこも浮き彫りになっているように思う。

ハンター側の藤本さんもOSO18の顛末を書かれているそうなので読んでみようと思う。


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2025年06月19日

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