あらすじ
ニュース、SNSの投稿、動画からAIまで。情報にあふれた現代で、デマに流されず信頼できるものを選びとり、自分の世界を広げるためにはどうしたらいい? よく考え、ちゃんと対話するための道具として情報を使いこなす、あたらしいメディアリテラシーの教科書。
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Posted by ブクログ
メディアやSNSによって、たくさんの情報が手に入る現代。そのたくさんの情報の中には、デマもある。
しかも、デマは正しい情報よりも拡散されやすい。その理由や背景、デマにだまされないためには どうすれば良いかなどが書かれた、とても分かりやすい本だった。
中学生でもわかる内容なため、ぜひ子供たちにも読んで欲しいと思った。
この本を読んで、勉強になったこと
1 真実の情報よりも偽情報の方が人間の感情に訴えやすいため、速く拡散される。
2 人間は、元々好感を持っている人に対してはポジティブな面を伝えがち。また、元々嫌悪感を持ってる人については、その人にネガティブな面を伝えがち。それは無意識にやってることが多いが、わざとやる人もいる。そのため、話の内容を聞きながら言っている人の深層心理や動機を考えてみる。そして、一度立ち止まって、人に広げないことも大切。
3 偽情報は悪意がもとでひろまる場合と役に立つのではという善意がもとの場合とある。また、ミスや勘違い、パロディー、冗談、風刺の場合もある。フィルターバブルやアルゴリズムコントロールによって、むしろ偽情報に誘導されることもある。
4 マスメディアが記事から紙面になるまで
記者が記事を書く→担当チームの責任者(通称キャップ)→本社の次長(通称デスク)→校閲→編集局の幹部(疑問点などをみつける)→デスク→記者(修正などをする)それでも誤った情報や訂正はある。
5 情報の確度をたしかめるチェックリスト「CRAAP」(適時性、関連性、情報源の権威、正確性、目的の英語の頭文字)
そのチェックテストの中で、特に重要なこと
1 いつ発信されているか
2 複数の情報の確認をする
3 エビデンスの確認をする
4 発行元、筆者の専門性の確認をする(自分の専門外の分野だと、その発言もあるため)
5 バイアスや目的の確認をする
6 事実と意見を区別する
6 オンラインメディア利益を上げるには、記事のクリックが必要。そのため、中身の一部だけを強調したり大げさにしたりしている、「釣り見出し」を使っていることもある。
7 アルゴリズムのメリット・デメリット
メリット→処理できない多すぎる量から、手元に届く情報を制限・精選してくれること
デメリット→制限・精選するため、他の情報に接していないことになり、関心の幅を自ら狭めてしまっている。
8 フィルターバブルに陥らないためには、あえて自分の考えや趣味とは違うものを検索する、新聞や本を読んでみる。
9 SNSやネットの掲示板などで、同じような意見に囲まれることにより、特定の意見や思想が増幅され、影響力を持つことを、エコーチェンバーという。エコーチェンバーの原因は、アルゴリズムや人の心理(信念バイアスと確証バイアス)。
信念バイアス→情報の内容や論理的の正しさよりも、自分の信念に当てはまるかで情報の信頼さを判断してしまうこと
確証バイアス→自分の信念に合致している情報を重視したり、積極的に集めたりする傾向のこと。無意識で行うこともある。
それらのバイアスのせいで、自分の知識を使って既に信じていることと合致するような情報を得ようとしてしまいがちになる。
10 流暢性(りゅうちょうせい)→偽情報でも図や表、フォントの大きさやデザインなど見やすいようにするほうが、脳が処理しやすくなり、信頼性などがたかくなる。ChatGPTなどでおこりやすい。
11 メディアリテラシーのポイント
1 メディアの仕組みや特徴について理解すること
2 メディアが伝える情報や映像はありのままの現実ではなく、再構成されていることを意識すること
3物事を複眼的に捉えるクリティカルシンキングを重視すること
(クリティカルシンキングとは、物事を多角的・複眼的に考える、常識前提から疑ってみるという意味であり、あくまでも否定思考ではなく吟味志向である。相手の立場を変えて考えて見る、出来事などに対して理由を考えてみる、仮説を立てて検証するなどで鍛えることができる。)
4 自分の知識や能力を過信し傲慢になってしまうと、偽情報や誤情報を信じたり、拡散したりしやすくなる。