あらすじ
驚異的な経済成長をもたらし豊かな社会を実現する一方で、格差を常態化し、深刻な不況をくり返す資本主義。その原因はどこにあるのか――。ヒュームやスミスにはじまり、マルクスそして新古典派の登場をへて、ケインズ、ハイエク、ヴェブレンまで。経済学の巨人たちは、自らが生きた時代の課題にとりくみ、その思想を形成した。本書は、そうした現実的背景に照らしながら、かれらの理論の核心を平明に説く。さらに後半では、貨幣や消費などの重要テーマごとに経済分析のあり方を問うことで、経済思想の今日的意義を浮き彫りにする。経済という人間の営みを根底からとらえなおす、決定版入門書。
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Posted by ブクログ
経済思想入門
著:松原 隆一郎
出版社:筑摩書房
ちくま学芸文庫 マ 38 1
むずかしかった 経済学そのものが、演繹的な理論体系ではなく、歴史の中で積み重ねられた帰納的な産物であるからだとかってに思い込んでいます。
経済学とは、はたして、社会科学なのか、それとも自然科学なのか。本書のような経済書にであうたび、そういった疑問にさいなまれてしまう。
加えて、経済思想とはなにか。数学だと、数学思想というのがあるのか、物理なら、物理思想というのがあるのでしょうか。
パラメタが数万あろうが数億あろうが、結果が1つであれば、それは函数とよばれるので、数学的にモデル化ができる。パラメタが同時に動くのであれば、複雑系という別のモデルとして処理できる。多くのパラメタからある数個のパラメタに結果を落としこむのであれば、それは写像といわれているので、これまた数学で扱える
ただ本書は、経済学の関数的な扱い方には、後半で否定している。
あくまでも、学際分野の統合とは、社会科学の分野が中心なのである。
しかし、AIやコンピュータがスパコン並みになった現代では、経済学は応用数学の1分野として体系化ができるのではないでしょうか。
それなら、理系人間はとっつきがよくなる。計量経済学では、すでにいろんなモデルで数値化されているのでもありますので。
本書では、経済思想とは、社会における諸方面の人間の営みを配慮しつつ描いた経済理論とある
すなわち、経済思想とは、ある条件下にある経済理論なのだ
思想=理論という構図になる
思想:自分自身が抱く、体系的にまとまった考え方、価値観
理論:筋道を立てて組み立てられた知識の体系 とあり、ちょっとニュアンスが違う
いきなり、しっくりきません。
なので、第1部を、経済学発展史、第2部を現在有効な経済学の通説として読みかえて、読み進めることにしました。
①~⑨(第1部)
①古典派以前
市場の歴史から本書ははいる ファラオ、ギルド、封建制度の崩壊、市場社会の成立
17世紀にウェストファリア条約で、神聖ローマ帝国が事実上解体し、主権国家が誕生するところから、市場社会の起源が語られる
マックス・ウェーバが提唱する市民的資本主義から工業の商業化へ
重商主義 貿易差額主義、貨幣など
ヒューム、道徳・政治論集
重農主義 農業の体系 といった概念が本章で語られる
②古典主義 アダム・スミス
経済学の父、労働と価値、富、分業、市場
国富論、道徳感情論 労働、資本、土地、使用価値と交換価値
③古典主義 リカード、マルサス
通貨の増発と物価の上昇
不況とは、資本の蓄積の停滞
リカードの包括的経済像 通貨規律の回復、国債整理、穀物条例の廃止、金本位制、財政赤字の解消
貧困を解消させるには
人口と、賃金、収益低減モデル
④マルクス経済学
ロバート・オウエンのユートピア
ミル 自由論
マルクス 共産党宣言、唯物史観、剰余価値論、労働価値説
新技術論、交換の非対称性という命題が、シュンペータと、ケインズに受け継がれていく
⑤新古典派
マーシャル 経済学原理、数学付録ノート
限界革命 資本主義の限界を予言したマルクスの破綻説の誤り
ワルラス 限界効用逓減の法則
ケンブリッジ学派 ミクロ経済学と言われる
広義の新古典派とは、このミクロ経済学に、ケインズの解釈である、マクロ経済学を加えたもの
⑥社会主義経済の付加
シュンペータ 理論経済学の本質と主要内容、経済発展の理論、経済循環、企業の巨大化、イノベーション
ハイエク 集産主義経済計画、合理的経済計算
⑦ケインズ
ドイツの賠償問題が経済に与える影響を予見
世界恐慌の理論化
マクロ経済学
平和の経済的帰結、貨幣改革論、雇用・利子および貨幣の一般理論
確率論、経済における投機の蔓延
⑧消費社会化と市場自由化
ケインズ理論の実践:ニューディール政策
スタグフレーションの進行と、ケインズモデルの疑義
フリードマン:マネタリズム
合理的期待形成学派:国の経済への介入、レーガノミックス、サッチャー、中曽根
サミュエルソン 新古典派総合 ケインズへの回帰
大量消費社会の到来、グローバライゼーション
⑨現代(第2部)
・判断基準として自然科学の分析方法の導入
・イデオロギーなどを排した、客観的理論・事実の導入
・仮説の体系・予測・反証・理論の検証
・市場と制度 行動の最適化と需給の均衡化
・制度と市場の信頼性、ゲームのルール
・契約と設計主義
・生産要素の商品化、市場社会の誕生
・雇用の流動化
・通貨論争
・正貨配分の自動調整原理 貨幣発行額と貨幣価値の変動
・貨幣国定説と、貨幣商品説
・流動性
・合理的な消費者
・形式化、市場の均衡
・消費の限界消費性向
・消費の個人性
・取引コストと企業組織
・企業組織と経営環境
・知的創造
・市場制度の自由と平等
・判断の合理性、リベラリズム、マキシミン原則
・グローバライゼーション
・自由貿易論
・弱者の支配
・R&Dネットワーク
・国際金融のグローバライゼーション
・構造改革と消費不況
・欲望の拡大
・経済学における相関的思想の再興
目次
はしがき
第1部 経済思想の歴史
市場社会の成立
古典派の成立―アダム・スミス
古典派の展開―リカードとマルサス
古典派の隘路―マルクス
限界革命と新古典派
社会主義経済の可能性をめぐって
資本主義の変貌―ケインズ
消費社会化と市場自由化―市場の高度化と経済思想
第2部 経済思想の現在
方法について
制度について
貨幣について
消費について
企業について
市場と公正
グローバライゼーションについて
経済思想のゆくえ
註
参考文献
ちくま学芸文庫版あとがき
索引
ISBN:9784480097071
判型:文庫
ページ数:400ページ
定価:1200円(本体)
2016年02月10日第1刷発行