あらすじ
過去へのタイムトラベルが実現した世界。時間犯罪取締局(TEA)の元調査官ジャニュアリーは、タイムトラベラー特有の病気である時間離脱症(アンスタック)を患い、今は時空港(タイムポート)併設ホテルの警備主任をしている。アンスタックの症状で未来や過去を幻視してしまう彼女は、ある客室で時間の止まった男の死体を目撃し、さらに自らの銃殺シーンも幻視する。時空港買収の入札のためホテルに集まった四人の大富豪を狙った事件が次々に発生する中、ホテル内で時間の流れがおかしくなるなどの異常事態まで発生し……カーカスレビュー誌ベストSFF/NPRベストブック2022選出作。/解説=渡邊利道
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Posted by ブクログ
時間犯罪取締局の元調査官で、今は時空港併設のホテルで警備主任をしている主人公。しかも時間離脱症を患っているという世界観は理解できるかな?と読み始める前には少し身構えたものの、読んでみたらただただのめり込んでイッキ読みでした。
犯人は?誰と誰が繋がってる??等、ミステリとしても楽しめました。
Posted by ブクログ
時間が止まった死体が見つかる… タイムトラベルが実現した世界で何が起こったか #パラドクス・ホテル
■あらすじ
時間旅行ができる施設と併設されたパラドクス・ホテル、そのホテルでジャンは女性警備員として働いていた。
彼女はこれまで時間犯罪取締局で働いていたせいで、タイムトラベラー特有の病気にかかっていた。未来や過去を幻視してしまうという病気であったが、その症状がきっかけで、時間が止まった死体や自分自身が銃殺される場面を目撃してしまう。
事件を解決するために調査を開始するジャンだったが、ホテル内では恐竜の子どもが逃げ出したり、時計の針がおかしくなるなど、様々な異常事態が発生してしまい…
■きっと読みたくなるレビュー
近未来アメリカ、タイムトラベルが実現している世界での物語です。時間旅行ができるなんてまるで夢のようですが、行き過ぎたテクノロジーにはしっぺ返しがつきもの。タイムトラベルを続けると、副作用で幻が見えるようになってしまうという。
これがリアリティがあるんですよ、ステージ1は薬で進行を抑えられるが、ステージ2になると症状は抑えられない、そしてステージ3になると… こわっ なんか原子力発電所ができた当時とか、こんな感じだったのかもね。
もちろんタイムトラベルを運営する会社がある、しかし必ずしも経営が順調とも限らない。さらにタイムトラベルができるとなれば、悪いことを考える奴なんてたくさんいるわけですよ。
それを防ぐために国は時間犯罪取締局を設置するのですが、いろんな思惑を巡らす政治家もいる。技術は現実離れしているのですが、そこから生み出される問題は超現実的なところが興味深かったです。
物語はホテル警備員のジャン(時間離脱症 ステージ1)が、時間が止まった死体を幻視するところから動き始める。時間が止まった死体…? 何ソレって感じですが、これがその症状なんですよ。怒涛のSF&ミステリーが始まります。
ただゴリゴリの特殊設定謎解きってわけではありません。不思議な事件に巻き込まれながら、このワールドの理屈が少しずつ紐解かれていくという感じです。また色んな時代にタイムトラベル行くんだろうなーと思いきや、実はほとんど行きません。タイムトラベル大冒険ではなく、ホテルで起きた事件に対し、ひたすら現場で解決にいそしむのです。
そう、本作の読みどころは、派手さではなく人間の心の寄り処の部分なんです。主人公ジャンとホテルの関係者、時間犯罪取締局、サミット参加者たちのやり取りに温かみがないんですよ。むしろAIドローンとの会話がもっとも人間性がある会話なんですよね。たとえ夢のテクノロジーがあっても人間の心はくすんで見えます。
そして亡き恋人のメーナとのコミュニケーションが切なすぎるんよ… SFの世界ほど、なぜこんなにも愛が美しく映えるでしょうか。
■ぜっさん推しポイント
いつの時代も人の欲望は限りがありません。力がある者はさらに力を蓄え、弱い者から搾取する構造は変わらないということが良くわかる物語でした。
そして自分の時間もいつか必ず終わるんです。残された時間、何を大切に生きていくべきなのか… お金なのか、権力なのか、時間なのか、愛情なのか、よくよく考えみようと思いました。
Posted by ブクログ
過去への時間旅行が可能となった近未来が舞台。主人公のジャニュアリーはタイムポートに併設されたホテルの警備主任だ。彼女は時間離脱症という病のステージ2で、脈絡なく過去や未来にスリップしてしまう。ホテルの未来を決める大事なサミットの開催直前、彼女が目撃したものは……。
SF+ミステリーは大好きなジャンルなんだが、いかんせん主人公がいけ好かない。ここまで傲岸無礼なキャラクターは久しぶりだ。まあ、それにはちゃんと理由があり、読み進めるうちに納得はしたのだが……。
ブロック宇宙論は初耳で、その概念を理解できなかった。
Posted by ブクログ
過去へのタイムトラベルが可能になった近未来の物語。
ジャニュアリーは時間犯罪取締局の調査官だったが、タイムトラベラー特有の病気アンスタックを患って退職。現在は時空港併設ホテルでの警備主任をしている。
アンスタックは過去や未来の幻視が見える病気。
時間の止まった死体、自分の銃殺シーン、ホテルを取り巻く時間の流れの異常。様々な問題に立ち向かっていく。
面白かったけど過去や未来が入り乱れるので理解が追いつかずな場面もあったかな
Posted by ブクログ
タイムトラベルが実用化された未来、タイムマシン空港横にあるホテルが舞台
タイムトラベルを悪用する犯罪者たちを取りしまる機関も存在する。
主人公のジャニュアリーは元々はその犯罪取締局にいたが、時間を行き来する事によって病を発症し、ホテルの警備員に転職する。
この病気(アンスタック)が厄介、現在に別の時間の事象(幻のようなもの)が流れ込んでくる。
そのため現実と症状の区別がつきにくい。
ジャニュアリーの性格はやや荒め、それとこの症状などによる行動のせいでホテルの従業員達ともトラブルが多発する。
ある日"時の止まった死体"をアンスタックで視ることになり、その犯人やホテル創設者の謎に巻き込まれていく…
謎を解くミステリーの要素はありつつ、どちらかというと主人公が家族(ホテルのメンバー)や心の問題に向き合っていくまでの話。
面白かったのだけど、少し長く感じたのはこの話というより私の読み方、仕事や生活の忙しさの状況から読む速度が落ちてたからだと思う。