あらすじ
死者14人、負傷者6千人以上を出した未曾有のテロ「地下鉄サリン事件」が起きてから2025年3月で30年が経つ。捜査の最終意思決定者が当時の資料やメモをもとに初めて証言。なぜ警察は事件を防げなかったのか。捜査の全内幕を語る。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
あとからなら何とでも……あの時こうしていれば防げたのではないか、組織のこの部分が予防の妨げとなったのではないか、と言える。警察組織の縦割りである部分は、平時において有効でも未曾有の事態に耐えきれなかったことがよく分かるが、さりとて、大きな組織が分業を欠いて回るわけもなく、なんとも難しい気持ちで読んだ。余談だが、まーた神奈川県警は……と思ってしまうフシもあった。
Posted by ブクログ
未曽有のテロである地下鉄サリン事件から30年が経過した中にあって、オウム真理教関係事件の捜査の中心にいた当時の警察庁刑事局長であった垣見隆氏が、松本サリン事件、地下鉄サリン事件、警察庁長官狙撃事件などの一連の事件への警察の捜査の状況や課題について、当時の資料やメモも踏まえ、詳細に証言した一種のオーラルヒストリー。その中で、警察はオウム真理教とサリンの関係を事前につかんでいたにもかかわらず、なぜ地下鉄サリン事件を防ぐことができなかったのかという点についても迫っている。
本書は、社会に大きな影響を与えたオウム真理教関係事件の捜査の「当事者中の当事者」である当時の警察庁刑事局長が、警察はオウム真理教にいかに対峙したのか、どこに課題があったのかなどについて詳細に語った貴重な現代史の史料といえるものである。都道府県警察間の連携とそれへの警察庁の関与の在り方、刑事警察・公安警察といった部門間の連携の在り方、情報の保秘の在り方など、今後の教訓ともなる当時の課題もだいぶ浮き彫りになったように思う。
ただ、それでも奥歯に物が挟まったような言い方に感じる部分もあり、他の関係者の証言等とも突き合わせての更なる検証が期待されるところである。
Posted by ブクログ
オウム操作の最高責任者であった垣見隆のオーラルヒストリー。本文に名前は記載されていないが、4名が参加している。
本書のタイトルに明瞭な解答がされるわけではないが、不明瞭だからこそ本書のような内容になったともいえる。要因は、警察の機構、文化、メディア、信仰の自由への配慮、さまざまである。垣見は國松長官狙撃事件以後に更迭、失脚するのだが、これも事件対応だけでなく警察内での軋轢があったようである。
内部のごたごたはとにかく、対応に関しては非常に評価がむずかしいようである。少なくとも垣見個人の責任に帰せるようなものではないだろう。
警察機構は、トップダウンといえばトップダウンなのだが、指示系統の仕組みは一概にそうともいえないようである。(警察庁が都道府県警察に具体的な指示を出すことはない)縦割りでもあり横の連携も弱い。
そのような警察機構が、麻原を指示系統の絶対的な頂点とし、スムーズかつ縦横無尽に行動へ移せる組織形態との戦いは、始めから後手にまわることが定められていたように思う。
Posted by ブクログ
最後は「わからない」で締めくくられているけど、麻原が考えていたことを理解できる人間はいないだろうから、神格化に結びつけるようなのはやめた方がいいのでは。