【感想・ネタバレ】ゆたかさをどう測るか ――ウェルビーイングの経済学のレビュー

あらすじ

「ゆたかさ」とは何だろう。国が経済成長を遂げ、モノが溢れかえる一方、人々のつながりは希薄化し、自然環境は破壊され、現代社会はますます息苦しくなっている。GDPという指標の下で富の増大を目指し、社会を測ろうとする経済学は、私たちの「ゆたかな生(ウェルビーイング)」を捉えることができているだろうか。経済成長至上主義を問いなおし、経済のための人間から人間のための経済へ――。国家や市場という枠組みに囚われず、独立した個の連帯からなる社会のかたちを構想する。

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Posted by ブクログ

ウェルビーイング研究はアナウンサーの吉田尚記氏が挙げていたことで興味を持ったものの
その内実が判然としてないままであったので参考になった。
一般的な経済学の進展の中で(経済の浮沈を伴いながら)、「よりよき生」を求めていたはずの理想との乖離や、経済学上のホモエコノミクス像への違和などがいよいよ現代にあって新しい解答を求める筋道がウェルビーイングの研究であることに得心した。
クロポトキンや宇沢弘文の社会像や、ウェルビーイングを図る指数の妥当性の追求など、果たして現実にどう構築すべきかといった問題は依然としてあるものの、昨今の書籍でキャッチーに用いられるウェルビーイングの理念がこうして科学的に論証される際には、経済・社会学上の概念として非常に魅力的で考究しがいのあるものと思われた。

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2025年03月29日

Posted by ブクログ

 GDPが上がっても豊かになった実感がない。そんなことを思う人も多いのではないだろうか。逆に「あの時代はよかった」などと耳にすることも少なくないように感じる。
 「ゆたかさ」を測ることの難しさ、そしてGDPが一国の経済規模を測るうえでは有効であるが、けっして個人のウェルビーイングの計測にはつながらないことが指摘される。本書は経済学の視点を取り入れながら、世に溢れる指標に切り込んでいくところが魅力だろう。
 また、本書の巻末には20ページを割くほどの参考文献が記されており、著者の造形の深さがうかがえる。
 自分には所々で難解な部分があったため、関連する知識を身に付けた上で再度、本書に向き合いたいと考えている。

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2025年06月28日

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