【感想・ネタバレ】燃える息のレビュー

あらすじ

町中でバッグや財布が「連れて行って」と私を呼ぶ。置き引きがやめられない私が次に手にした物とは。
ダイエットと運動を限界まで続けてしまう婚約者。
化粧品の衝動買いが止まらない母と美容にこだわる息子、など。
何かに依存せずにはいられない人間の性を描き、強烈なインパクトを残す6編収録。新感覚短編集。

貴方は何をやめられない?

現代人の約七割が、依存症!?
盗り続けてしまう人、刺激臭が癖になる人、運動せずにはいられない人、鏡をよく見る人、
緊張すると掻いてしまう人、スマホを手放せない人ーー抜けられない、やめられない。

依存しているのか、依存させられているのか。彼、彼女らは、明日の私たちかもしれない。
──三宅香帆(書評家)

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

様々な依存症について描かれた全6編の短編集でした。

呼ぶ骨
燃える息
ジューンブライド・バナナパフェ
鈴木さんのこだわり
二十一週六日
ファントム・バイブレーション

語り手の気持ちが丁寧に描かれていて読みながら気持ちがソワソワしました…!

最後の短編はスマホ依存症についてで、当てはまる人は多いのではないかなと思いました。私も気がついたらsnsを見ていることもあるし…。他人事ではないですね

あとは、最後で他の短編で登場した人のその後が描かれていて素敵でした!

読みやすくて好みな本でした!

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2025年08月13日

Posted by ブクログ

最高の短編集だった。今の時代誰もが何かの依存症。読んでて怖くなる依存症から、徐々にいい話になっていくこの6本の短編はハズレがなかった。「鈴木さんのこだわり」では奇妙な親孝行が良かった。ダイエットの話はランニングを趣味にしている自分に刺さったし、最後のスマホ依存の話は現代人みんなにお勧めしたい話。そして締めにふさわしい。

そんなスマホをいじりながらコレを書いているわけだが、今の自分は読書依存症である。

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2025年05月01日

Posted by ブクログ

私もどちらかと言うとスマホを手放せない生活だったけど、最近SNSを観ていると心が疲れるな〜って思う事が多くて…。
それで、仕事終わりにネットサーフィンしていた時間を次の日のお弁当作りの時間にあててみたら、なんと生産性が上がる+お昼が楽しみになる+節約になる、といい事づくしだと気付いた。
『ファントム・バイブレーション』の主人公も、少しずつ人生の楽しみを見つけて欲しいな。

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2025年07月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

依存症に関する短編集
どの話も、比較的良い終わり方だった。

燃える息は、めちゃくちゃ刺さった。
匂いは遺伝子レベルで惹きつけられる…という話を聞いたことがあるが、ガソリンが混じった息を燃える息と表現しているのが何ともオシャレだ。
依存症同士だからこそ惹かれ合うというのも、何ともエロスを感じる。

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2025年04月21日

Posted by ブクログ

短編集でどの話もテンポよく、ほんのひと匙の狂気を孕んでいるところも個人的にくすぐられた。
全員何かしらの依存症を抱えており、中には本人が意図せずに発症してしまった可哀想な例も含まれている。

・「呼ぶ骨」:パリュスさんの凄いところは思春期〜若年層の心理描写が卓越しているところ。
主人公の真白(ましろ)は、置き引きに遭いそうな物の「声」が聞こえる女子大生で、その物を盗まない限り「声」からは逃れられない。そう、彼女の依存症とは盗癖である。
しかしそれ以上に、根が真面目な彼女が友人関係で窮屈な思いをしていることが自分には居たたまれなかった。彼女がそれらのしがらみから解放される日は、果たして来るのだろうか。

・「燃える息」:表題に選ばれた理由が分かる。ダントツで恐かったもん笑
ガソリン臭依存症ってとこかな。バイクとガソリン臭をこよなく愛する青年 灯馬は、ひょんなことから儚げな女性 ほのかと知り合う。実はほのかもガソリン臭が好きで、恋人とギクシャクしていた灯馬はたちまち彼女の虜になり…
著者の筆だから仕方がないとはいえ、平凡な青年の言葉じゃねー!!ってくらい、詩的で情熱的。そうした言葉が紡がれるたび、脳内で素早く映像化されていく。
色々恐いけど、彼らに気づかれるまで覗いていたい気分だった。

・「ジューンブライド・バナナパフェ」:一見可愛らしいタイトルにご用心。
結婚式を控えた芙美香が、着たいドレスのためにダイエットを始める。もうお気づきかもしれないが、ダイエット依存症の話だ。
私も何かに熱中するとガチで燃えるタイプだから、他人事とは思えない。ひょっとしたら苦手な運動も彼女みたいに頑張っちゃうかも。
彼女にとって一番の幸運は、気にかけてくれる人に恵まれていることだろう。

・「鈴木さんのこだわり」:踏み込んじゃうとネタバレになるから、ここでは美容依存症とでも言っておこうか。ちなみに、「鈴木さん」のお母様も美容および買い物依存症にかかっておいでだ。
一番好きなお話だから沢山語っちゃいそうなので、敢えて控えさせていただく。だが親子のあの再スタートを思い出すと、皆様ほんのり目頭が熱くなるだろうことはこっそり告げておこう。

・「二十一週六日」:「ジコセキニンとか知るか。これ以上、私たちを追い詰めないで」(P 219)
電車で痴漢に遭った女子高生 江麻は、そのことを誰にも打ち明けられずにいた。そして同級生の千晴もまた秘密を抱えていて…
勘の良い方はこの時点でタイトルの意味に気づかれると思う。男の勝手で振り回され、悪くもないのに我慢を強いられる少女たち。
最終的に「私が千晴を守る」と奮い立った江麻は、本章の卑劣な男たちよりもずっと強く成長していた。

・「ファントム・バイブレーション」:スマホ依存症の青年が主人公。…なのだが、この章まで読み切った方は、この青年が誰なのかがすぐに分かる。しかも他章の登場人物もカメオ出演しており、彼らの後日談も知ることができるのだ。
灯馬同様スマホを落としたことで話が展開していくのだが、「果たして一日で変わるもんかなぁ…」というのが正直な感想である。

シビアな締めくくりとなったが、私は私でパリュス本依存症になりつつあるようだ。

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2025年03月02日

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