【感想・ネタバレ】性的同意は世界を救う 子どもの育ちに関わる人が考えたい6つのことのレビュー

あらすじ

性犯罪再犯防止プログラムにおける
包括的性教育の取り組み「性的同意は世界を救う」プロジェクト


■男子の子育てをしている保護者に役立つ知見を抽出
追って詳しく見ていくが、性加害者たちの実態は、多くの一般の方たちが想像しているであろう、「性欲が異常に強く、抑制が効かない人間」というわけでは決してない。加害者臨床の視点からは、むしろ、何らかの要因で生きづらさやコンプレックス、困難さを抱え、「自己治療」の手段として、加害するといったケースのほうが目立つ。

つまり、誤った「自己治療」やストレス・コーピングの手段を選択しているというのが、多くの性加害者の姿であるというのが私の実感である。

そうであれば、治療環境の調整や再犯防止スキルを身に付けることはいうまでもなく、生きづらさを少しでも軽減し、さらに、性暴力を自己治療の手段としてはいけないことであるという再学習が達成できれば、性加害から距離を置くことは可能となるはずというのが、私たちの結論である。そして、この本は、得られた膨大な結論の中から、男子を育てている保護者などに役立つ知見にフォーカスして、6つのテーマでお届けするものである。

① 性を「言語化」する
② AVとの付き合い方を考える
③ ソロプレイ(いわゆるマスターベーション)の不安を取り除く
④ 子どもが「自立」できる人間関係を築く
⑤ 性を自己決定する
⑥ 誤った「男らしさ」から解放される

ぜひ多くの関係者にこの本を手にとっていただき、子どもたちを性暴力の加害者にも、被害者にも、傍観者にもしないためには何が必要かを話し合うきっかけにしてもらえたら幸いである。

(本書「はじめに―本書ができるまでの経緯と刊行の目的 斉藤章佳」より)

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Posted by ブクログ

【目次】

はじめに①:本書ができるまでの経緯と刊行の目的(斉藤章佳)
はじめに②:性犯罪加害者臨床において包括的性教育を実施して見えてくるもの(櫻井裕子)

 第1章
今日から性の「言語化」を始めよう
「語り」を奪われがちな性加害者たち
「男らしさの呪い」が「語り」を遠ざける
親の「聞く力」の重要
どんな話でも否定しないで、口を挟まずに聞く
最初は子どもが下品な言葉で性を表現しても構わない
知識を伝えられなくても、子どもと性を語れれば十分!
子どもが日常で「本当の自分」を見つけられる手助けをする
親の過剰な性的嫌悪が子どもに与える影響
性欲にブレーキを掛けられるようになって思春期を迎えるという事実
性欲を感じることを不安にさせない
性欲、勃起、射精の思い込み
性欲よりも「支配欲」が危険
性加害の犯罪性を薄めるような社会の風潮
「歪み」を歪みとして捉えられる力を育む

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 第2章
AVとの付き合い方を考える
子どもが性を学ぶツールはほぼAVという現実
はじめて見たAVの衝撃で人生が変わってしまった性加害者の話
ポルノを見る前に男の子に伝えていきたいこと
AVで新たな「条件づけ」が生成される可能性も
スマホが劇的に変えた子どもたちをめぐるポルノの環境
私たちのセックスはAVに影響を受けている
AVを見て感じる「男根コンプレックス」
女性の膣について理解できるとコンプレックスから解放される
女子もAVの影響を受けている
「男らしさ」「女らしさ」から脱して生きる

 第3章
ソロプレイ(マスターベーション)を大切にする
性依存症者に必ず自慰行為の回数を聞く理由
ソロプレイそのものではなく,「強迫的な自慰行為」が問題
性依存症患者に「オナ禁」をすすめた結果
自分の自慰行為を言語化する
ソロプレイについて子どもたちに最低限伝えたいこと
子どものソロプレイが不安な保護者の方へ
ソロプレイの原点

 第4章
「人間関係」の距離感をつかむ
性について突き詰めていくと「人間関係」と「家族」に行き着く
人との触れあいを「気持ち悪い」と感じる性加害者
加害者家族に多い「母子密着で父親不在」というモデル
まずは親が自分の人生を大事にすること
子ども時代に必要なことを経験することの重要性
子ども時代に自然に「自助グループ」を経験しておく
女性の月経を理解できる男子を育てる

 第5章
セックスを自己決定する力をつける
セックスに対する男女の認識の違いを知る
セックスしてよい基準はどこにある?
失敗してもよいというメッセージも必要
「不幸にしないための性教育」ではなく「幸せになるための性教育」を!
「ゼロトレランス」と「ハームリダクション」

 第6章
誤った「男らしさ」を手放す――父から息子たちの手紙

おわりに

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2025年03月06日

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