あらすじ
向島で三代続く料理屋・笹屋の一人娘、お京もこの正月で20歳になった。しっかり者の看板娘として店をきりもりし、今や親が手を出すすきもない。舞い込む縁談を断り、親の反対を押し切って選んだ相手はかつぎ豆腐売りの信吉だったが、あっさり断られてしまう…。しっかり者の女たち、それゆえに悲しくもおかしい。平岩作品の醍醐味、豊かな江戸人情を描いた珠玉と呼ぶにふさわしい10編を収録。
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Posted by ブクログ
「ちっちゃなかみさん」は胸がしめつけられるような切ないお話なのですが、
いくつかのお話はとても嫌な人間が出て来ます。
自分の浅ましさ身勝手さにに苦悩して必死に向き合おうとしたり
自分がどんな嫌な人間か理解出来ず、自分が陰口を言われているのを耳にして自分のどこがどう悪いのか知ってしまってさえそれを恥じて変えようとしない人の話も。
感動出来るお話だけをまとめた作品ではないので
読後感が微妙なのですが
人間の醜い部分を突きつけられるようで
若い頃良くない態度を取ってしまった事や
外に出さなくても内心思ってしまった良くない事などが思い出され、
そういうものが客観的に見るとこんなにも悲しいものだと思うと
日頃から自分の言動には注意しなければならないと改めて思った次第です。
良い本というのは
面白い本、感動する本だけではなく
その人の中に残って
それを助ける本だと思っています。
面白い本は心を弾ませてくれるし
感動する本は気持ちを浄化してくれるような気がします。
嫌な気分になる本でもそれを覚えておいて
自分を律するのに役立つならそれも良い本です。
この本は感動したり嫌な気分になったりで
色々お得感があるのではないでしょうか。