【感想・ネタバレ】建設ビジネスのレビュー

あらすじ

ここ10年の建設業界の変貌ぶりをわかりやすく解説!

・市場規模が2011年以降増加を続けている成長産業
・若者、特に女性の従業者数が増えている
・大工YouTuberのチャンネル登録者数が106万人!?

建設業界は、土木、非住宅、住宅、改修・解体と分野が多岐にわたり、私たちの生活において欠かせない仕事ですが、普通に生活していても意外に業界のことを知る機会はありません。

本書では、日本の職人技術がどれだけ世界に注目されているか、ドローンや3Dプリンタ・重機の遠隔操作などのテクノロジーの進化、業界で働く人の給料の傾向、採用や人材育成、働き方の変化など、業界の今がわかる内容をわかりやすく解説しています。

また、大手企業から地場の工務店、女性重機オペレーター、大工YouTuberなどなど、幅広く現場のリアルな声を集めたインタビューは、業界のことをあまり知らない方はもちろん、現在業界で働いている方にももっと業界を知ることのできる内容になっています。

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Posted by ブクログ

人手不足が顕著。それによる淘汰も懸念される業界だが、本来は国土のインフラであるためグローバル競争には晒されにくく、景気浮揚策を反映し易い「ザ・内需」を体現するのが建設ビジネスであったと思う。しかし、人が来ないし、土着の超小規模の会社が多過ぎる、階層型の構造が中抜きと揶揄されるような効率性の課題がある

本書は気鋭の著者が行動あるべし、と前向きでエネルギッシュな魂で綴った本。こうした経営者ならば将来を感じられる。最先端な課題感から業界の構造までよくわかる。それを象徴するのが次の引用だ。

ー 注目分野はたくさんありますが、強いて挙げるとしたら『モジュラー建築スタートアップ企業』です。モジュラー建築とは、工場で主要部分生産し、単位ユニット化したものを現場で組み立てるタイプの建築システムを言います。技能者不足に加え、近年は猛暑日も多く屋外作業の多い建設業では熱中症が頻発し、安全性や工期の観点で懸念されています。その点において、建築物を造る作業の一部を作業環境が安定している工場で行うことができれば、効率性や安全性の点で優れた生産システムとなると考えられます。

ー 1992年から建設投資が減っているのに、2000年まで「建設会社の数」は増え続けるのです。なぜか?「労働基準法逃れ」のためです。たくさん小さな会社を設立すれば、「取締役」が増えます。「取締役」は労働者ではないので労働基準法が適用されません。取締役にすればいくらでも長時間残業させられる、という考えのもと建設業は「取締役」だらけの産業になりました(現在でも建設業は他産業より取締役が多いです)。さらにこの時期に「社会保険逃れ」も横行します。「個人事業主で常時雇用する従業員数が4名以下」の場合、事業主側で社会保険加入は義務ではない(任意)ため「4名以下の個人事業主」や「一人親方」を増やし、社会保険未加入者を増やすのです。様々な規制逃れをすることで数化する低価格競争を乗り切ろうとしたのが当時の建設業界でした。建設職人は人材派遣が法令で制限されているため、一人親方から「中抜き」することで事実上の非正規雇用化したとも言えます。結果、業界構造はどんどん複雑になります。

政策次第で業界が変わる。なんとか苦境を乗り切れると良いが。

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2025年05月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

特に建設業界と関わりがある訳じゃないけど、なんとなく自分と違う職業の話も面白そう〜と読んでみた。加えて、最近建設業の人が駅で賃上げを訴えるビラを配ってて中身を読んだりしてたので、タイムリーでもあった。

ゼネコン、土木、建築、ハウスメーカーとか、よく聞くけどあまり分かっていなかったワードを整理できたし、現時点で関係ない人でも読んで損はない内容だった。

建設業がこんなに深く、広く、大きな業界だとは知らなかった。職人の高齢化や古い慣習については友人などからも聞いていたので、本書を読んで進んでいる会社もあるんだなぁと、こういう技術や新しい価値観はどうすれば中小企業に広まるかなぁと、私がどうこうできる訳ではないのに考えてしまった。

とりあえず、災害復興に建築業の方々がたくさん携わって尽力してくださっているということを知らなかったので、感謝するとともに読んで良かったと思った。

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2025年04月08日

Posted by ブクログ

カバーが魅力的だったので、読んだ。このシリーズ全部いい。
内容は最新の建設業界の状況は幅広く記載されていたが、色々な論点が色々な順番だったので少し頭に入りづらかった。
300年後に何を残せるか徳川家康の江戸工事を引き合いに出して建設業界へのメッセージは印象に残った。

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2025年11月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

建設という広いテーマの中でも、工事会社や建設職人(大工や電気工事士、重機オペレーターなど)にフォーカスをあてている。
建設というと私はゼネコンや重機に眼が向きがちだったので、実際に手を動かす組織・部隊がどういったものかイメージが膨らんだのは良かった。
ただ、建設というテーマがとても広いので、すごく広く浅く書かれている印象を受けた。
もう少し建設の中でもテーマを絞った著者の本があれば読んでみたいと思う(重機だけで1冊。ゼネコン関係で1冊など)。

建設業界もいろいろ変化していることは実感できたが、自分の持っているネガティブイメージ(きつい、きたない、IT化が進んでいない、昭和の働き方)は払しょくできなかった(著者が悪いわけでは決してない)。
建設業界に興味がある、就転職を考えている人は現実を知る意味でも読んで損はないと思う。

これは他業界にもいえることだが、従業員が数人~数十人の生産性の低い、昭和気質の組織を補助金なので延命させるのはどうかと改めて感じた。
100年に一度と言われる変化の時代、上記の組織が足を引っ張るのではないか。
変化についていけない組織には潔く退場していただき、変化についていける組織に支援を集中した方が、日本経済ひいては働き手として報われるのではないか。

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2025年09月05日

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