【感想・ネタバレ】美人までの階段1000段あってもう潰れそうだけどこのシートマスクを信じてるのレビュー

あらすじ

赴任先は「毛穴が存在しない未来」だった。光速進化のコスメ、肌を磨き上げる黄金ルーティン、世界一の美容整形ビジネス――たちまち美容沼にはまり、自分を“改善”していく著者。さらに医師や元アイドル、コスメブランド創業者へと取材を広げた先に辿り着いたのは――。体験と考察が融合した、ユニークな「美の帝国」滞在レポート。

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Posted by ブクログ

抜群に面白かった!この世に数多ある美容本を読むのなら、一緒にこの本も読むべきである。

私は韓流にもK-POPにも詳しくないのだが、テレビなどでちらりと見た若くて可愛くて細い体の韓国人アーティストたちがどれほどの過酷で苛烈な環境の中、あの外見を維持しているのかを思うと胸が苦しくなった。
本書の中でもっとも心が揺さぶられたのがパク・ボラムのインタビューの部分で、彼女の最期とデビュー曲のポップな曲調が何とも言えず胸苦しい気持ちにさせた。

韓国の化粧品もファッションもカルチャーもガンガン日本に入ってきて、特に何とも思わず受け入れてきたけど、それがどういう背景でどういう戦略で成長していったのかも本書では語ってくれている。
韓国の凄まじい外見主義と美容医療の発展は、私の想像をはるかに超えていて、本書を読んでとてもびっくりした。美しくなることが、ただ単に女性の美容意識や変身願望的なものなんかじゃなく、常識や礼儀や作法レベルのものになっていて、社会を生きていく上で優位に立つための戦略になっている。だから親が子どもに美容整形を薦めたりする。まるでSFみたいだった。

後半では韓国のミソジニーとそれに苦しむ女性たちのことにも触れていて、脱コルセット運動についても知ることができてよかった。韓国のミソジニーはN番部屋の本を読んだときに知ってはいたけど、改めて恐ろしいなと思った。それでも変えようと戦っている女性がいるのがすごい。本当に心から尊敬する。

私は、第8章「マネジメント会社の「46キロ」ルール」と第9章「“モルカ”に狙われる女性たち」が特に面白かった。

美容に興味がある人、実践している人、韓流が好きな人、K-POPが好きな人、ぜひ読んでほしい。絶対に面白いと思う。

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2025年05月23日

Posted by ブクログ

怖いのは、美しさを競うあまり、本質を見失うこと。それぞれが自分を美しく見せるまではいいけど、自分のためじゃなく、「あの子よりも」美しくなりたいと思った時点でアウト。自分がなんで美しさを追求しているのかが分からなくなってしまう。そうならないために、読んだらいいかもしれない。

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2025年04月29日

Posted by ブクログ

韓国の行きすぎる美容と社会背景をまとめたものです。
これをよんで考えた事をチャットGDPがうまくまとめてくれたので、載せてみます。

エリース・ヒューの『美人までの階段1000段あってもう潰れそうだけどこのシートマスクを信じてる』を読むと、私たちが登っている「美の階段」は、果てしなく続く自己改善の連続であり、その先にあるのは、誰も目を合わせられないほど完成された美=**メデューサ**のような存在ではないかと感じられる。

美しさが他者を圧倒する力になるとき、それはもはや“魅力”ではなく“恐れ”を生み、コミュニケーションすら断絶する。そこに登場するのが「もう潰れそうだけど」の感覚——**自己を削るほどの努力**と**消費**が必要になる。その美を支えるのが、お金。美容医療、コスメ、エステ…美の追求には常に経済が伴い、ここで次なる怪物——**カネゴン**が生まれる。

カネゴンは、美を維持するために金を食べ続けなければならない存在。美を欲する心が“金への依存”を招き、その結果として**手段だったはずの金が目的化し、人間の姿を失う。つまり、現代社会は、美の頂点に立ったメデューサと、それを支えるカネゴンの二面性によって動いている**とも言える。

#読書
#読書記録
#読書ノート
#美容

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2025年07月19日

Posted by ブクログ

エンタメ関連は信頼している雑誌編集者がお勧めしていた本。
韓国に引っ越した中国系アメリカ人の作者が韓国で感じた美容に対するそして社会が女性に対して求めている高すぎる「美」のハードルを文化的そして歴史的な背景を入れながら説明している本。
韓国ではもともと儒教の教えで女性は年配の方を尊敬し、夫に仕え、子どもに時間を割くことが求められていたため屋内にいるシミのない白い肌の女性が理想とされていた。そして戦時中に慰安婦はアメリカ人好みに合わせて目が大きい方が良しとされた時代背景があったため美白+二重まぶたが理想となっている。
また90年代にIMF危機という大打撃を受けた韓国では経済を立て直す必要になってしまい、ソフトパワー戦略でモノではなく韓国の魅力が出せるものに投資していくことを実行。ポップカルチャーやエンタメに後押しすることになり、K-pop が全世界で浸透させることに成功。それに合わせて韓国コスメやスキンケアも売り上げを伸ばしていっている。
日本でも薬局などで韓国コスメセクションがあったり、前よりも確実にブランドの数が増えているのを見ると大成功をしたと感じる。そして韓国美容を語る上ではアモーレパシフィックというのは外せないんだなと思った。
もともと学歴や仕事においてランキングなどで競わせるイメージの強い文化なのでその中で成功していくために女性はこうでないといけないというプレッシャーもすごい。そして手軽に整形できるので頭から足の先までなんらかの施術があり、さらに女性のデリケートゾーン(どやって?) も含まれていることが1番な衝撃だった。
表紙やタイトルからはポップな美容エッセイに見えてしまうが、もともと英語のタイトルはFlawless: Lessons in Looks and Culture from the K-Beauty Capital というざっくり訳すと『韓国美容から学ぶ「完璧」に関する見た目や文化について』といたって真面目なタイトルなので日本人を勘違いさせるなとあまり納得していない…日本で宣伝している韓国ドラマのポスターと同じ手法だなと。
今思いつくだけでもハイフ、リジュラン、ポテンツア、インモード、、などなどたくさんの施術が普通に行われていて近年では本当に日本でも普通にいろんな人(主にインフルエンサー)が受けているところをよく見かけている。
結局どのように「美」と向き合うべきかすごく考えさせられた。

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2025年05月04日

Posted by ブクログ

韓国の美容に対する意識がよくわかる本。
12-16歳の娘がいる韓国の母親の4人に1人が娘に美容整形をすすめたことがある、らしい。
韓国の女性が美しくあることは「must」なのだろう。生きづらそうである。
上記のように具体的な数字が出てきてへぇ〜となる。韓国は多くの人が日焼け止めをしっかり塗るので皮膚がんが滅多にいないため、皮膚科医はアメリカに勉強しにいく」みたいな記載もへぇ〜とは思った。(ただ、ネットで軽く調べると20年で7倍くらい増えているらしい)

上記のように韓国の美容についてはすごくよくわかるのだが、ちょいちょい挟んでくる著者自身のプライベートの記載の時系列がぐちゃぐちゃで少し読みづらかった(娘の年齢が上下したり、離婚したあとに3人目の妊娠について書いたり)
また、全体的に、この韓国の現状について批判する訳ではなく、賞賛するわけでもなく、で進むのも読みづらい原因だと思う。MeToo運動の話題では、やはり過激な美の強要に対して否定的な意見が強かったものの、著者の意見は曖昧である。
ジャーナリストとして書いているから、どちらの意見でもないのはわかるのだけど、であれば著者のプライベートは書かなくてもよかったのでは?と思う。

個人的には、この本を読んだことで逆に美意識は上がったように感じる。日焼け止めをいっぱい塗ることで皮膚がんを減らせるならその方がいいし、美容に気を配ることで自分自身が幸せを感じられるのはよいこと。ただ、韓国女性のように美容に金をかけると非難され、金をかけないとさらに非難されるような環境自体はよくないと思う。美意識は、強要されるものではない。


あと最後に原文のタイトルからどうやったらこのタイトルになるんだろう…?
興味をひかれるけど、著者がシートマスクを信じているかどうかの記載はなかった。

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2025年09月07日

Posted by ブクログ

とにかく重かったが、韓国は異次元なのだな。儒教の教えで髪を切ることすら憚られていたのに、現在は両親が生計をプレゼントする時代。顔や体型を整えることがマナーになりつつある…と。

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2025年06月10日

Posted by ブクログ

ソウルに駐在した女性記者が語る韓国の整形事情。
韓国の小説を何冊か読んでいる人にとっては、そんなに目新しいことはないと思うが、小説の背景となっている事件や社会通念を知ることはできる。

何年も前、韓国旅行中に街中で赤ちゃんの整形広告を見てゾッとしたが、最近は日本でも小学生の整形に関するニュースを見かける。
価値判断の最上位に「見た目」がセットされた子どもたちは、これから成長してどんな世界をつくっていくのだろう。

本書のまとめ部分で紹介されている、ドクター・リンジィ・カイトの言葉に”「すべての女性が美しい、欠点も何もかも含めて!」というメッセージは「本当にすばらしいですが、問題の解決にはなりません」”とあるが、本当にそのとおり!!
自分のマインドがどうあろうと、周囲の人が美に価値を置く限り、見た目で判断されることは続くし、今後もその価値基準がなくなることはないだろう。
ただ、これから先は基準が分散されていくような気がするので、今のような画一的な基準からは解放されるのかな…

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2025年02月25日

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