あらすじ
2024年に日銀の限界が露呈した。
第一に日銀は、異常な円安を止めようとしなかった。
第二に株価が暴落すると、株価の動向を気にし、利上げを躊躇するようになった。
第三に、企業が賃上げを販売価格に転嫁するのを、日銀は「物価と賃金の好循環」であり、望ましいことだとしている。
しかし、これでは物価が上昇するし、物価上昇が止まらなければ、名目賃金が増えても実質賃金が増えることはない。
企業の利益は増えているのに、なぜ国民の生活は苦しくなる一方なのか?
日米トップの交代で日本経済は今後どうなっていくのか? その詳細を徹底解説。
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Posted by ブクログ
相変わらず歯切れの良い原理原則論からみた日本経済を総合的に分析してくれる。このようなまともな経済学者はけっこう少ないもので、リフレ経済学者などは大胆な金融緩和を主張し、MMTに被れた論者などはいくら国債を発行しても構わないと盛んに主張している。
補助金じゃぶじゃぶの経済は、必ずその産業を弱くする。そのことは長年の農業政策で明らかなのに、日本はt毎年超多額の補正予算を組んで、ばら撒き政策を続けてきたのだ。その結果産業呼応像は古いままで、もはや韓国にも抜かれてしまった。まともな経済学者と政治家が日本には少なすぎるのだ。
Posted by ブクログ
やっと読み終わった。
本書に限らず、この人は本気でそう思っているのか、敢えて極論を言っているのかが判然としない。
著者の極端な主張や主観の部分を除くと、客観的なところは結構様々な実際の現状を背景や環境含めてタイムリーに直近のことまで正確に掘り下げているので、そこは事実確認として非常に役立つ。そこまで著者が見越してのことかどうかはわからないが。
Posted by ブクログ
株価がバブル後の最高値を超えたのはやはり、円安が進んだため企業の利益が増大したから。
日本企業の生産性向上や、株主優先の姿勢を強めたからではない。
2024年8月の株価の暴落の直接の要因は、アメリカの景気後退によってFRBの利下げが大きくなるという予測が広がり、円キャリー取引が巻き戻され為替レートが円高方向に転換したから。
現在の実質実効為替レートは1970年代初めの1ドル=360円の固定相場制の為替レートとほぼ同じくらい円安。
2023年の円の購買力平価は、1ドル=90〜95円程度。
2021年から2024年1〜3月期の間に、大企業の粗利益は約3兆円増加。
これは2023年ごろからの輸入物価の下落分を販売価格の引き下げに還元しなかったから。
GDPデフレーターは、国内要因による物価変動だけを表している=輸出入物価の変動は、国内価格に完全に転嫁されれば、GDPデフレーターに影響を与えない。
企業が輸入物価の下落分を国内物価の下落に転嫁していないため、23年第3四半期にGDPデフレーターは対前年同期比で5%に急上昇した。