あらすじ
決定版にして重要な記録……本書は、いままさに進行している、
人新世における人類と野生世界との衝突に関する必読の書である。
――ジェームズ・バログ(アースビジョン研究所所長)
科学ジャーナリズムの最高傑作だ。
徹底した調査、入念な構想、そして生き生きとした筆致。ぜひ読んでほしい一冊!
――ネイト・ブレイクスリー(American Wolfの著者)
悲痛でもあるが、希望もあり、科学的知見が豊富でありながら詩的な趣に満ちている。
人類がいかにクマを傷つけ苦しめてきたかを勇猛果敢に探求する書だ――そして、
同じ地球に生きる仲間であるクマを救う力が、人類にはまだあることも証明している。
――ベン・ゴールドファーブ(『ビーバー』の著者)
●本文より
人間は、この偉大なる捕食動物を征服しようとし、
その強大な力に服従もした。
クマを見せ物にし、商品にし、戦士に仕立てた。
そしていま、私たちは、その未来をも決定づけようとしている。
現存する8種のクマを追って、アンデスの雲霧林からインドのジャングル、
そして北極の海に浮かぶ氷原まで、世界各地を訪れる。
そこから見えた、クマたちの過去と現在、そして未来とは。
開発により生息環境が脅かされているメガネグマ、
熊胆を採取するために飼育されているマレーグマ、
徹底した管理で数が回復してきたパンダ、
人との衝突が深刻化するアメリカクロクマなど、
転機を迎えつつあるクマと人の関係はどこへ向かうのか。
世界のクマの現状を掘り下げ、野生動物との共生のあり方を考える。
解説:山﨑晃司(東京農業大学教授)
●目次
第I部 南アメリカ
第1章 雲に棲まうもの(メガネグマ、エクアドルとペルー)
第II部 アジア
第2章 死と踊る(ナマケグマ、インド)
第3章 ソフトパワー(パンダ、中国)
第4章 黄金の液体(ツキノワグマとマレーグマ、ベトナム)
第III部 北アメリカ
第5章 野生の世界を飛び出して(アメリカクロクマ、米国)
第6章 グリズリーの再来(ヒグマ、米国)
第7章 氷上を歩くもの(ホッキョクグマ、カナダ)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
8種の熊をおって、世界各地に赴いた著者が、
丹念に熊の関係者と接触し、読みやすく、
ユーモアに富んだ本だった。
もちろんクマに関する歴史や神話、民話、
その他の環境についてなどのさまざまな角度から
人間と熊の共生について考えさせられる。
あと何十年後かにホッキョクグマは
姿を消して動物園にしかいないかもしれない。
ツキノワグマやマレーグマの熊胆の話は、
めをそらしそうになってしまったが、
実際に今も行われていると思うと胸が痛い。
パディントンのモデルがメガネクマというのは
初めて知りました。
化学書初心者でも読みやすいクマ好きなら
最高の1冊です。
これからのクマはどう人間たちと関わっていくのか。
そして人間にできることとはといろいろ考えさせられました。