あらすじ
地球から一万光年離れた惑星カザンで、文明の急激な成長と滅亡が観測される。すでにワープ航法を手にしていた人類が、急遽この星へと送り込んだ調査チームの750名は、到着後完全に消息を絶った。カザン文明はいかにして滅び、先遣隊はなぜ遭難したのか? 原因究明のため地球を出発した第二次調査隊は、文明の痕跡が残る衛星の調査ののち、厳重な警戒態勢のもと惑星地表へ降り立つ。降下メンバーには最愛の妻である蒼井をかつて喪った、カザン文明調査班班長・吉野の姿もあった──現代宇宙SFの旗手が描く、緊迫のファースト・コンタクトSF。
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Posted by ブクログ
ある星の調査に向かった宇宙船が行方不明になり、第二陣として主人公らが乗る大型の宇宙船が調査に赴く話。惑星カザンには文明が発見されていたはずだが、主人公らが到着した際には文明が滅んでおり、何故か地球に存在する植物が生えていたりするなど、奇妙なことが続く。調べていくうちに星の表面がすべてナノマシンで構成されていることが分かる、という内容。
超強力な学習機構を持つナノマシン群と手探りで会話を進め、認識の溝を手探りで埋めていく辺りが面白い。登場するナノマシン群が模した人物らには不気味さや何をやってくるか分からない怖さもあるのだが、なぜかレゴブロック遊びをしている子供のような感じがした。相手からの敵意が感じられなかったからかもしれない。
個人的には第一陣の搭乗者と似た人物が地表にたくさんいる事が発覚した辺りが一番盛り上がった。ソフトウェアが載ってないハードウェアにソフトウェアを載せるに等しい、蒼井AIと複製蒼井の融合も、その後どうなるかとハラハラした。
最終的に彼らは群から個を獲得したわけだが、独立していると思っても、割と群として動いてることの方が多いんじゃないかと思った。
Posted by ブクログ
こてこてのハードSF。文明が成長し滅亡したと思われる惑星カザンに第1次調査隊が派遣されるが行方不明に。第2次調査隊の吉野は、惑星表面にナノマシンがあり、第1次調査隊や桜など地球の植物を複製する存在とファーストコンタクトする。カザン人が複製した21世紀の地球の大都市に入ると、そこには亡くなった吉野の妻蒼井の複製がいる。言葉が通じてもコミュニケーションがまったくとれず、亡くなった妻がいるとは、ここまではソラリス。
複製蒼井にAI蒼井がダンロードされてしまう。複数のナノマシンは生存競争を行い均衡状況にあったところに第1次調査隊が来て均衡が崩れる。ここは砂漠の惑星(無敵)。
林譲治にしては竜頭蛇尾に終わらず、中編にもかかわらずきちんと伏線を回収し解決し、最後に落ちまでついている。レムへのオマージュにみえるけれども。
Posted by ブクログ
AIエージェントと創造物との統一シーンが美しい映像として浮かんだ。一方ワイダニットとしては工夫が無く、犯人は徹頭徹尾、粗暴で自己中心的な人物だった。
Posted by ブクログ
「一万光年を隔てた異星で、
調査隊員750名はなぜ消息を絶ったのか?」
という紹介文に惹かれて即購入。こういうの大好き。しかし書店で手に取ったら「薄!」。「一万光年を隔てた異星で、調査隊員750名はなぜ消息を絶ったのか?」がこの長さで解明できるのか!? ちょっと違和感w。
謎に引かれて、私には珍しく必死で2日で読んだ(読むのが速い人なら1日だろう)。が、ストーリーとしては面白いと思うけれど、読後の満足感はなかった。
謎が徐々にわかっていくというよりも、登場人物が(突然)説明してくれるし(「推測」を話してるんだと思ってたらそれがそのまま正解だったとか。。) 恋愛がらみ情愛がらみがあるんだけど、なんか上っ面な感じがするし、強欲な出資者みたいなのも出てくるんだけど、これもとってつけたような。
筋を追ってるだけで、物語に入り込むような感覚がなかった。小説というよりあらすじを読んでるような。
2日間、夢中にさせてくれたからありがとうございます。