あらすじ
フロイトの慧眼は人間論にある。人間の欲望と不安に関するフロイトの深い洞察にこそ、普遍的な人間性の本質がある。人間性に関するフロイトの理論――幼児性欲論やエディプス・コンプレックス、リビドー論、去勢不安など――は独特な仮説で、科学的に証明できない。だがその理論が指し示す現象の意味を吟味し、仮説の裏側にある本質を考察するという「本質学の観点」から諸理論を捉えなおせば、現代的な意義が明らかになり、見過ごされてきたほんとうのフロイト像が見えてくる。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「今日の精神医療、心理臨床の世界では、もはや(フロイトから始まった)精神分析の時代は終わった、と考えている精神科医、セラピストは少なくないだろう。」p254
という言葉がショッキングだった。
フロイトやユングの名著は、古典という認識が必要だ。
2025年の立ち位置で精神医療をみることができる本。
山竹伸二さんの本は他に「こころの病に挑んだ知の巨人」も読みましたがわかりやすいですね。
Posted by ブクログ
フロイトの理論は科学的には実証しがたいが、その意味を丁寧に理解していけば、人間性の本質についての鋭い洞察が見えてくる。
・フロイトが指摘した無意識は抑圧された欲望という内実を伴うからこそ、多くの人に影響を与えた
→自分の本当の欲望を解読してくれる理論としての精神分析が受け入れられた
・無意識の中にある欲望は二つの異なる欲望の葛藤(性的欲求=抑圧された無意識の欲望、身体的な快楽や愛を求める欲望、欲望の実現を目指して意識に浮かびあがろうとする力がある。
道徳心=自我の欲望、他者との関係や自己の価値に関わる欲望)
夢判断
・無意識に抑圧された欲望は、夢になって意識化される過程で歪曲され、暗号化され、隠される
→その欲望が社会規範や道徳、自尊心に反するものであり、意識したくないから
・夢の作業は無意識の欲望が夢という意識の舞台に出るに際して、検閲し、偽装作業を通して無意識の欲望を隠蔽しつつ、その欲望が充足できるような物語を紡ぎ上げる
性欲論
・関係の喜び
・母親との二者関係から、次第に第三者を意識するようになるという構造
→承認される自分という自己意識、自己の存在価値に対する欲求
自我心理学
・フロイトは晩年、抑圧するものである自我の中にも無意識の部分があるということを認めた
=抑圧されたものだけが無意識なのではない
第二局所論
自我、エス、超自我
自我(≒理性)はエスの欲望に突き動かされながらも、外界の要求を守ろうとしてエスを抑制する、一方で自我は常に超自我の行動規範に従わされ、従わなければ罪悪感に襲われる。
→自我はエス、外界、超自我の三者に要求を突きつけられ、葛藤に苦しむ
・自我の無意識的な側面が超自我であり、特に幼児期における親子関係のルールが身体がされている(親を理想の自我とみなし、その理想像を内面化する)
→徐々に他者や社会の影響を受けて修正されるが、容易ではない
・しなければならないという義務の感情の根底には、欲望充足と不安回避という動機があり、両者は表裏一体(失敗することへの不安と危険を避けたいという欲望)
人間は相反する欲望を抱え、欲望の葛藤に悩まされる存在であり、顕在化する場合が少なくない。そこに不安が生じ、回避しようとする行動が習慣化されてしまうと、自分の意思で行動を変えることが難しくなる
→それらを自覚し、自己了解することができれば、再び自らの意思で行為を選択し、自由に生きる力を取り戻せる(無意識を確信する経験)