あらすじ
狂乱のバブルが生んだ最後のアンチヒーロー
もう二度と日本にこんな兄弟が現れることはないだろう。
狂乱のバブルに踊り、栄光と挫折の物語を生きた2人は、時代が求めた最後のアンチヒーローだった!
質素なスポーツの祭典だったオリンピックを巨額の利益を生み出すイベントに変えた電通にあって、長年、スポーツ局に君臨した高橋治之が、2022年、ついに東京オリンピックでの収賄容疑で東京地検に逮捕された。東京拘置所へと引っ立てられる治之の姿を見て、30年近く前、同じような光景を見た気がした人も多いだろう。
1995年、東京協和信用組合破綻に関する背任容疑で東京地検特捜部に逮捕された、イ・アイ・イーインターナショナル社長の高橋治則。治之と治則は年子の兄弟なのだ。
天皇家にもつながるという名門で、花嫁修業中のお手伝いさんがいるような裕福な家庭に生まれ、慶応幼稚舎から慶応大学に進み、電通、日本航空という当時の超一流企業にコネで就職。誰もがうらやむエリートコースを進んだ2人が、なぜ、そろいもそろって塀の向こう側に落ちてしまったのか。
稀有な兄弟の人生を、抜群の取材力でたどった本書は、戦争ですべてを失った日本が、奇跡の復興によって立ち直ったものの、やがて傲慢になり、バブルの狂乱を生み出して破綻していった「昭和」という時代を見事に描き出した。
大きな話題を呼んだ「週刊文春」長期連載がついに単行本化された。
現在、裁判中の治之のインタビューに成功し、直接、疑問をぶつけ、肉声による反論を載せているのは、まさに王道ノンフィクションの醍醐味である。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
かってバブルの頃 借金を重ね 勘とセンスで
世界のリゾートを買い漁った男がいた。
高橋治則。
肥大化したスポーツビジネスを逆手に取り 上昇志向で次々と成功を手にした男がいた。
高橋治之。
この本で 初めて この二人が 一才違いの兄弟だと知った。兄は記憶に新しく。弟は記憶が薄くなってしまったが、一時は新聞紙上を賑わしていた。
二人とも 慶応幼稚舎出身の生粋の慶應ボーイ。
兄は電通に、弟は日航に就職した。
恵まれた環境、“こね”と“人脈”を駆使して登り詰めて行く。
が、どこで間違ったのか。
“五輪を喰った兄” “長銀を潰した弟”と言われるように。
400ページ近い本だったが けっこう一気に読めてしまつた。なかなか興味深い内容だった。
やはり ノンフィクションは 面白い!
Posted by ブクログ
2025.07.30
まだ生きている人の評伝は難しいと思わされる一冊。弟は亡くなっているだけに、その思いをより強くする。
本書ではマスコミでは「大騒ぎ」したけど、その実情を正確には覚えていない2つの疑獄事件について詳述した良書。バブルの匂いがよく伝わる。
ここからは、個人的な感想。
貴重な情報源だからしかたないのかもしれないが、弟の愛人と兄の2人には憤りを感じざるをえない。
罪は全部「弟」にひっかぶせて、兄も愛人も「弟」をしゃぶりつくした。そのことに恥じ入る様子もなくのうのうと生きていると思うと正直腹が立つ。兄は刑事犯として有罪かどうかより、人として終わってる。愛人も然り。
そして、「電通」と「慶應」という組織に属する人間には親和性が高いのだと思う。
双方とも仕事や勉強という中身ではなく、ウェットな「義理と人情」の人間関係だけで生きている。
だからこの両方の組織には「勉強ができる」「仕事ができる」といった属性の人間が飛び込むことはオススメできない。両方とも「まとも」「地道」なところではない。
Posted by ブクログ
この連載を読むためにだけ週刊文春を開いていた時期があります。ジャニーズ関係や松本人志関係などの文集砲が炸裂していたのとダブっている記憶があるのですが、その時は現在進行形の事件より、このちょっと過去のこの兄弟の物語(兄・治之の裁判は進行中だったものの…)の方が印象深かったようです。読み落とした週もあるので、ずっと単行本になるのを待っていました。一気読みすると改めて、この兄弟の諸行の濃度にぐったり疲れます。その原因は時代の欲望の深さだったり、日本という国のシステムの薄さだったり、人間の愚かさへの絶望感だったり…もしかしたらこの物語を読んで衝撃を受けている自分という存在の小ささについての自嘲なのかも。いかんいかん。そんなこと言っていると弟・治則のプライベートジェットに乗りたがっている輩みたいではないか…取り込まれないようにしないと。政治と金融とビジネスが狂い咲いた時代のやりたい放題ブラザーズ。プロレスだったらすごいヒールで人気になりそうだけど、この兄弟の現実の社会に大ダメージを与えた罪は重い気がします。バブルという特殊な時期の象徴ではなく、治則のリゾート開発は昭和という時代の終わりの始まりを表し、治之のオリンピックビジネスは終わりの終わりを表すように思えました。いや、今、開催中の国家イベントを横目で見ると、終わっていないかも。
Posted by ブクログ
とても興味深いものでした。
高橋治則氏が治之氏の弟だったとは…
バブルの二信組事件が強く残ってたので、治之氏の方は、国家プロジェクトなんだから、賄賂が横行するのは当たり前。電通って変わってないよなってイメージでしたね。
バブル兄弟、タイトル素晴らしいです。
Posted by ブクログ
裕福な家庭に生まれ、慶応幼稚舎から慶応大学に進み、兄は電通、弟は日本航空という当時の超一流企業にコネで就職。その後、兄はスポーツマーケティング界の重鎮に、弟は「環太平洋のリゾート王」とまで称されるようになる。兄の有力者とコネを作り、資金を集めてイベントを仕掛けていく仕事のやり方はまさに昭和の電通のイメージを絵に描いたようなものだが、日本サッカーの発展やワールドカップ、五輪招致などに功績があったのも事実。ただ、そのやり方は令和の時代には汚職という形で指弾されるものであり、認識が変えられなかったのであろう。弟は長銀が金をつけなければあそこまでの事業拡大はできなかっただろうし、ある意味無計画な事業拡大はいずれ破綻していたのではないかと思う。
Posted by ブクログ
イ・アイ・イと聞いて懐かしいなぁと思っていたら、東京五輪汚職(?!)の渦中の方と兄弟だとこの本を読んで知った。
いわゆるドキュメンタリ。
私は面白くて一気に読んだ。
Posted by ブクログ
雲の上の話すぎて実感は湧かなかったが、インタビューなり調査なりに基づいた非常に濃い内容だった
スポーツの世界は金と欲望にまみれていると思っていたが、やはりそうなのだなと思わせる。
あと、ここに書いてある慶應人脈の凄さを見ても、一流大学に通うメリットを感じる。
Posted by ブクログ
副題には「五輪を喰った兄・高橋治之、長銀を潰した弟・高橋治則」とある。
五輪というのは言うまでもなく先の東京五輪のことなので記憶に新しいが、長銀を潰した弟のことはどれほどの人が覚えているのだろうか。弟が活躍したのはバブル期であり、背任容疑で逮捕されるのは95年。2005年にくも膜下出血により死去。そして本書の大部分は弟について書かれている。
過去のできごとや死者について書くほうが簡単だし、東京五輪の汚職事件、裁判は現在進行形なために書きづらさはあるのだろうが、ややタイトルから受ける印象とのギャップはある。
著者の筆致からの印象だと、表面的にはあくまで客観的に描きつつも、弟の治則には同情的に見える。
「治則は一見ドライで、冷たい印象を与えるが、その実は情に脆く、献身的な側面があった。」
「実は純粋であるが故に脆く、世間知らずで、悪に染まりやすい彼の本質が現れていたのだろう。」
このような表現は兄の治之には見当たらない。
本書の表紙は内容に沿った見事な写真だと思うが、出版前に治之から「代わりのいい写真、持って来たから。あと弟も可哀想だから、これ。」と苦言とともに渡された写真も本書内に掲載されている。それは会社のホームページに社訓とともに載ってるような会長の写真といった雰囲気の「いい写真」で、すこし笑える。この「いい写真」では本書は売れなかっただろう。
それにしても、弟の治之は鬼籍に入ってしまったのでよくわからないが、この写真のエピソードからわかるように、独特の兄弟愛はある。本書を読むと兄の治之は弟を利用しているようにも見えるのだが、兄はそう思ってないし、おそらくは弟の治則にもそのような被害者意識はなかったのではないか。このあたりは慶応出身らしいおおらかさなのかもしれないが。
Posted by ブクログ
二人の兄弟が主人公 いずれもバブルと共に興り、そして沈んだのが共通点。スケールは日本国を揺るがすほど大きかった。ただものではない。
慶應附属から慶應大を卒業して、兄は電通、弟は日航。それだけで日本のトップセレブである。その二人が同じようにバブルを謳歌し、そして滅んだ。すごい物語である。閉塞感に満ちた現代からするとワクワクするところもあるがね所詮は「カネの話」
1980年代、弟「高橋治則」は「イーアイイー」による世界不動産投資を進め、ファイナンスを支えた長銀とともにバブルの海に沈んだ。損失額は2兆円とも。
2020年代、兄「高橋治之」は「電通」による東京オリンピック利権を采配し、汚職事件に連座した。安倍総理の懇願によるものだけに、彼の暗殺が誤算。
そしてもう一人、弟高橋治則の義父「岩沢靖」
1970年代の相場師、仕手戦で鳴らし滅んだ。
一方で、北海道の実業家として、金星ハイヤーの起業から身を起こし、札幌トヨペット、札幌大学、北海道テレビ放送の企業グループを築き上げた大実業家でもある。これら企業も岩沢に準じて破綻に直面し、その後再生の道を歩んだ。