【感想・ネタバレ】饒舌な動植物たちのレビュー

あらすじ

1,000キロ先まで届くクジラの歌、
対ミツバチ警戒音を持つゾウ、
孵化する前から親子で呼び交わすカメ、
人間の産業活動が発する音で傷つくタコや海草……

ヒトには聴こえない音を聴き取り、意味を解析する研究が進んでいる。
その結果、動物の交流における音声の役割に加え、
聴覚器官を持たない植物やサンゴまでもが音を頼りに活動していることがわかってきた。

デジタル音響技術が明らかにした動植物の知られざる生態から、
人間の経済活動が発する音に影響される陸上・海中の生態系まで、
生命が奏でる音の多様性と未来を描く。


【原著書評】
美しい文章で描かれ、隅々まで研究が尽くされている。数々の洞察が詰まった書物である。
聴くという行為をさらに押し広げていくことへの素晴らしい招待状だ。
――D.G.ハスケル(『木々は歌う』『ミクロの森』著者)

テクノロジー起業家であり大学人でもあるカレン・バッカー氏は、音響を明らかにするデジタル・テクノロジーを視覚における顕微鏡の働きに匹敵するものであると美しい文章でつづる。
人間の聴覚能力を拡張することによって、テクノロジーは世界中の、そして系統樹の遠く離れた場所にある「新しいサウンドスケープ」に私たちを出会わせてくれる。
――アンドリュー・ロビンソン(ネイチャー誌)

入念な研究と、生き生きとした描写。
さまざまな側面から専門外にもわかりやすくまとめ上げた、この分野では初めての書物。
動物の生態系や科学の実践活動の物語、未来志向、先住民族の知恵に関する解説が、
学際的に配されており、素晴らしい出来栄えだ。
――ベンジャミン・ゴッテスマン(サイエンス誌)

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Posted by ブクログ

ヒトには聞こえない周波数の音で交信しあうゾウ、ミツバチ、クジラ、コウモリ、サンゴ、カメ……。それらの研究の歴史的エピソードも紹介しながら、研究の現在、そして今後の展開に思いを馳せる。
分野的には音響生物学や音響生態学か。観察・観測・解析というpassiveなものから、こちらからコミュニケートするというactiveなものへと研究は進みつつある。とくに最新の音響技術とAI(機械学習)を用いた異種間コミュニケーションの可能性の問題が興味深い。
著者のカレン・バッカーはカナダのブリティッシュ・コロンビア大学教授。昨年(2023年)逝去、51歳。亡くならなければ、知的に刺激的な本をたくさん書いていたかもしれない。残念。
(蛇足。全体的に読みやすいが、引っかかる訳語もいくつかあった。たとえば、グリフィンのいうsuprasonicを「超音速」と訳しているが、ultrasonicと同意で、「可聴域を超える」の意味だと思う。)

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2025年05月07日

Posted by ブクログ

動植物が出す音に焦点を当てて、最新の技術と生物学が探求する他種とのコミュケーションの話。
各章大小様々な生き物に焦点を当てて、詳しく説明されている。とても面白かった。多くの人におすすめしたい。

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2024年12月25日

Posted by ブクログ

最新の機器の進化や小型化で、特にこれから進むであろう音響の世界を垣間見る事ができる本でした。人間は他の動植物に多大な迷惑をかけているが、音響の世界でもまた深刻な影響を及ぼしていると言うことが分かりました。想像以上にたくさんの種類の動植物(特に海洋生物)が、繁殖、生命維持の為に音を利用している様です。

またまだよく分かっていない、植物の音響利用についても触れていて興味深い。聴覚を感じる器官らしきものがないにも関わらず、音に反応するというので不思議。

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2025年06月12日

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