あらすじ
DNA鑑定が間違える確率を0.0001%だとした場合、DNAが一致した容疑者は、99.9999%犯人と言えるか? 例えば「公平な分配」が問題になったときに、「ただ数値上正確に半分に分ける」のではなく、「他人をうらやましいと思わずに済む分け方」を追究するのが、法的思考の考え方。さまざまな事例に柔軟に対応し、当事者を説得し、納得してもらえる良い結論を導くための構造化された知識(スキーマ)が「法的思考」。国内外の事件や裁判から各種思考実験、シェイクスピア『ヴェニスの商人』、ドストエフスキー『罪と罰』まで、豊富な例を通じて具体的に考えながら学んでいきましょう。
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Posted by ブクログ
これは哲学書であり、マイケル・サンデルの白熱教室であり、数学であり、、、
法学、というと、条文の世界、のように思われがちだが、
この本を読むと非常に奥が深いものであることがわかる。
殺人をケーススタディとした分析が多いのはやはり法学的だが、
ここに「解釈」を挟まないと、とてもじゃないが判断はできない。
心中と騙して相手だけ自殺させるのは殺人と同じ
なんて、条文には書けない。解釈を含む三段論法が必須。とか。
目撃証言の危うさ、、人は見ているようで見ていない。
何が正義か、、、
確率論も多数登場する。数学の世界。DNA鑑定×血液型、、人口比、、、
なかなか簡単には犯人を特定出来ないことがわかる。
線形代数的な考え方も登場する。
思考はたのし、だ。
しかし現在はびこる反知性主義は、そういうものをすっ飛ばしてしまう。
そういうのがトップにいる国の国民は幸せではないと思うんだけどなあ。
第1章 法的思考とは何か
(ケーキの分け方;『ヴェニスの商人』の法律学―ポーシャの判決;法的思考の特徴)
第2章 法律の点検
(世界は法で覆われているか;立法爆発の時代 ほか)
第3章 事実認定
(『十二人の怒れる男』;目撃情報のあいまいさ ほか)
第4章 法律論に潜む価値判断
(法律論は価値判断の押し付けではない;メタ「正義論」;正義論の見取り図;4象限マップ)
第5章 法的思考を使ってみよう
(元号法;足利事件;部屋割り問題とマーケット・デザイン;改めて「法的思考」を考える)