あらすじ
日本は急速に貧しくなっています。私はその責任の大半は過去20年に及ぶ日本政府と日銀の政策にあったと確信しています。かつて日銀総裁自身が「2年間の異例な措置」と口にしていた超低金利政策は、2年どころか10年以上続いてしまいました。漫然と「2年限定」だったはずの政策を続け、その結果、日本は昔の東南アジア諸国のような「途上国」になり果てようとしているのです。希望はないのでしょうか? 私は「ある」と信じます。この本は、日本国民の多くが日本の現実に気が付いて、その対処に向かうための指南書です(本書「はじめに」より)。 ●自民党幹事長が動かせるカネ ●途上国の発想 ●噴飯物の年金財政検証 ●大丈夫か? 大阪・関西万博 ●知られていた自動車不正認証問題 ●NHKの偏向報道 ほか
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Posted by ブクログ
先日隣駅の本屋さんに行った時に見つけた本です、以前にもこの著者の本を読んだことがあったので手に取ってみました。海外には自分で足を運び、その体験に基づいた内容で描かれています、世界の中に日本がどのように位置付けられているのかもわかる内容もありました。
テレビや新聞では本当に知りたい情報は得られないことがわかってきた現在ではこのような本に出会えるのは幸せだと思います。それも本代を払うだけで済むので、この状況が変わらないうちに、情報を得ておきたいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・毎年300億円以上の政党助成金なんて制度は世界各国を見渡しても聞いたことがない、1月1日が交付の基準日になっているために、毎年年末になると小さな政党が誕生する、5人程度しか国会議員がいない政党でも、税金で毎年10億円くらい支払われる。法律上、政党から政治家個人に流れた金については、政治家個人は使途の報告義務はない(政策活動費)、受け取った政治家には使途の公表義務はないが、政党からの支出については記録に残す義務があるので、流れた金額が確定できる(p26)この政策活動費制度は、政治資金規正法の「抜け穴」であるが、この穴を塞ぐ方向性の議論は全く聞こえてこない(p27)
・国会議員が中選挙区制度を嫌った理由、自民党の国会議員は、タレント議員でもない限り、地方議員の頑張りで票をかき集めて当選を目指すことになる(p31)
・円安の今は、日本人が旅をしてお得感があるのは、1)ラオス、2)ベトナム、3)インドネシア、マレーシアもセーフかも知れない、ミャンマーは政情が不安定(p39)
・モデル世帯が毎月受け取る年金額は「23万円」現在の年金受給世帯は、およそ2680万世帯、国民年金25兆円、厚生年金で30超円強、合計55兆円である(p45)
・今後少しずつ金利は上昇を始める、銀行預金の金利が貨幣価値の下落をカバーする(=預金金利が物価上昇率と上回る)のは、かなり時間がかかる、その間ずっと、日本国民はマイナス金利の洗礼を受ける(p58)お金の価値を上げる唯一の方法は、円というお金の金利を上げること、江戸時代なら小判の菌含有量を増やす方法があったが、現代のお金は単なる記号なので、そんな手は使えない、人類の歴史でインフレ時代が続いたのは、インフレ=人間の欲(=同じものを人に譲る時、対価は多い方がいい)に基づくので(p65)
・なぜ途上国には認知症患者がほとんどいないのか、理由は認知症になる前に皆、死んでしまうから(p77)
・今から20年ほど前に韓国は戸籍制度を全廃したので、世界で戸籍制度があるのは、中郷・台湾・日本だけになった(p83)
・現代の日本社会は、努力した人・才能がある人と、そうでない人の社会的および経済的格差が、多くの国に比べて極めて小さい(p144)
・日本の政策は、子育て・食費負担にあえぐ中間層の所得を低所得層に回す政策でジニ係数が再配分後に改善していると見る(p166)
・エジプトは過去4次にわたってイスラエルと戦火を交えているが、イスラム諸国の中で真っ先に現実対応を進め、イスラエルと国交を結んで、イスラエルという国家の存在を公式に認めた、イスラエルを襲ったハマスから見れば、エジプトは最初にパレスチナを裏切った国となる。ハマスがイスラエルを攻撃したのは、サウジアラビアがイスラエルと国交を結ぶ可能性がある、という観測が流れたことも背景にある、ハマスにとって絶対に避けたい事態(サウジアラビア尚のイスラム国家がイスラエルと国交を結んで、存在を認める)は避けられている(p171)
・現在衛星通信に使われている静止衛星の高度は地表から3600キロ離れていて、電波でも往復で0.1秒の遅れが生じる。ところが地表500キロを飛ぶ衛星ならタイムラグは生じない。イーロンマスクは地表スレスレに、3000基の衛星を打ち上げて、地表の端末でインターネット通信ができるシステムを構築した(p179)
・ビックモーターが成長の過程で「ハナテン中古車センター」を傘下に収めた(p202)ビックモータは中古車を自分で直販する仕組みを持っているので、一般的な中古車買取店よりも買取価格が高いだろう(p204)修理は少なくとも、ディーラー修理より安かったので成長した(p205)保険会社も修理費の高いディーラより、多少水増しがあっても修理費の安いビックモータで修理してもらう方が安上がりだった(p207)
・第一次世界大戦中に、ドイツとオスマントルコと戦っていたイギリスは、ユダヤ人が持つ莫大な資金で戦争を遂行したいと思い「協力してくれたら、現在トルコに占領されているパレスチナにユダヤ人国家を建設する=バルフォア宣言」、トルコの支配下にいたアラブ人達には、「オスマントルコに反乱を起こしてくれたら、アラブ人国家を認める=フセイン・マクマホン協定」さらに、フランスとロシア相手に「大戦が終わってトルコが敗れたら、中東地域のトルコ支配地域を三分割しよう=サイクス・ピコ協定」という、3枚舌外交をやった(p223)
・18世紀にベンサムによって「最大多数の最大幸福」という概念が作り出されたが、その後に「少数意見の尊重」が民主主義社会の新しいスローガンになり、今やそれを通り越して「奇異な行動に社会が左右される時代」になりつつように感じる、私たちの社会は今こそ「最大多数の最大幸福」というかび臭い概念を取り戻す必要がある、少数意見の尊重や少数者が厚い福祉を享受できる権利は、圧倒的多数の声なき国民の幸せと少なくとも同時進行であるべきである(p255)
2024年11月19日読破
2024年11月19日作成
Posted by ブクログ
歯に衣着せぬ物言いをする筆者だけあって、大物政治家であろうが、大手企業であろうが、実名ありで持論を展開するあたりは流石だなと思った。
少し偏った見方なところもあるかなと思いつつ、マスコミの報道を鵜呑みにしがちになるところ、一呼吸置くことも大事なのだと思い知らされる。
若い頃から世界各国を旅して歩く筆者にとって、日本経済が勢いに乗っていた頃を知っている分、今の日本は途上国に成り下がったとの言葉が世界における日本の立ち位置を表していて愕然とした。