【感想・ネタバレ】資本主義再興 危機の解決策と新しいかたちのレビュー

あらすじ

資本主義によって世界経済は驚異的に成長し、豊かになった。しかし、同時に資本主義システムは、格差や不平等、気候変動、環境悪化、社会的排除など様々な弊害を生み出し、近年それらは悪化の一途をたどり、大きな批判を受けている。資本主義が抱えているこれらの深刻な問題をどのように解決すればいいのか。どうすれば資本主義を望ましい形に修正できるのか。オックスフォード大学教授で世界的経済学者のコリン・メイヤーは、本書でその答えを出した。
メイヤー教授は、ビジネスの目的(パーパス)とは何か、利益とは何かを問う。
利益は進歩を促し、進歩は繁栄を生み出すが、一方で深刻な問題を引き起こす。なぜなら、利益は、他者や社会の問題や課題を解決することよってもたらされるが、他者や環境、社会などを犠牲にしても得ることができるからだ。
ビジネスの目的(パーパス)は、人々と地球の問題に対する有益な解決策を生み出すことであるべきで、問題を生み出すことではない。つまり、企業は、問題を生み出して利益を得るべきではない。企業はお金を追い求めるのではなく、問題の解決策を追い求めるべきであり、それを実現するためには、資本主義システムの様々な部分に、「道徳律(他者がしてほしいと望むことを、他者にする)」を根づかせていく必要がある、とメイヤー教授は主張する。この主張は単なる理想論ではない。企業経営、コーポレートガバナンス、法律、会計、金融などにどうやって「道徳律」を組み込んでいけるのか。具体例を交えて、本書でそのフレームワークを明確に提示する。

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Posted by ブクログ

資本主義の将来やあるべき姿について関心があり本書を手に取りました。まず非常に満足しています。思った以上に中身が濃く、会社法やコーポレートガバナンス、株式所有、会計、資金調達(デット/エクイティファイナンス)など幅広のトピックを網羅的にみて、それぞれをどう修正すべきかが述べられていました。

本書の印象としては、マルクス・ガブリエル氏が提唱する「倫理資本主義」との主張の類似でしょうか。両者ともに、企業の目的(利益を稼ぐこと)と道徳(もしくは倫理)を一致させよ、ということなのですが、その手法はずいぶん異なります。ガブリエル氏は、CPO(チーフ倫理オフィサー)のような職種を企業内に設けることを提唱していますが、本書の著者であるメイヤー氏は、会社法の修正(道徳律を組み込む)、道徳律を実行するための株式所有構造の理想的な姿、道徳律を組み込んだ「真の利益」の計測方法、社会の信頼を強化するためのあるべき資金調達などを提唱していて、より具体的ではありました。

また本書はアダム・スミスの代表的な書籍である「国富論」と「道徳感情論」の2つから大きくインスパイアされているという印象を受けました。ノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・センは、この2つの本はなんら矛盾しておらず、アダム・スミスは交易(取引:トランザクション)についての利己心について国富論に書いたが、それ以外の経済活動については、道徳感情論に書かれているような共感、協力などが欠かせないと認識している、と分析していました。おそらくメイヤー氏も同様で、どちらかと言えば、アダム・スミスの道徳感情論を我々はもっとフィーチャーすべきである、というメッセージかと思いました。つまり国富論の中心テーマは「取引(トランザクション)」であり、それは利己心が動因となりますが、それだけだと「他者に損害を与えたうえで得た利益」という誤った利益を生み出してしまうことから、トランザクションだけでなく(注:トランザクションをなくせとは言っていない)、プラスアルファとしての「関係性構築(あるいはインタラクション構築)」を企業は増やすべきである、という主張と理解しました。

昨今はマルクスを再評価しようとする本が多い中で、むしろアダム・スミスを再評価し、そこから資本主義の新たな姿を構想するというスタンスには大いに共感しました。

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2026年04月04日

Posted by ブクログ

マルクス・ガブリエル氏が新しい資本主義を説く「倫理資本主義の時代」のなかでコリン・メイヤー氏の著作を参照していたことからメイヤー氏の考えや取り組みに興味を抱き、メイヤー氏の最新作である本書を読んでみました。本書はメイヤー氏の資本主義3部作の最終作に相当するもので、資本主義を再構築するための基本原則と具体策が提示されています。新しい資本主義の世界は、問題解決型資本主義と呼ばれています。他者に問題を引き起こしてではなく他者の抱える問題を解決して利益を得るという世界です。現在の資本主義から新しい資本主義へ進んでいく上での具体策を様々な取り組みを示しながら丹念に説いている。読み込むのに骨が折れたが仕事の指針となる力作と思います。

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2025年01月26日

Posted by ブクログ

この本が唱えることは、
「他者を犠牲にして利益を得るという無責任な行動を抑えることができれば、厳格な規制を設ける必要がなくなり、起業は自分たちで自由に意思決定を下せるようになり、その結果、自由市場や競争が効果的に機能する」(P378より)
なんだとおもう。

個人的にはここまで理解するのに少し時間がかかった。
前半はやや冗長的で読みづらかった印象。
もう1回読んだら印象が変わるかも。

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2025年03月23日

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