【感想・ネタバレ】実践リテールメディア デジタルとリアルが融合する小売と広告の未来のレビュー

稲森学

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「リテールメディア」とは、リテール、すなわち小売企業が持つオフライン／オンラインすべての顧客接点をメディアとして捉え直す言葉です。オフラインの顧客接点は店舗、オンラインの顧客接点はECサイトやスマートフォンアプリなどが該当します。

近年、このキーワードが小売・流通業界はもちろん、広告業界からも熱い注目を集めています。その理由は、小売企業が持つ膨大な購買データを活用することで、従来のネット広告よりも高精度なターゲティングとリアル店舗での購買分析が可能になるからです。これにより、購買という「事実」を元に、顧客への効果的な価値伝達が行えるようになります。しかも、これらの購買データは小売企業が直接収集した「ファーストパーティデータ」であり、近年問題になっている「サードパーティCookie廃止」の影響を受けづらいといえます。

本書は、日本において数々の小売企業を実際に支援し並走してきた株式会社アドインテ副社長・稲森学氏を著者に迎え、リテールメディアの「実践」にフォーカスした書籍です。リテールメディアの基本概念をあらためて整理するとともに、小売企業とメーカーの先進事例を紐解きながら、「リテールメディアの実践に向けた取り組みには、具体的にどのようなものがあるのか？」を鮮明に理解できます。

さらに、リテールメディアの実践にあたって欠かせないデータ基盤の準備や、購買データの代表的な分析手法、よくある失敗と対策についても解説。リテールメディアに取り組もうとする小売企業、実際の購買データに基づいた宣伝・販促施策を展開したいメーカー、広告代理店や販促支援企業の方々だけでなく、最新の広告・マーケティング手法を学びたいビジネスパーソンにもおすすめの1冊です。

[ブクログ · ★★★★★]

リテールメディアの臨場感のある先進事例が小売・メーカー双方の視点から豊富の紹介されており、大変勉強になった。3rd Party Cookie廃止の流れの中でオフライン、オンライン双方の消費者行動をトラッキングしながら精度の高いデータ分析とターゲティングが可能になるリテールメディアの需要は増々高まってくるとは思うが、一方で小売とメーカーでPRしたい商品が違うなどの課題もあるようだ。近年は生成AIが出てきたことで、クリエイティブの自動生成や推定IDの自動付与などによって分析基盤や広告作成が大いに効率化されていき、ターゲティングや広告配信の試行錯誤に使える時間も大幅に向上していくと考えられる。そのような中ではリテールメディアもこれらの課題を少しづつ解決して、さらなる進化に繋がるのではないかという可能性も感じた。

[ブクログ · ★★★★☆]

少し営業色を感じたが、リテールメディアにおいての考え方や、データの活用について、参考になる内容も多数あった。まだまだ発展途中だが、しっかり目標を立って取り組みながら、社内においての啓蒙や、興味関心、協力も戦略的に進んでいきたい。