【感想・ネタバレ】マリアを運べのレビュー

あらすじ

17歳の運び屋の風子に、ある荷物を運んでほしいという依頼が持ち込まれた。一度走った道をすべて記憶している風子は、持ち前の運転技術を活かして長野県の諏訪を目指す。ヤクザや新興宗教、某国のスパイまでもが荷物を狙うなか、彼女は依頼を完遂できるのか。第14回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ものすごい疾走感に溢れた小説。
未知の研究データを海外に持ち出すため秘密裏に東京から諏訪に運ぶ話だけなのに、ヤクザや政治家に雇われた組組織や新興宗教団体から逃げながらも、即断即決で事態を掻い潜っていく。
わくわくする車の走りと、助っ人の殺し屋のキャラクターが読者を惹きつける。
単純ながら軽快で追われる緊張感もあり、エンタメ小説として大満足の一冊だった。

0
2025年03月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

運び屋の風子は17歳で“無免許”。彼女に持ち込まれた新たな依頼は、開発中に盗難された医薬品と研究データ、そしてそれを盗み出した研究者本人、志麻を、長野県諏訪まで翌朝5:00までに運ぶこと。3時間程度で終わる簡単な依頼のはずが、医薬品とデータを狙う暴力団や某国スパイが追撃し、警察が検問で風子の駆るスバル・フォレスターの行く手を阻む。風子はタイムリミットまでに依頼品と依頼人を運ぶことができるのか。第14回(2024年)アガサ・クリスティー賞大賞受賞作。

依頼者とその品を、追撃や妨害を掻い潜ってタイムリミット前に無事届けられるか、というシンプルなストーリーが全編を貫く。その中で、暴力団や警察、さらに某国工作員までが執拗に追ってくる理由、依頼人が危険を冒してまで運ぼうとする医薬品の正体、そして依頼人の意図は……といった謎が徐々に明かされていく―というもの。
17歳で無免許ながら卓越したドライビングスキルと、一度走った道を映像的に記憶するという特殊能力を持つ主人公の風子をはじめ、護衛役の元自衛隊員の殺し屋仁、研究中の薬品を自ら盗み出した依頼人の志麻、ギャンブル好きな運び屋の社長、その他敵味方ともキャラとして魅力的な設定なのに人物描写や掘り下げが粗い―という評もあるようだが、余分な人間ドラマや個々人の心理描写を避けて「どう辿り着くのか」を描くことが前面に出ている分、疾走感とスリルに溢れるエンタメ作品として振り切れていたようにも思う。
医薬品=MARIAの正体は……荒唐無稽だが、万が一実現しても人類にとっていい結果にはならんだろう、な。

いわゆるハードボイルドものは普段ほぼ読みつけない自分だが、深夜プラス1、運び屋、車が活躍etc……といったキーワードが並ぶと手を出さないわけには行かなかったw
中央道や東名高速、各SAやPAなど普段自分がよく利用する道や場所が、風子が辿るルートとして描かれているのも個人的にとても楽しい。

ただ、今作では喫煙キャラがやられ役のヤクザだけってのが何とも寂しい。このご時勢、ハードボイルド作品でも煙草は必須の小道具ではなくなり、むしろ喫煙者=悪ってことなんですか、ねぇ。

0
2025年02月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

運び屋が無免許の17歳少女という設定に必然とリアリティはあるのかな?話に入れるかな?と少々不安に思いながら読み始めたが、その不安は最初だけであとはスピードに乗せられ、一気に読んだ。
ただ、風子の生い立ちやバイオ技術の倫理や宗教や…そういった盛り込まれている1つずつが、薄い感じは否めず、スピードで強引に駆け抜けるタイプの小説、と思った。風子のキャラがもっと濃ければ、シリーズ物も可能な気もする。

0
2025年01月20日

Posted by ブクログ

2024年。第14回大賞受賞。デビュー作。
17歳の少女が運び屋。依頼された荷物&依頼人を指定時間までに諏訪まで運べ。
ヤクザ、諜報機関、宗教団体といろいろとジャマが入る。刺されたり、打たれたり、殴られたり、痛そう。
という感じで、疾走して到着する。
短い言葉の会話はいいね。「空の上か?」「下」みたいな。

0
2025年06月28日

Posted by ブクログ

17歳、無免許の運び屋・風子が受けた仕事は、研究員・志麻百合子が持ち出した医薬品と研究データを運ぶこと。
目的地の長野県諏訪まで時間通りに運べるか…。

普通にはいかない…
道中さまざまな事が起こりスムーズには辿り着けない…。
それは志麻が持ち出したものの正体が、かなり異質で特別で世界を根底から覆しかねないものだからだ。

途中で待ち受ける不明の集団をかわして、顔見知りの殺し屋・人に護衛を依頼するが、そのあとも命の危険が迫るほどの妨害を受ける。

次から次へと妨害に遭いながら命の危険を顧みずひたすら走り続ける風子にあまりビビることなく乗っている志麻。彼女がしてきたことを思えばなるほどと納得できる。




0
2025年05月21日

Posted by ブクログ

第14回アガサクリスティ賞大賞受賞作なので、手に取りました。
無免許で運び屋の17歳の少女が主人公。
序盤からカーチェイスが始まるなど、ラストまでハラハラしながら次々と起こる展開に一気に読んでしまいました。

0
2025年04月13日

Posted by ブクログ

17歳、無免許の運び屋・風子のもとに持ち込まれた新たな依頼は、東亜理科大医生物学研究所の研究員・志麻百合子が持ち出した開発中の医薬品と研究データを運ぶことだった。一度走った道を映像として覚えられる風子は、スバルのフォレスターに志麻を同乗させて長野県の諏訪を目指すが、道中で正体不明の一団の襲撃を受ける。卓越した運転技術で危地を脱した風子は、顔見知りの殺し屋・仁に護衛を依頼する。それぞれに暗い過去を抱えた三人の思いが交差するなか、志麻の口から語られた医薬品の正体は、この世界を根底から覆しかねないものだった……。ヤクザや某国のスパイなど様々な妨害工作をかわし、風子たちは諏訪湖にたどり着けるのか。そして、志麻に隠された本当の目的とは。第14回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作。

設定は悪くないが、意外と薄口。細部をもっと書き込んだら、最高の冒険小説になりそうな予感がする。次回作に期待したい。

0
2025年03月20日

Posted by ブクログ

無免許の17歳の少女運び屋の話
展開は早く、協力者の殺し屋の存在がとてもいい
展開は平凡(平均点より少しうえ)
ロードムービー的な作品がたくさんあるので、個性を出すのは主人公たちの設定という意味であれば☆4

夜刑事と同様、読書に時間を使う余裕があるときに是非

0
2025年01月26日

Posted by ブクログ

疾走感あふれるクライムサスペンス!運び屋が届けるのは怪しげな医薬品?どんな秘密が… #マリアを運べ

■あらすじ
17歳の運び屋の風子が仕事の依頼を受ける、大学から盗み出された薬とデータを時間内に運ばなければならない。目的地に向かう道中、様々な組織から妨害工作を受ける。果たして無事に届けることはできるのか、そもそも運んでいる薬とは何なのか?

■きっと読みたくなるレビュー
疾走感が素晴らしい! エンタメ要素が詰まったサスペンスミステリーです。プロット、ストーリー、人物の背景描写、感情やセリフなどなど、すべてがクールでスピーディ。次々とシーンが展開する様はまるで映画を観ているかのよう。

未成年の女性が怪しいブツを運ぶ犯罪小説ではあるんですが、むしろホントの悪党は背後にでてくる大人たち。ネタワレしちゃうので詳しく書けませんが、いわゆる闇があるとされる組織が次々と登場してきます。小娘ひとりにどんだけマジなんだって感じなんですが、このドス黒い質量が魅力ですね。

本作の登場人物はみんなカッコイイんですよ~、いつか見たスパイ映画にいたようなキャラばかり。イチ推しは殺し屋の仁ですね、背負ってきたもの抱えながら未来を見つめる視線に切なくなるよ。風子もしかりですが、若者を利用するような社会である限り、日本は救われないよなぁ…

そして本作メインの謎、あやしげな薬について。作られた背景、研究者の想いが切々と語られる。あまりにスケールが大きな話で何が正解なのか分からなくなるんです。しかし様々なやり取りや選択があった中、志麻が最後にたどり着いた行動に胸が苦しくなりますね…

世の中、色んな価値観があって良いと言われていますが、実際は目に見えない圧力で自分らしく生きるのが難しい。本作に出てくるキャラクターのように、何処までも突っ走る力強さが輝いて見えました。新人先生の躍動感にあふれる作品です、次回の作品にも期待しております。

■ぜっさん推しポイント
本書で描かれるのは、自分以外誰も信じられなくなった奴らばかりなんです。絶望の中、たった自分一人の力で生きてる彼らの姿が、あまりに可哀想で読んでて辛くなる。そんな彼らの最後の選択は、未来にどんな希望を見出せるのでしょうか。

0
2024年12月25日

「小説」ランキング