【感想・ネタバレ】数覚とは何か?〔新版〕 心が数を創り、操る仕組みのレビュー

あらすじ

数とは文化的に創られたものではなく、ヒトに生まれつき備わる能力=数覚が関与していた! 内なる数的処理の仕組みを解き明かす。

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Posted by ブクログ

いまや数の認知科学における古典的名著。原著は1997年刊。
著者ドゥアンヌはパリのエコル・ノルマル出身、数学で修士、心理学で博士号。本書を出した時は32歳(もとのフランス語版出版時はなんと30歳!)、学識と洞察と刺激に満ちあふれ、とても若書きとは思えない。
訳は安定していて、読みやすい。number senseを数感覚や数的感覚とせずに、「数覚」にしたのもいい。そういえば、数学者の小平邦彦が数学的直観を「数覚」と呼んでいたことがあるが、本書での意味もこれに近い。
文庫新版は、2011年の英語改訂版の追加分が入り、さらに充実した1冊に仕上がっている。
(p.s. フランスは数学の国で合理性が売りなのに、数の呼称はかなり複雑。10進法、12進法、20進法、60進法が入り混じる。たとえば70はsoixante-dix(60+10)、90はquatre-vingt dix(4x20+10)だもの。ドゥアンヌもどうにかならないもんかと書いている。確かに、フランス語学習者がとりわけ難儀するのは、11以上の数と年号。でも、言語は文化。合理的というわけにはなかなかいかない。)

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2025年07月13日

Posted by ブクログ

本書の初版は1997年に「The Number Sense: How the Mind Creates mathematics」という題で出版。2011年に第2版が出版。その際に1章追加。今回のハヤカワ文庫NFは、第2版の全訳になる。数の認知に関する研究の流れが丁寧に書かれ、わかりやすい。サイエンスに興味のある多くの方に楽しんでもらえる一冊だと思う。

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2025年06月24日

Posted by ブクログ

タイトルの「数覚」は、味覚や視覚のようなものといっしょで人間の持つ数の感覚のことです
抽象的でとっつきにくそうなので、読者を遠ざけているかもしれません。

動物が持つ、ひとつふたつみっつ的な数の感覚から、人間の赤ちゃんの持つおなじような数の感覚へ、そして足し算引き算へ
算数教育をしている先生などは読んでみるといい発想が得られるかもしれません。

そこそこ厚めの本(最近ではそうでもない?)で、作者さんがこまかい性格なので、読書に時間がかかりがちです。
作者さんは、実験そのもの、実験の結果が、実験者が思っている通りなのか検証するんですね。そのこまかい考えを読む方も考えさせられるので、読書スピードは遅くなるのです。
でも、実験をする人、実験の結果(成果)を活用する人にとってはいい訓練になりそうです。

その後は、数学の才能は天性なのか? という話題になります。遺伝、男女差、数学の天才の特徴、職業による計算の才能などを見ながら探っていきます。
その次は、脳の損傷による数の感覚の喪失です。数に関する不思議な症状により、脳の仕組みが垣間見えます。ここから先は脳に興味ある人にも、とてもおもしろいだろうと思います。

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2025年03月12日

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