あらすじ
「俺と、つきあってくれないかって頼んでるんだ」
私立櫻丘学園高等寮で暮らす烏丸旭には、その気になった男を弄ぶという悪い噂があった。そんな旭の前に、端整な容姿と雰囲気から『王子』と呼ばれ、憧憬される寮生・伊達洸貴が現れる。それまで誰とも均等な距離を保っていたはずの伊達だったが、旭には好意を隠すことなく接してくる。初めは伊達を避けていた旭も、少しずつ頑なだった心を溶かされ、やがてつきあうことになるのだが?!?
恋するせつなさ、苦しさ、喜びを綴った物語をあなたにーーー!
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Posted by ブクログ
王子様攻と学園ものは大好物なので、わたしはわりと好きでした。でも『秋霖高校第二寮』みたいなほのぼの暖かい感じはありません。むしろ、この作家さん独特の一歩引いてフィルムを眺めているような無機質な空気感があります。とにかくこの作家さんは行間を読まないことには何も始まらない。はっきりと言葉で書いてくれません。でも、そのもどかしさも個人的には結構ツボです。
飛びぬけた容姿のせいで、周りからあらぬ誤解を受けている旭、いっそ一人でいる方がよいと誰ともなじまない。そんな旭の心を学園の王子様:伊達がやさしく揺るぎない求愛で溶かしてくれる。幸せ過ぎて怖い―そんな薄氷の上を歩くような心許なさ。その不安に応えるように、ある事件がきっかけで誤解した旭は一方的に伊達との関係を切ってしまう。お互い想いを残したまま別れ、でももう元にも戻れない。それなのに寮で同室になってしまうとか・・・きりきりするような切ない展開。しかも伊達の王子様っぷりは半端なくて、全然言い訳しない。責任の一端は自分にもあると堪える堪える。でも、これがわかりづらい・・・だから、なかなか仲直りできない・・・。結論的には、すべて旭の誤解でしたっていう・・・そんなオチ。なんか、こう書くとすごくしょうもない話みたいに聞こえる・・・。でも、どんどん恋していく、幸せ過ぎて怖くなる。すべて嘘だったと思ったときの絶望。切なくて切なくて苦しいっていう心の流れにはすごく共感できたよ。