あらすじ
「読んで号泣した」「忘れられない本に出会えた」と大反響! 全盲の著者が「見えない」世界を豊かで繊細な感性で伝える、ベストセラー・エッセイ集の第2弾。
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Posted by ブクログ
風になってくださいⅡ
~視覚障がい者からのメッセージ
著者 松永信也
法藏館
2013年1月10日発行
1週間前に読んだ「風になってください ~視覚障害者からのメッセージ 」の第二弾。杉本彩がラジオで推薦していたので読んだところ、面白かったので第二弾も読みました。第一弾が2004年、これが2013年発行。タイトル副題「障害者」が「障がい者」になっているのも、時の経過を物語っている。
網膜色素変性症により40歳でほぼ失明状態となった著者の筆がさえわたっていた1冊。最初の本は、視覚障害者になった自分と健常者の人々との間にある隔たりを、この前まで健常者だった自分への反省をこめて語っていたところが多かったけど、今回はそういう話はほとんどなし。失明状態になってからの生活に慣れ親しんだ様子も感じられ、日常生活において健常者とのふれ合いや交流をユーモアいっぱい、さわやかに綴っているエッセイ集。文章の運び方がとてもうまい。
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団地でいつもすれ違う三輪車に乗った幼稚園児の「ゆいちゃん」。バイクが来たら「ばいく!」と叫んで教えてくれた。
大変な人通りで阪急河原町駅に行けず、サポートを頼んでもみんな先を急ぐばかり。「おっさん、俺が行ったろ」とオーデコロンの香りをまき散らす長身の少年が助けてくれた。「おっさん、あんな場所で一人で叫んでも、誰も止まらんで」「君が止まってくれたやんか」「おっさん、気をつけてな」
丸太町駅下車、バス停までサポートしてくれる人がいた。そういう時だけ、途中にある大好きなサンドイッチが買える。3分だけ待ってもらって。
高校の時、夜は視力が落ち、星が見えなかった、仲のよかった友達は納得せず、著者をバイクに乗せ、あちこち連れまわり、何とか星を見せようとしてくれた。ついに1つだけ、見えるようになった。彼が45歳で世を去った夜、著者はベランダに出て夜空を見上げた。もちろん、暗闇しか見えなかった。
京阪電車、駅員がサポートしてくれたお陰で座れた(普段は席が空いているかどうか分からないので立ったまま)。車内はきっとすいていると判断した著者は、おにぎりを出して頂点からセロハンを引っ張り出して食べる。すると、「上手やなあ」と年配の声。「わし、見えてるけど、それ苦手やねん」。
(確かにそのタイプのおにぎりはご飯の一部が出てきてしまい難しい)
著者は「飲兵衛の達人」。酔っぱらっていても、相手のグラスにまるで見えているかのように上手にビールを注ぐ。「どうしてこぼさずにビールを注げるのですか?」「もったいないからだよ」