【感想・ネタバレ】戦後日本の宰相たちのレビュー

あらすじ

第一線の研究者が、東久邇稔彦から竹下登まで17人の昭和の政治家の思想と行動を検証する歴代首相列伝。
戦後の占領期から昭和の終わりまで、「55年体制」下の日本の政治のあり方のほぼ全容を伝える。
日本の再建期を支えた指導者たちの功罪を振り返り、宰相の人物像を通して戦後の「国のかたち」を浮き彫りにする。
〈解説〉宮城大蔵

目次
東久邇稔彦――皇族のなかのリベラリスト 波多野澄雄
幣原喜重郎――「最後の御奉公」と新憲法草案 天川 晃
吉 田 茂 ――状況思考の達人 渡邉昭夫
片 山 哲 ――新憲法体制のトップランナー 福永文夫
芦 田 均――インテリの文人政治家 増田 弘
鳩山一郎 ――日ソ国交回復と憲法改正への執念 山室建德
石橋湛山――透徹した自由主義思想家 猪木武徳
岸 信 介――野心と挫折 北岡伸一
池田勇人――「経済の時代」を創った男 中村隆英
佐藤栄作――「待ちの政治」の虚実 高坂正堯
田中角栄――開発政治の到達点 御厨 貴
三木武夫――理念と世論による政治 新川敏光
福田赳夫――政策の勝者、政争の敗者 五百旗頭真
大平正芳――歳入歳出政治の問題提起者 村松岐夫
鈴木善幸――権力が求めた政治家 田中善一郎
中曾根康弘――大統領的首相の面目 草野 厚
竹 下 登――保守党政治完成者の不幸 久米郁男

執筆者紹介
文庫版あとがき 渡邉昭夫
解説 宮城大蔵

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Posted by ブクログ

第二次世界大戦の終戦から昭和の終わりまで、激動の時代を生きた日本の内閣総理大臣を一人ずつ時系列順に、こちらも一人ずつ各論者が、そのリーダーたちの出自・経歴・人物像・業績(と不行跡)を仔細に解説した力作。
「敗戦処理→新体制(民主化政策)→逆コース→55年体制→政治の季節→高度経済成長→公害問題→諸外国との外交折衝→バブル前夜→冷戦構造の終焉」と、このように、この国の昭和時代の政治的・経済的歩みを一瞥しただけでも、なんとまあ激しい動きがあったことか!この劇的な、あまりにも劇的な極東の小国の舵取りを担った首相たちの活躍とその悲喜こもごもを、この本の読者たちは追体験できる。
各章に首相一人ずつが論評されていくスタイルだが、執筆者たちの顔ぶれも絢爛豪華。猪木武徳が石橋湛山を、北岡伸一が岸信介を、高坂正堯が佐藤栄作を、御厨貴が田中角栄を、それぞれ個性的な文体と着眼点から縦横無尽に論じていく。個人的には、およそ15名の論者の中でも北岡伸一氏と高坂正堯氏の文章が読みやすかった。
ところで、吉田茂や佐藤栄作、田中角栄、中曽根康弘らの論考が分量的に長くなるのは色々と合点がいくが、福田赳夫にこれほどまでに多くのページを割くのにどこか違和感を覚えてしまうのは私だけだろうか。執筆担当者たちの割り振りや力関係など、本書編集の舞台裏も気になるところ。

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2025年04月26日

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