あらすじ
1999年、河口湖町の廃ホテルで起きた母娘の死体遺棄事件。犯人と目された少年の死刑確定後、被害者の夫は謎の手記を発表し失踪。10年後、ジャーナリストが再取材を行うが、関係者達の告白は事件の構図を次々と塗り替えてゆく……。
読者を幻惑・酩酊させる仕掛けで、純文学×ミステリ×フェイク・ドキュメンタリーの歴史的達成として小説界を騒然とさせた衝撃作、ついに文庫化。
本作ははたして、現代の「藪の中」か、奇書か、あるいは小説の極北か――
酉島伝法さん(小説家・イラストレーター)推薦!
文庫化にあたり、ボーナストラックとして、著者独自の犯罪小説二篇(「トンちゃんをお願い」「私の娘」)を書籍初収録。
【目次】
Ⅰ 埋葬(2010)
Ⅱ トンちゃんをお願い(2011)/私の娘(2019)
〈解説〉岡和田晃
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
語彙を失う強烈な読書体験。芥川龍之介『藪の中』を突き詰めた告白文学の極地。食い違い、噛み合わない一つ一つの解釈にはそれぞれ異なった事実/真実がある。それらが混ざり合うことで新たな解釈を呼び、やがて別の真実が顔を覗かせる。「関係」の中にしか人は存在しない。饒舌なのに只管に冷静な文体が狂わせる。今年のベスト小説。他二篇も逸品。
Posted by ブクログ
難しいです。
基本的に一人称で書かれているのに話し手が入れ替わっているようで…
同じ人物ではないかと思うくらい考え方や話し方が同じなので行ったり戻ったりしながら読み進めたので読み終わるのにページ数に対してずいぶんと時間がかかりました。
とても評判の良い作品ですが私レベルではついていけませんでしたのでこの評価です。読書レベルが高い方ならばきっと違うのだと思います。あしからず
Posted by ブクログ
むずっっっ!
という印象でした。悪い意味ではない!
トンちゃんにお願い、は、主語という主語が、書いてあるけど定かでない状態が続くのが(これは読まないと理解できない表現だと思うが)、とても曖昧で不均衡だった。でもそんな文章を読むのは初めてで、楽しかった。
表題の埋葬も、見開き数ページにわたって改行なく書き連ねられている少年の語りなんかは、読んでいて頭がこんがらがる瞬間もあった。でも、なぜだかその声が聞こえるというか、ちょっと飛んでる人がつらつらと話しているんだろうなという声が聞こえてくるようで、面白かった。
読書体験としてとてもよかった。
面白い物語好きな人には勧められないが、面白い本好きな人には勧めたい一冊。