【感想・ネタバレ】地方消滅2 加速する少子化と新たな人口ビジョンのレビュー

あらすじ

2014年刊行の『地方消滅』と、そこで示した896の「消滅可能性都市」リストは、衝撃をもたらした。
それから10年を経て、東京の出生率は0・99になるなど、なお少子化は加速する。
このままだと2100年に人口は6300万人、高齢者が4割の国になりかねない。
本書は、全国1729自治体を9つに分類。
「ブラックホール型自治体」の特性なども分析し、持続可能な社会へ向かうための戦略とビジョンを打ち出す。

目次
序章 「消滅可能性都市896」の衝撃

Ⅰ部 消滅自治体 最新データ篇

第1章 地方自治体「持続可能性」分析レポート 地域特性に応じた人口減少対策が必要
(三村明夫+人口戦略会議)

第2章 全国1729自治体リストから見えた地域の特性 自治体の「人口減少要因」が明らかに
(人口戦略会議)

第3章 人口減を止められなかった10年 外国人・寄合・デジタルは救いとなるか
(宇野重規×増田寛也)

Ⅱ部 2100年への提言篇

第4章 緊急提言「人口ビジョン2100」 安定的で、成長力のある「8000万人国家」へ
(人口戦略会議)

第5章 人口減少、どう読み解くか
・少子化・人口減の深刻さはなぜ共有されないか――1990年代の不良債権問題との類似性
(白川方明)
・正社員とパートの賃金格差解消こそ最重要課題――約4割の未婚女性が子どもを持たないと予想
(永瀬伸子)
・東京出生率0・99の衝撃 基本から知る低出生の現実
(小池司朗)

第6章 今が未来を選択できるラストチャンス
(三村明夫×増田寛也)

全国1729自治体の9分類

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

 人口減少という言葉が流行りだしたのは何時からだっただろうか。身近な問題であるがゆえ、そして当たり前になってしまった今だからこそ、かえって人々から当事者意識が消え去っているように感じる。本書のタイトルにもある「消滅」という語は過激であるが、危機感を抱かせる点で興味をひくことに成功しているといえる。この手の問題は、関心の高さが問題意識に直結するため、多少過激であっても印象を残す方が大切だからだ。
 本書の特徴は、地方自治体の詳細なレポートが50ページほどに渡って巻末に付けられているところだろう。自分の所属する地方がどのような状態に置かれているのか、9つのカテゴリーに分類されており、一目で把握ができる。人口減少とはいっても、自然減か社会減なのかで講じる政策も変わってくるため、求めるエビデンスも地方により千差万別であることがわかるだろう。逆に、同カテゴリー内の他の地域の政策を比較検討して取り入れることも可能になることは大きな利点になる。
 少子高齢化対策を考える際には必読の書と言えるのではないだろうか。

0
2025年07月04日

Posted by ブクログ

十年前に出版された「地方消滅」は読んでいないという状態での感想です。
全国の市町村、東京23区を人口の自然増減と社会増減の2つの切り口から分析しています。
日本の人口がどんどん減っていって、今、何かしないとたいへんなことになる、ということで、いろいろな提言が書かれています。
ただ、「たいへんなことになる」というのが具体的に書かれておらず、イメージできませんでした。これは、私が東京に住んでいて、人口が減っている、ということを感じていないからかもしれません。
結婚したい、子どもが欲しいと思っている人が現状の環境のせいで諦めてしまう、という社会はよくないので、このことはなんとか変わって欲しいと思いました。

0
2025年01月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<目次>
序章   「消滅可能性都市896」の衝撃
第1部  消滅自治体最新データ篇
 第1章  地方自治体「持続可能性」分析レポート
 第2章  全国1729自治体リストから見えた地域の特性
 第3章  人口減を止められなかった10年
第2部  2100年への提言篇
 第4章  緊急提言「人口ビジョン2100」
 第5章  人口減少、どう読み解くか
 第6章  今が未来を選択できる最終チャンス

<内容>
2014年に出された「地方消滅」のレポートから10年。現状が悪化こそしていないが、好転する兆しもない。日本の将来を考えたときに、政治家が身銭を切ってでも、この本に載ることばを重く埋め止めて、改革を進めていく必要がある。ただ地方の創成をするのはとても難しい気がする。この本の理念をベースに、地方の女性若年層をどう活性化していくか、だ。

0
2025年09月23日

Posted by ブクログ

人口問題は日本社会が確実に見通せる将来の姿であり、ほぼ予測された展開を進む。その事実とここから生じる問題と課題について、新しい数字をもとに整理されている。足下、大都市圏も非大都市圏も良い方向に進んでいないこと、これが本書から的確に読み取れる。足下、東京圏は非大都市圏を破壊していき、関西圏は前にも後ろにも進まず、というところにあって、日本全体として衰退の経路を選んでいく。
すべては子どもが少ないからである。このことをもっと前面に押し出さなければならないのに、本書もまだ弱い。

0
2025年07月27日

Posted by ブクログ

人口減少の想定値の説明はなかなか難しかった。
対応策が、幅広い観点から挙げられていた。
以下、印象に残ったこと
・政府だけでなく、民間も積極的に取り組む必要がある。(育休の制度はあるが、使いやすい雰囲気作りは民間)
・分断を作らず、全員が人口増の取組を支える必要がある(独身でも子供がいなくても、年金などは人口の増減に関わる)
・こどもを持つことに安心できる働き方を作る必要がある(民間の力が必要)

0
2025年01月13日

Posted by ブクログ

2014年の増田氏著『地方消滅』から10年。本書でも指摘されているが、人口減少対策の必要性を国民すべてに浸透せず、地方が消滅するという言葉だけが衝撃的に広がった。前著を読んでいただけに、何故今頃大騒ぎするのだろう? という感は否めない。人口戦略会議の総論と、構成メンバーの筆による各論で構成されていて、この問題の根深さと難しさを再認識した。「まち・ひと・しごと創生本部」の方針を地方自治体が曲解し、少子化対策ではなく移住政策に堕し、自治体間で若年層を取り合う結果になってしまったところに問題の根深さが感じられた

0
2024年12月29日

Posted by ブクログ

【人口減少について】

最新のデータに基づき、様々な角度から人口減少についてシュミレーションされている。

首都圏一極集中で、しかも都会の出生率が一番低くて、人口流入しても減少に転ずる時が迫ってるらしい…。

現実問題、本気で向き合わないと生活基盤が築けなくなる。

経済優先、核家族化、お一人様歓迎、やっぱ価値観が根本的に変わらないとムリだと思う。

0
2025年04月17日

Posted by ブクログ

2014年に刊行され、「地方消滅」と896の「消滅可能性都市」をリスト化したことで、衝撃を与えてから約10年。その提言を発展させた形で、新たな分析を行い、新たな提言を行った一冊。
当時発表された歳は批判的な意見も聞かれましたが、人口減少が当たり前のようになった今となっては人口減少の問題やその解消策はますます重要視されています。今回の提言では、消滅可能性都市が減少したことになっていますが、決して楽観視できるものではありません。
今回の提言では、各自治体で社会減対策が必要なのか、自然減対策が必要なのか、両方必要なのかを明確にし、実態に合った対策の必要性を訴えていることもポイントだと思います。
本書では、前回の提言の解説から今回の見直した点、今回の提言の内容に加え、関わったかたの意見や対談で構成されています。人口減少は避けられない未来ではありますが、この課題を一人ひとりが認識し、自らの立場でできることを少しでも取り組むことの必要性を改めて感じる内容です。

▼2014年の「消滅」の可能性のポイント
①人口の再生能力に着目し、それを図る指標として20~39歳の若年女性人口に着目
②この数字に大都市への人口流出による人口減少も加味
▼少子化と地方衰退への対策
①「希望出生率1.8」の実現
②「東京一極集中」に歯止めをかける→若者の流出を食い止める「人口ダム」となる地域拠点都市の形成
▼この結果は、各自治体に大きな影響を与えたが、各自治体の人口減少対策は、事項流出の是正という「社会減対策」に重点が置かれ過ぎている。東京圏への人口流出の防止はともかく、若年人口を近隣自治体間で奪い合うかのうような状況も見られる
▼結果として出生率向上に結びつくわけではなく、日本全体の人口減少の基調を変えていく効果は乏しい

▼封鎖人口において若年女性人口が急減する地域では、出生率の向上という「自然減対策」が重要な課題となることが分かる。逆に、封鎖人口では人口減少は緩やかだが、移動仮定の分析では人口が減少する地域では、人口流出の是正といった「社会減対策」が重要となる。このように地域によって、取り組むべき対策が異なってくる。

▼安定的で、成長力のある「8000万人国家」を目指す
①総人口が"急激"かつ"止めどなく"減少しつづける状態から脱し、2100年までに8000万人の水準で安定化させることによって、国民が確固たる将来展望を持てるようにすること
②現在より小さい人口規模であっても、多様性に富んだ成長力のある社会を構築すること
▼長期的な戦略
①定常化戦略:人口減少のスピードを緩和させ、最終的に人口を安定させること(人口定常化)を目標とする
②強靭化戦略:質的な強靭化を図り、現在より小さい人口規模であっても、多様性に富んだ成長力のある社会を構築する
▼これからの人口減少は、そうしたぬるま湯を冷水に変えるぐらいの大転換をもたらします。人手不足とはすなわち、職場が人を選ぶのではなく、人が職場を選ぶようになること。力関係が逆転した以上、賃金が高く、子どもを産み育てやすい職場が選ばれるのは当然です。(三村明夫日本製鉄名誉会長)

<目次>
序章 「消滅可能性都市896」の衝撃
1部 消滅自治体 最新データ篇
第1章 地方自治体「持続可能性」分析レポートー地域特性に応じた人口減少対策が必要
第2章 全国1729自治体リストから見えた地域の特性ー自治体の「人口減少要因」が明らかに
第3章 人口減を止められなかった10年ー外国人・寄合・デジタルは救いとなるか
2部 2100年への提言篇
第4章 緊急提言「人口ビジョン2100」-安定的で、成長力のある「8000万人国家」へ
第5章 人口減少、どう読み解くか
第6章 今が未来を選択できるラストチャンス
全国1729自治体の9分類

0
2025年03月22日

Posted by ブクログ

若年女性人口のデータが新しくなり、消滅可能性都市は減少したとのこと。
努力が実った自治体もあるだろうが、外国人の流入によるところも大きく、国として合計特殊出生率は悪化するなど、危機感は引き続き必要。
ブラックホール型自治体を何とかしないといけないのではないか。

0
2025年02月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「地方消滅」出版から10年の区切りとしてデータを最新版に更新。出生率が低いのに地方から人口を引き寄せるブラックホール型自治体というのはなかなかいい得て妙。
対談や長々とした図表なども多く、全般的にちょっと薄めの内容か
産む年齢の女性人口の重要性を強調しすぎるきらいがあり一昔前の「産む機械」論争を彷彿とさせる。

個人的には出生率というデータの作られ方として統計数値の裏読み(大学時代に東京にいて結婚後地方に移って出産する女性が東京の人口としてカウントされることの不利さなど)を延々と論じた章が面白かった。

0
2025年01月30日

Posted by ブクログ

人口統計の実務者と総務大臣経験者が具体的に数字のバイアス要素などを説明しながら論じているので、雑駁な印象ではなく、具体的に数字が読める。

0
2024年12月30日

Posted by ブクログ

並居る識者の真剣な提言・議論のアウトプットとしてはわかるが、歴史の大きな流れの前には、どれも無効感が強い。政治の問題ではなく、人々のマクロな意識が変わらない限り、日本がシュリンクすることは避けられまい。もちろん一人ひとりの幸福度を維持・向上させるというのは、また別の問題である。

0
2024年12月22日

「社会・政治」ランキング