【感想・ネタバレ】日下を、なぜクサカと読むのか 地名と古代語のレビュー

あらすじ

「日下」と書いて「クサカ」と読むことは知られている。ではなぜその漢字をあてるのか。そうした古代にまで遡られるとみられる言葉の謎を、地名のフィールド調査から解明する。

目次
第一章 「日下」と書いて、なぜ「くさか」と読むのか
第二章 「笠置」は「日陰地」を意味していた
第三章 『日本書紀』の「頰枕田(つらまきだ)」は円形の田を指す
第四章 「鳥居」のトリとは境のことである
第五章 卑弥呼のような女性のことを「大市(おおいち)」といった
第六章 「国」は「山に囲まれた土地」のことだった
第七章 「山中」と「中山」は同じか、違うか
第八章 「ツマ(妻)」の原義は「そば」「へり」である
第九章 「アオ」「イヤ」は葬地を指す言葉であった
第十章 「賽の河原」とは、どんなところか

その答は第一章に。ありふれた言葉の、忘れられた意味を追って。
古地名の語源を、地形の状況から仮説を立て、例を広げ、
実地調査と聞き取りで実証する。これはもう、
地名解読の科学的アプローチへの旅路である。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

 これはアブダクションの本であり、フィールドワークの重要性を説いた本である。正解などわからない古代語へのアプローチを、地道に足で稼ぐ。昭和の刑事のようである。
 物事に対する思考方法、フレームを手に入れたい人にオススメ。これは執念である。

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2025年01月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ご自分で歩いて、地形を見て。すごい。いろいろ突っ込みどころはありそうだが、そういうことより、ともかく歩いて考えるのがすごい。

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2024年10月23日

Posted by ブクログ

民俗学好きな人にうってつけ。
物事の始まりを知りたい人にもってこい。
言葉の成り立ちに興味ある人にもおすすめ。

以下マーカーしたところメモ

地名は人がとくに注意をむけていたところ、居住や耕作などに有利な場所に優先的に付けられた記号だ

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2025年08月14日

Posted by ブクログ

その地名にはルーツがある。
小字や地域、集落に残る地名を古代語、自然環境や自然など、
古文書やフィールドワークで探索し、解き明かしてゆく。
・はじめに
第一章 「日下」と書いて、なぜ「くさか」と読むのか
第二章 「笠置」は「日陰地」を意味していた
第三章 『日本書紀』の「頬枕田」は円形の田を指す
四章 「鳥居」のトリとは境のことである
第五章 卑弥呼のような女性のことを「太市」といった
第六章 「国」は「山に囲まれた土地」のことだった
第七章 「山中」と「中山」は同じか、違うか
第八章 「ツマ(妻)」の原義は「そば」「へり」である
第九章 「アオ」「イヤ」は葬地を指す言葉であった
第一0章 「賽の河原」とは、どんな場所か
・おわりに

地名や小字、地域での集落名を、現場に赴いて地形や地勢を
調べ、地域の人や公共機関等に聞き取りをするフィールドワーク。
また、古文書や地誌、柳田國男の著作等にもあたり、
考察し、検討してゆく。ある意味ミステリーの解明の如く。
草が付く地名と日下。コサ・カサ・クサが示す地形とは。
峠の語源。トリの付く峠。トリは境や境界。
市はシャーマン。卑弥呼は古代のイチ。
クニは山に囲まれた土地。オグニは小さい盆地。
山中と中山。川中と中川。
アオ、イヤは葬送の地、墓地。
賽の河原の地勢とは?
古代から付けられた地名がある。
その場所の地形や地勢などによるもので、おそらく、
訪れるときの指標になるものだったかもしれない。
文字よりも言葉の時代だったから、聞くことで伝わる名称。
聞いて伝える中での言葉の変化、仏教などの影響、
土地の変化、近年の集落の消滅、地図等の編集作業での削除は
あれども、土地に古代から受け継がれた言葉が残っている。
全国に同じような地名が多くある事実にもかされてしまった。
地名学って奥が深いなぁ。

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2024年10月21日

Posted by ブクログ

信念を持ってフィールドワークを行い、地名の研究をしている著者。
「クサカ」の由来などを各地域の特徴を論じたあと、日本の地名は意味不明だらけという。
つまりは、著者の言うことも諸説ある一つとして受け取ればいいのだろう。ただ、自らの足でその地に赴き、実感としてそれを伝えている著者には敬意は表したい。
近、市町村合併や再開発等で昔の地名が消えてゆく事が多いが、この本のように土地の性質を示す名前も多いので、それもすこし寂しい話だ。

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2025年06月28日

Posted by ブクログ

表題の「日下」について一冊を費やしたっぷり論証しているのかと思ったが、全十章で各章それぞれ違った地名を取り上げている

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2025年01月29日

Posted by ブクログ

 副題にあるように、古代語の繋がりから地名を読み解いていくお話。

 表題の「日下」のクサカは、〈こさ【木陰】(東日本で)木陰のため耕作に不利な田畑地。またはその木や茂み。こせ〉に関連があることを、足で歩いたフィールドワークで実証していく様子が、実に楽しげだ。

「実はカサ(笠、傘)もコサ、クサと語源が同じというより、同一の言葉であった」

 と、全国に分布するその地名を、日陰地に由来すると類推する。
そもそも、傘なんて発明は、比較的近代のものだし、広く世界にも目を向けて、

「例えば英語のアンブレラは「影」が、パラソルは「日光を防ぐ」が原義だという」

 と広がりゆく言葉への発想が、なお楽しい。

 「峠」も、「手向け(たむけ)」に由来するなんて話は、さも有力な説として耳にしたことがあるが、山の鞍部を「タワ」といい、そこからの変化したものと、柳田国男説を紹介する。
 鳥居の「トリ」も境の意、「イチ」と付く地名の、意外な解釈も実に面白い。

 それらを、言葉を弄ぶことなく、現場を見て、地形などから判断していく地道な努力をまとめ上げた力作。

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2024年09月23日

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