【感想・ネタバレ】ガストロノミーツーリズム 食文化と観光地域づくりのレビュー

あらすじ

ガストロノミーは贅沢な美食のことではない。欧米では「美味しい」を基準にしながらも、自然、文化、遺産、伝統など共同体の個性を反映するものとして捉えられている。そして地域社会を活性化させ、健康にし、幸福にする原動力として実践されている。地域の食文化を味わっていただくことこそ、これからの観光振興のカギだ。 【2024年度 観光学術学会「観光企画・作品賞」受賞】

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Posted by ブクログ

ガストロノミーツーリズムの概要の説明と事例紹介。
食に特化したツアーが日本には少ないことが感じられる。

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2023年08月13日

Posted by ブクログ

地域ならではの「食」を味わう観光形態である「フードツーリズム」を進化させることで生まれた「ガストロノミーツーリズム」について解説した本。
そもそも「ガストロノミー」とは200年前から西ヨーロッパ各国で使われてきた言葉であり、日本語では「美食術」や「美食学」と訳され、一般人には贅沢でやや敷居の高い感じがする。しかし、この本によると、「美味しい」を基準にしながらも、フードの範疇を超えて文化、遺産、伝統などを反映する高次元の概念を表す言葉であることがわかる。
日本においても、2022年12月に奈良県で「ガストロノミーツーリズム世界フォーラム」が初めて開催されるなど、インバウンドなどを意識した観光体験に必要な要件を含んでいることから近年、注目度が高まってきているようだ。
本書では、2014年、ユネスコ創造都市ネットワーク食文化部門に加盟し、シティオブガストロノミーに認定された山形県鶴岡市の事例や、料理人・生産者の連携、日本酒蔵元や発酵の知識を活かしたツーリズム、伝統工芸と料理の組み合わせ、ローカルフードを発見する地元食品スーパーなど様々な地域の動きが紹介されている。
日本ならではの食材、習慣、歴史によって育まれた和食文化を体験できるツーリズムはインバウンドのみならず日本人にとっても魅力的であることは言うまでもない。多額の投資を必要とせず、地域の季節ごとの農産物や水産物が最大限活用できること、観光消費の50%が飲食と土産物で占められていることなどから地域振興上のメリットや潜在力も大きい。
願わくは、それを一層、進展させるため、様々なステークホルダーとの連携はもとより、ストーリーを巧みに盛り込んだ着地型フードツアーがもっと出てくればと思う。
本書に示されている奈良県のかき氷店「ほうせき箱」と氷室神社との連携による歴史、環境問題の学習、北海道上川総合振興局の「かみかわ食べものがたり」プロジェクト、外国にあるフードミュージアムのような取り組みを参考に食文化体験の発信に工夫がこらされていくことを期待したい。

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2023年09月21日

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