あらすじ
推しグッズに限定グッズ、発売前から人気の新商品――需要が供給を上回ると見れば、品目を問わず大量に買占めては高額で売り飛ばす。それが「転売ヤー」だ。現代社会の新たな病理となりつつある彼らは、いったいどれぐらいの利益を得ているのか。グループのリーダー、日本で“仕入れ”母国で売り捌く中国人、個人で稼ぐ日本人など、あらゆる手口でひと儲けを狙う転売ヤーたちに密着、驚愕のカラクリをレポートする。
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Posted by ブクログ
この本、おもしれー! 転売ヤーの実態がよくわかるし、その商売の奥深さを教えてくれる。正直、ゲーム的な面白さがある点には同意。やってみたくなる(やらないけど) 。
実例をもとに書かれているので読みやすい。
Posted by ブクログ
だいぶ前のことになるが、高校生時代にお金に困ってテレビゲームを転売したり、実体験のあったことなので興味深く読めた。
ディ〇ニーで爆買いする中国人の実態や、ポケモンカード転売がや○ざのしのぎに使われているなど、社会の闇とも言える部分が書かれていて面白かった。
社会の暗部は自分とは縁がないからこそ興味が湧く題材であり、読んでよかった。
Posted by ブクログ
販売者と正規のファンを苦しめる「転売ヤー」の実態を追ったレポート。高価値の商品を安く仕入れ高く売るという合理的な手段ではあるがそのやり口は犯罪にも近い。驚く事に高収入でありながら転売に加担する男性も登場する。現代の病理ともいえるこの行為に警鐘を鳴らす1冊。
なりふり構わずディズニーグッズを買い占める者、不正取得した個人情報でスマホを多数購入する者、組織的な行為は他国の在留者が行っている事が書かれている。市場を歪め、その上澄みだけを啜る転売ヤーは法の網を掻い潜りどんな市場にも現れる。「転売ヤー消えろ」の投稿すら利用し次の商品を狙う。
Posted by ブクログ
ポケモンカード、PS5、ディズニーグッズ、ジャパニーズ・ウイスキー、スマホなどの転売事情。半分くらいは中国人転売ヤーの話。最後の方は闇バイトの話みたくなってしまい本書の趣旨から外れている感あり。
転売は商売の基本ともいえるのに転売ヤーが叩かれるのは彼らが水の流れを堰き止めて、本来なら大勢にいき渡ったはずの水を高額で売りつけるような真似をするから。また、転売ヤーから買える人と買えない人の格差が明らかになるというか、経済的な不平等感を自覚させられるからでもあるだろう。
少し前に東博で開催されたハローキティ展のグッズを転売ヤーが買い占める動画を見たときは、キティにまったく興味ないにも関わらず不快な気持ちになった。自分が好きなジャンルであんなのやられたら、好きなものってのは自分の一部を形成している要素だから、自分が侮辱されたような気持ちになるだろう。
転売をなくすには「転売ヤーからは買わない」がもっとも有効。
プロ転売ヤーは売れそうなイベントやグッズの情報を常に調査している。不快な思いをしたくなければ人が群がるようなものには目を向けず、人のいない方面へ目を向けた方がよさそう。マニアックな方へ。旅行もそう。観光地は人が多すぎてそこがいいところでも人の多さで台無しになる。まだ知られていない場所を自分で開拓する。難しいことだが。
フリマアプリやSNSなどテクノロジーの発達が転売を容易にした。自分も15年近く前無職だったとき、生活費の足しにしようと不要品をアマプラで売っていた時期があった。俺の場合は仕入れて売るのではなくただの不要品の売却だったけど、おかげで助かった面がある。あの頃メルカリがあったらアマプラではなくそっちで売っていただろう。メルカリの登場は大きい。スマホで出品でき、対面なしで発送できる手軽さ。人の意識を変えてしまったんじゃないか。買って失敗したらメルカリで売ればいいや、と思えるようになった。
Posted by ブクログ
闇と言うほどでもないが、それなりに需要があり且つ利益の出る商品を見極める力も必要なので楽な仕事ではないなと思った。
どんなに企業側が転売対策しても転売ヤー側は抜け道を探してくるので、なかなか難しい問題。
プレミアム商品券の不正入手は自治体も対策を強化してほしいところだが、こちらも限界がありそう。
Posted by ブクログ
転売がなぜなくならないか、転売ヤーの生活やその手法などが事例としてまとめられており、大変興味深かった。
想像以上に闇の深い世界でもあるようだ。
Posted by ブクログ
経済学の本ではないが、転売ヤーの生態をコタツ記事的に書くのではなく実際にインタビューして書いている点がリアル。転売はしないけど日々の消費生活に役立つちしきもあった。
Posted by ブクログ
転売は悪である。なぜなら、それは広く行き渡るはずの商品を買い占め、買い占めた事により消費者への不便さを演出し、そこに強欲を付加して販売する行為だからだ。水でも、電気でも、米でも、そんなことをされたらたまらない。
だが、時々、「転売にも良い面がある」という言説に触れる。それは、「物理的、時間的に購買競争で勝ち目のない消費者」に対し、ハブ的な機能としてチャンスを与え得るからだ。だが、冷静に考えれば、購買競争が起こるという事自体が、そもそも品薄である需要予測の失敗、それを利用した転売ヤー同志のエスカレーションラダー、あるいは、企業側の炎上商法ではないか。
転売を肯定的に見る人は多くないと思うが、本書は、転売に対し<否定派か、寛容派か>によっても読み方が異なる。あるいは、転売ヤー自身という読者もいるだろうか。転売ヤー複数人から、事情・手段・実態を聴取した本。リアリティがあるので面白いし、転売ヤーの中にはやはり罪悪感があるためか、‟正当化する理屈″を身に纏っている人たちが目立つ。
「バーキンのバックが欲しいために身売りをする」行為は、「健康のためなら死んでも良い」と言っているような矛盾にも感じるが、承認を満たしてくれる集団という、自らが認める価値観において、取捨選択した末の結論であり、一概に第三者が断罪できるものではない。社会的コンセンサスが低い、つまり、承認を満たす集団は極めて狭域ではあるが、「命を賭して登山をする」行為のアナロジーだとも言える。
但し、転売に関しては幸福度の集団内のゼロサムのため、これは制度的エラー「迷惑行為」なのである。著者がニュートラルな立ち位置を取ったお陰で、冷静に思考できた気もする。これは、良いスタイルだと思う。
Posted by ブクログ
「現代の闇市だ……」
これが本書を読み終えての一番の感想でした。
中国転売ヤーだけでなく、転売ヤーを本業にしてしまった日本人S氏の話など、興味深いと言ったら語弊はありますが、ぐいぐい引き込まれるような本でした。
「安く仕入れたものに利益を足して売る。これが経済の本質だ」と彼らは言うけれど、定価の何倍もの値段で情報弱者に売りつけたり、買い占めで他のお客さんたちに迷惑を掛けながら“仕入れ”をする転売ヤーたち。
プレミアム商品券で転売商品を購入する手法に関しては、税金が彼らのために利用されたように感じて嫌な気分になりました(し、そんなもので国民に還元と謳う政治家たちに辟易としたのも事実)。
一方で、「お金を稼いだもの勝ち」や「貧富の差、貧困の増加」という点では転売ヤーたちが増えてしまったのは、「生きるため」とも考えられるかもしれません。
その点だけで言えば、そんなことをするに至らせた社会構造の歪みも見えてきます。
が、他人の迷惑顧みず、自分の利益のことしか考えていない彼らに同情する気にはなれず……。
スマホ転売などでは犯罪組織に利潤が回っていたりと闇深い転売ヤーたちの世界。
対策が講じられても、イタチごっこにはなってしまうんだろうな……。
何と言うか、“商魂たくましい” 彼らの姿をまざまざと見せつけられる、そんな思いで読んだ一冊でした。
Posted by ブクログ
転売ビジネスの構造や業者の手法を、いくつかの商品カテゴリや販路ごとにわかりやすくまとめた一冊。
なるほどと腑に落ちる部分もあるが、大きな驚きや発見があるわけではなかったかな。
Posted by ブクログ
書店でタイトルに惹かれ、手に取った。
転売ヤーがどう動いているのか、どんなものをターゲットにするのか、どう儲けるのか、ときに著者も直接同行しての実態調査は、自分の知らなかった世界を垣間見せてくれた。
著者が触れたりもするが、結局転売を目論む人だけが原因ではなく、それを求める客、なんとか売上を確保したい店側といった要素が複合的に絡んでこうした自体が生じていること、加えてコロナ禍がそれらを拍車をかけてしまっているということを、複数の事例の中で強く感じた。会社などで働くのでなく転売を生業にしたいという中国人留学生、実際に生業にしている新卒の学生の存在も、含めて候補者がなくなることはなさそうと思ってしまう。
途中のコラムでどのように対策をしていくかを弁護士の方が書かれているが、イタチごっこにならないための割と具体的な提案がなされているように、個人的に感じた。