【感想・ネタバレ】父のコートと母の杖のレビュー

あらすじ

人気ムック『暮らしのおへそ』編集ディレクター・一田憲子さんが父と母を綴る初めてのエッセイ集

昭和のモーレツ会社員で、バリバリ仕事をしてきた父。
専業主婦としてそれを支えてきた母。
いつまでも元気だと思っていた両親が、80代、90代になり、
娘である自分がケアをしなくてはいけなくなったとき──。

「だんだんと体力が衰え、できないことが増える。
自分の親にその『年齢』がやってきていることを知ったとき、
訪れたのは「恐怖」だった。(中略)父や母が弱っていくことがイヤだ。
いつまでも元気でいてほしい。もしそうでなくなったら、
いったいどうしたらいいのだろう。そんなジタバタを経て、
『老い』を受け入れなくては仕方がない、と理解し始めたときから、
私は父や母と出会い直してきた気がする」(はじめに より)

現在進行形で老親と向き合う一田さんの、実感を綴ったエッセイです。

はじめに
目次
1│もう一度、親と出会い直す
大嫌いな親との再会
父のコート
母の杖と自立の教え
アイロンかけは父の役目
母のおしゃれ指南
父の銀磨き
ぶっきらぼうな母
いばりん坊の父との会話
年代ものの調理道具とカレー作り
父からのメール
無垢な母と小賢しい娘
朝食はバタートースト
母の自信

2│親の人生の最終コーナーで
老いる意味
マイナスのアップデート
父と母の誕生日に寄せて
家事は「点」でなく「線」で考える
一田家のティータイム
父の免許返納と私の運転
親に甘えられない問題
父と母の喧嘩遍歴
育てられ方と、私らしさ
心配しすぎ症候群
介護ヘルパーさんと両親の見栄
一田家のお出かけ
両親は、尊敬できなくたっていいのだ
80歳も90歳も、人生のはじめて
家族の力関係

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

自分の父と母と重ねながら、しみじみ読んだ。
両親の老いにともなって、関係性も変わってくるんだなぁ。老いた親と出会いなおす、と思えば、親の老後はどうなっていくんだろうという不安よりも、どんな家族の時間を最後に過ごせるかなぁという楽しみが増えた気がした。

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2025年06月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 新聞の書評欄で見て、あっという間に読み終えた。 
90代のお父様と80代のお母様。どちらもまだ頭はしっかりしておられて、一人だといろいろできないことも多いけれど、二人でなんとかバランスをとって暮らしておられる。たまに著者が訪ねてあげて、補ったり。
 ずっと前に父を亡くした私だったり、片方認知症、片方歩けない状態でぎりぎりいっぱいの私の友人などからすると、羨ましいなあ・・・という家庭。大変なのだろうけれど羨ましい。
 これから老いていく自分を思うと、このご両親のように二人でバランスをとりながら長生きできたらいいなあと思った。ひとつの憧れの形です。

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2025年05月28日

Posted by ブクログ

だんだん年を取っていく両親と向き合う中で綴られたエッセー。とっても良かった。この頃、老いることや死について考えることがあって、そんな自分にドンピシャなテーマでした。
筆者がもともと感じていたのと同じように、自分の親の老いは受け入れ難く、いつまでも親であってほしくて、衰えを認めたくない思いはあった。
でも、このエッセーを読んでいると、できないことが増えていってもそれなりに工夫して、ちゃんと生きていく毎日があるんだなぁと。その歳にはその歳なりの生活がある。
「人生は「はじめて」の連続」という言葉もいいなと思った。歳を取っても「はじめての70歳や80歳」を生きるわけね。なるほど、そうだよね。
親には親の生活や生き方があって、それを尊重したいね。もちろん、困りごとには手を差し伸べつつ。筆者とご両親の程よい距離感がいいなと思いました。
あと、筆者の性格や考え方が私に近いものを感じて。安定志向で不安がりの心配性。そんな筆者の言葉は共感できるものでした。読んで良かったなと思えた一冊。
「私自身が年を取る練習でもあり、親は老いることの見本になってくれている」

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2025年05月16日

Posted by ブクログ

まさに、自分も家族の老いで不安になっていた時に読んだので、すごく共感。年老いた今の両親とひっしやが向き合っている姿に、読んでいる自分の逃げ腰な姿と照らし合わせ恥ずかしくなった。

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2025年04月15日

Posted by ブクログ

人気ムック「暮らしのおへそ」編集ディレクターの一田憲子さんが、父と母を綴る初めてのエッセイで、現在進行形で老親と向き合う一田さんの実体験が綴られています。

長年親が目の上のたんこぶだったと語る一田さん。大反対を受け、駆け落ち同然で飛び出し結婚され、始めて知った親の愛情。

愛情とは「正しい」か「正しくない」かや意見が「同じ」か「同じでない」蚊で測れるものではない。大嫌いでも愛されている。そのことが、私が両親から受け取った、いちばん大きな真実であるような気がする。
「もう一度、親と出会い直す」より

さらに作中では、彼女が現在ライターとして活躍する中で、自然と両親から授けられたことに気づき、改めて感謝する内容が多く綴られています。

育てられ方で人は変わる。親から刷り込まれたものは、子供の個性となる。それをプラスにするか、マイナスにするかは、きっと子供の使命なのだ。(中略)いいことも悪いことも丸ごと受け取る覚悟を持てたとき、そこから「自分らしさ」を自分で育てていけるように思う。
「親の人生の最終コーナーで」より

著者のご両親は現在介護的には要支援の状態で、ヘルパーさんによる週2回の訪問介護で、家事の手助けをお願いされている以外は、お2人で生活されています。ご両親とも持病もあり、通院もされていますが、今のところ2人でできる限り生活し、娘たち(著者には妹がおられる)の時折帰省を楽しみにしておられます。

私たち夫婦も要介護の母がおり、幸いにも施設でお世話になっていますが、著書にもありますが、介護は本などたくさんあって、知識を得る機会は多くありますが、実際に直面してみないとわからないことも多々あります。
それでもこういう作品が少しでも心の拠り所になるといいなと思います。

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2025年01月12日

Posted by ブクログ

心の中のあんなことやこんなことの表現に、いつも頷きながら読ませてもらいます。私は、一田さんより一回りと少し年下ですが、チラチラと両親のことが気になり出していた中、この本に出会いました。起こっていないことにアレコレ心配せずに、両親に与えてもらった安らぎや安心を私なりにお返しできたらいいなぁと思いました

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2025年01月11日

Posted by ブクログ

60歳の著者が綴る、80歳の母と90歳の父のこと。
人生の終わりに近づいていく両親の姿や暮らしから教えられた、家族の尊さと「老い」との付き合い方。
いくつになっても「子ども」と「親」という関係性は変わらない。親は子どもを心配したり幸せであってほしいと願い、子どもは少しうっとおしく感じながらも親に元気でいてほしいと願う。

いくつになっても、親から教えられることは多いという言葉に、なんだか安心した。
親が老いていくことへの恐怖が、著者と同じく、私の中にもある。
でも、親の生き方を見ることで、まだまだ支えてもらえる、娘のままでいられるということが、嬉しいのだ。
もちろん介護など、身体的にサポートが必要になることはあるだろう。けれど、人生の先輩として、その小さくなっていく後ろ姿からも学べることはまだまだたくさんある。
そう思うと、元気なうちに親とたくさん話したり聞いたりしたいことはたくさんあるし、今のこの時間を大事にしようと改めて思う。

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2024年11月07日

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