あらすじ
幕末日本。幼いころから綺麗な石にしか興味のない町娘・伊佐のもとへ、父・繁蔵の訃報が伝えられた。さらに真面目一筋だった木挽き職人の父の遺骸には、横浜・港崎遊廓(通称:遊廓島)の遊女屋・岩亀楼と、そこの遊女と思しき「潮騒」という名の書かれた鑑札が添えられ、挙げ句、父には攘夷派の強盗に与した上に町娘を殺した容疑がかけられていた。伊佐は父の無実と死の真相を確かめるべく、かつての父の弟子・幸正の斡旋で、外国人の妾となって遊廓島に乗り込む。そこで出会ったのは、「遊女殺し」の異名を持つ英国海軍の将校・メイソン。初めはメイソンを恐れていた伊佐だったが、彼の宝石のように美しい目と実直な人柄に惹かれていく。伊佐はメイソンの力を借りながら、次第に事件の真相に近づいていくが・・・・・・。
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読み始めるまでミステリと思ってなかったのだけれど、なかなか骨太な幕末ミステリでした。2人の羅紗緬が軸になって2つの時代が交差していくので、その辺をきちんと追いかけていくとなかなか面白かった! この先も時代モノでいくのかなー?
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2つの話し、里と鏡の話しと伊佐と幸正そしてその関係者の話しがどうあとでドッキングするのかなと思いつつ更には伊佐の父親の繁蔵の関わる事件解明当時の時代設定から外国人まで絡んでどう纏め上げるのか、どうするどうする?そうして巻末の見事な謎解きにビックリ‼️ああ一気読みだった!
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まあまあ楽しく読めたので、レビューの少なさと評価の低さ(2.83)に驚いたが個人的には星4かな
ひとつ前に読んだ本がアレな感じだったのもあって、読み始めてすぐに高評価からスタートしたのは否めない
ミステリとしては伏線のサービスが良い
大仕掛けを含めて謎の半分くらいは察しがつくように書かれている点や、終盤に怒涛の解決のスピード感も良かった
急に名探偵と有能助手として覚醒するのは愛嬌か
あめじすと、ほーせき、くらいまでは微笑ましく読んでいたがアナグラムの説明やらラブやら語り出されて鼻白んでしまった
遊郭島でのプラトニックな関係を書きたかったのだろうけど、やっぱり違和感はあるなあ
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タイトルがそのまま答え、そんな印象を受けた作品。
主人公伊佐は石が大好きな少女。父の無実を晴らすため潜り込んだ先で出会ったメイソンとともに謎を解き明かすストーリー。
帯には要素のひとつとして恋とあるが、人にとってはそう感じないかもしれない。メイソンはそもそもカタコトで話す。話すと言っても3つまでの単語の羅列。そのため言葉で感じるような愛情というのはほとんどない。勝手に男女の恋があり、ミステリーの謎解きにも協力するとの事だったので言葉は通じるものという先入観があったんだな、と自覚。そこに対して気持ちの通じ合う様子を感じられないかもしれないなぁとは思った。
前半はミステリー要素が少なく単調に感じていたが、後半の畳み掛けが面白かった。そのため星4。
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幕末日本の遊廓島が舞台で、町娘の伊佐のもとに父の訃報が伝えられ、更には父が強盗殺人の容疑をかけられていることを知り、父の無実を証明するために遊廓島で外国人の妾になることを決め、そこで出会ったメイソンと共に真相を探っていくミステリーで、骨太な歴史要素に加えて事件を解決するためのミステリー要素もしっかりしていて、なおかつ作品にしばしば挟まれる「男女の仲」や「心中」といった恋愛要素も含んだ面白さがあった。
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幕末の横浜
実際した遊郭島、港崎遊郭が舞台
綿羊娘(らしゃめん)となった二人の娘、鏡と伊佐の物語が交互に描かれる
私はこの作品で初めて綿羊娘という言葉を知ったが、これは横浜開港に伴い、日本に住み始めた外国人相手の妾のことらしい…
もうこの設定ってだけで、ヨダレもの!
猫まっしぐら…(笑)
話が進むにつれ、二人が綿羊娘になった理由が明かされていく
また当時の横浜の様子、世相、文化、廓の様子にはとても興味を惹かれる
『真実の愛』とは…
そりゃあ、相手は外国人
いずれは日本を離れるお人だよ
蝶々夫人になっちまうんじゃないだろね…
などと作品に浸っていると
急に謎解きが始まる…(笑)
そうだ!ミステリーだよ!
江戸川乱歩賞受賞作だよ!
でも廓ものでありながら、「自分は決して抱かれたりはしない!身体は許さずとも洋妾は務まる」と信じる伊佐が急に誰かに重なりはじめる
あぁ…あの娘だ!
もうこの辺りから、伊佐は猫猫『薬屋のひとりごと』になってしまったよ…(笑)
ミステリーでありながら、真実の愛の追求…
やっぱり…
そうなん?(笑)
この作品、時代ものでありながらとにかく読みやすい
著者の霜月流さんはこの作品がデビュー作とのこと…すごい!
霜月さんは女性かしら?
ラストも良かったし、美しかった!
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幕末の世界観に引き込まれ、登場人物がどの様に交わっていくのかが気になり、読み進めていくのが楽しかった。場面によっては、もっと情熱的に書いて欲しい様な…もっと考察できる内容を書いて欲しい様な…どこか物足りなさを感じた。しかし素直に面白かった。
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今回の乱歩賞、2作品のもう一作。「フェイクマッスル」の方の帯には、選考委員7人中5人のコメントでしたが、こちらは7人のコメント。
文章は、もう一方の「フェイク」に比べて粗いですが、悪くはありません。寧ろ、物語の大きさを評価します。
選考委員の選評にもありましたが、
「この先大丈夫か?」と思わせる所もありながら、なかなか読ませる展開でした
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粗いところもあるし、物語としてワンパターンなところもあるが、ミステリとしては綺麗にまとまっていた。
前半部がごちゃごちゃとしていて、正直何がやりたいのか、今ひとつ掴みづらい印象だったが、後半に至りようやくギアが入ってきた印象を受けた。謎解きの場面ではパズルのピースがパチパチと一気に一致する気持ちよさがあるものの、同じパターンが幾度が使われていて、驚きには到達しなかった。ただ、幕末の日本を舞台にし、それを物語に落とし込んだ能力は確か。次の作品が楽しみ。
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江戸川乱歩賞受賞作。幕末の日本。不審な死を遂げた父の汚名を晴らすため、伊佐が選んだのは綿羊娘となって調査をすることだった。一方で姉を喪ったことをきっかけとして「男女の信実の絆」を探し続ける鏡もまた、とある目的のために綿羊娘となる道を選ぶ。奇想天外、そしてロマンスに溢れたミステリです。
ミステリとしての部分があまりにとんでもなくって度肝を抜かれました。伊佐の父の死にまつわる部分はまあオーソドックスといえますが。島が閉ざされた理由が衝撃的すぎます。到底理解はできないことだけれど、それでも信じる者にとっては必要なことだったということで、納得はできました。
そしてこの物語の芯となった、ロマンスがなんともいえず。伊佐とメイソン、鏡とバーキット、里とヒュースケン。三組のカップルにとっての「信実の絆」はそれぞれに違う形だけれど、どれが正しいのかなんてわからないんですよね。それぞれの愛の形があって良いとは思うのですが。しかしやはり伊佐とメイソンの関係にはほっとさせられました。
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まずは江戸川乱歩賞作品が時代物それも幕末を舞台にした作品は珍しく歴史幕末好きとしては最高におもしろかった。遊廓、ラシャメンなど江戸庶民の暮らしなどなど風俗的なものも出てきて充分でした。密室ありミステリー様相ありこれからもこう言う作品が生まれてくるのを期待しつつ次回作もこの線で期待したいです。時代物ミステリーの第一人者になってほしいです。
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見返しの地図にわくわくして丸善丸の内で購入。幕末の横浜の遊郭という馴染みのない設定でしたがすらすら読めた。がもう少し読んでて展開が気になる!と惹きつけられるものがあったらよかったなと物足りなく思った。
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もう一つの乱歩賞受賞の時代推理小説
読みにくくはなく、2つの視点からいろいろ展開を予想したけれど・・・
そもそも、妾と純愛はかみ合わない気が、他人を犠牲にしてまでもねぇ
他にも苦しいところは多々あり
Posted by ブクログ
幕末日本。幼いころから綺麗な石にしか興味のない町娘・伊佐のもとへ、父・繁蔵の訃報が伝えられた。さらに真面目一筋だった木挽き職人の父の遺骸には、横浜・港崎遊廓(通称:遊廓島)の遊女屋・岩亀楼と、そこの遊女と思しき「潮騒」という名の書かれた鑑札が添えられ、挙げ句、父には攘夷派の強盗に与した上に町娘を殺した容疑がかけられていた。伊佐は父の無実と死の真相を確かめるべく、かつての父の弟子・幸正の斡旋で、外国人の妾となって遊廓島に乗り込む。そこで出会ったのは、「遊女殺し」の異名を持つ英国海軍の将校・メイソン。初めはメイソンを恐れていた伊佐だったが、彼の宝石のように美しい目と実直な人柄に惹かれていく。伊佐はメイソンの力を借りながら、次第に事件の真相に近づいていくが……第70回江戸川乱歩賞受賞作
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途中まではてっきり叙述ミステリになるかと思いながら読み進めていたが、終盤怒濤の本格ミステリに想定外の興奮。
信実の愛に至るまでの描写や人物描写が少し物足りないが、世界観が骨太で満足
粟菱の正体が明かされた瞬間が一番興奮したかも
Posted by ブクログ
途中でこの話結末知ってると思った
前に途中で投げ出した本だった
前半、設定は面白いけど、なんか話に乗れない
後半やっぱりそうかという結末だった
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フェイクマッスルと同時受賞ということで、期待して手にしたが、文章が流れず、立ち止まることしばしば。人物造形もチグハグ。最後ので謎解きも、納得とはいかなかった。ブラッシュアップ上手くいかなかったのかなぁ。テーマは面白いのに。次の作品に期待。
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『フェイク・マッスル』と同じ賞を受賞されてたのでこちらもということで年末から読み始め、今年最初の作品がこれに。
姉の死によって真実の愛に固執するお鏡と、父親の不審死を解明すべく立ち上がった伊佐。
ちょっと時代背景のせいなのか文章が読みにくいせいかなかなか物語に入り込めなかった。
あと鏡にも伊佐にもあまり感情移入できなかった。
伊佐、宝石好きは良いけど父親の死の真相を解明したいはずなのに相変わらず石に執着しすぎだし洋妾になるのに肌は許したくないとかなんか甘いこと言ってるし…
でも有栖川先生が『この作品が1番大きな物語になりたがってる気がした』と評価されてて、素敵だなと思った。
ただ、また別の先生が遊廓が舞台なのに作者に遊女や遊廓を描く覚悟ができてない、と評価してて、なんか物語に入り込めないふわっとした違和感はこれだったのかとも思った。
潮騒さんとか、亡くなった遊女とか、あとは遊女にすらなれなくなった舟饅頭とか色を売る女性がたくさんでてくるのに彼女らの仕事風景はほぼ描かれてなくて、物語の本筋はまあ心中箱だったり外国人とその妾の愛の物語だからいいんだけど、いや良くないだろ…?となった。
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第70回江戸川乱歩賞受賞作。私のような素人の感想より、巻末の各大御所の江戸川乱歩賞選考コメントが実に面白いのでぜひ。特に今回受賞から漏れた作品に対してのバッサリとぶった斬るコメントはなかなか背筋が凍る。プロの世界の厳しさがよく現れていた。
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選考委員でも意見がわかれたようだが、とても乱歩賞を受賞できるような作品ではないなあと。テーマや時代・舞台設定は興味深いが、時間の行きつ戻りつの意味と、とても長い導入部の割に荒唐無稽なラストのミステリー。次頑張りましょうレベルだと思う。東野圭吾氏の選評が一番的を射ている。
Posted by ブクログ
幕末の日本、横浜・遊廓島を舞台にしたミステリ。
お鏡の姉が祝言前に心中のうえひとりで亡くなったことから何かに取り憑かれるかのように心中箱を持ち占いをすることから物語は始まるが、もう一方で町娘・伊佐の父が、強盗をし町娘を殺害し船饅頭で焼け死んでいたという。
お鏡と伊佐の話が交互に進んでいく。
この時代を想像しながら読み進めるのに入り込むのに少し時間がかかった。
終盤以降にやっと盛り上がるが、真実の愛とは…を軸にした話のようで、石のなかに全てを潜めていたんだなと感じた。
遊郭島を舞台にしてあったが、内情の泥々を感じることなく、遊廓島そのものを心中箱に見立てたというスケールの大きさには驚かされた。