あらすじ
第53回大宅壮一ノンフィクション賞、第21回新潮ドキュメント賞、第44回講談社本田靖春ノンフィクション賞受賞。
史上初、前人未到の三冠達成!
令和最高のノンフィクション
この本は一体、何人の人生を変えるのだろうか──
各界から感動の声、続出!
中日はなぜ「勝てる組織」に変貌したのか?
スポーツ・ノンフィクションの枠を超え、社会現象を巻き起こし、2022年のノンフィクション賞を総なめにした大ベストセラー。
文庫化にあたり、完全試合目前での“非情采配”山井大介投手降板劇の真相に迫る新章「それぞれのマウンド」を書き下ろし。
新たに川上憲伸に取材、2007年日本シリーズ、幻の第六戦に登板予定だったエースは、あの夜、何を見たのか──?
※
なぜ 語らないのか。
なぜ 俯いて歩くのか。
なぜ いつも独りなのか。
そしてなぜ 嫌われるのか――。
中日ドラゴンズで監督を務めた8年間、ペナントレースですべてAクラスに入り、日本シリーズには5度進出、2007年には日本一にも輝いた。
それでもなぜ、落合博満は“嫌われた監督”であり続けたのか。
謎めいた沈黙と非情な采配。そこに込められた深謀遠慮に翻弄されながら、真のプロフェッショナルへと変貌を遂げていった男たちの証言から、孤高にして異端の名将の実像に迫る。
著者の鈴木忠平氏は中日の番記者として8年間担当。新たな落合監督像を浮かび上がらせると共に、中日が「勝てる組織」へと変貌していく様をドラマチックに描く。
※この電子書籍は2021年9月に文藝春秋より刊行された単行本の、文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
野球は観ない・やらない(やれない)自分だが、たまたま移動中の車で掛け流していたpodcastかyoutubeで紹介されていて購入。
選手に対する監督としての関わりを通じて、落合氏の人物像が立体的に立ち上がってくるような作品。
自分の場合、一人ひとりのプロ選手の生き様が印象的だった。
これから読む方では、スポーツに限らずプロフェッショナルと形容される仕事をしている場合、感じ入る言葉があるのではないか。
人生、順風満帆にはいかないものだが、それはプロ選手の方も一緒。特にスポーツにおいてフィジカル面では年齢が重要な意味を持ち、終わりを覚悟しなければいけない世界と推察する。分かっていてもその終わりに直面したとき、ひとりの人間として、終わりにどう向き合うか。
プロ選手の葛藤と、それでも前に進む態度に学ばせていただく点が多かった。
===
▼個人的に印象深かった点(感想)
・真の渇望は、パサパサのハンバーガーに満足して笑っている内は生まれない。
└いざ全てが終わった後に気がついても遅い。
・挫折を味わい、遠回りしながらも、自分の居場所を勝ち取る。
・いつ自分の居場所を失うかもしれない危機感。
・一球でも多く相手に投げさせる。フォアボールでもいいから、塁に出て、何とか舞台の端にしがみつこうとする。そうした飢餓感のようなものが、他人に何かを感じさせるのでは。
・成功しても個人として得るものはなく、失敗
した場合に失うものは大きい。それでもやることにポリシーが宿るのかもしれない。
・こんなにしんどい思いをして、何も掴めずに終わってたまるかと言えるまで愚直に自分を追い詰めることができるか。
・自分の代わりはいくらでもいる。自分で自分に落第点のバツをつけても、何の慰めにもならない。その中で続ける死に物狂いの努力を日常風景にしていく。
・練習や努力は見せるためのものじゃない。結果が大事。
・新人、若いというだけで使ってもらえるなんて思わない方が良い。ベテランにだって生活はあるし、何よりプロは成果を上げるため/ 上げ続けるために集まっている。
・機会を与えられて生きてきた人間は弱い。ぶつかると潰れてしまう。
・「もう要らない」と言われてしまって、地獄に落ちたような気分でも、もらった言葉の意味を考え続ける。その上で、そこからまた始めるしかない。始めるなら、早い方が良い。
・築き上げた実績に腰掛けようとする度、椅子を取り上げられ、プライドの横っ面を張られ、翻弄されてきた。
└自己革新し続けることがプロの宿命。
Posted by ブクログ
落合中日の強さと、その後の中日の苦難の理由が分かる本。
勝つことを突き詰めることを監督に望むとこうなるのかもしれないけれど、未来のチームを考えることはできないのかもしれない。
勝利と育成。それを両立することの難しさ。
けれど、類稀なる目を持つ落合監督には勝つ筋道が見えていたから、その道を進むしかなかったのかも。
プロ野球好きとしては面白かった。
ただ、ファイターズファンとしては2007年の日本シリーズの話は辛かった(笑)
Posted by ブクログ
読みたいなとおもっていたところ、文庫本になったのを機に購入。
落合監督の思考に迫ろうとしていく筆者。最初は若手の記者だったのが、だんだん自信を得ていく姿も感じられる。
やはり、日本シリーズの完全試合を目の前にしての交代が、メイン。登場人物はそれぞれの理屈があってのことだろうが、ドラマを求めるファンには通じない。このテーマは日本のプロ野球が続く限り答えが出ないような気がする。