【感想・ネタバレ】つい昨日のできごとのレビュー

あらすじ

SNSで話題となった著者の父のスケッチブックを題材に、戦中~戦後を生き抜いた父親の姿と、激動の時代を活写。イラスト多数収録!

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Posted by ブクログ

人類の長い歴史の中で見れば、79年という「年齢の隔たり」は人類の誕生を20万年前だとすれば短い、と小手鞠氏は書いている。
「川滝少年のスケッチブック」の感想を書いてくれた、令和の十二歳と、昭和の十二歳の川滝少年の年の差である。
人の一生もとても短いと思う。
特に、人が自分の生きてきた道を振り返るとき、人生100年時代になった今でも、その人にとっては一生のすべてが「つい昨日のできごと」なのではないか。
太平洋戦争を経験した人は、戦後80年経ったって、それはつい昨日のできごとなのである。
逆に、自分の人生に無かったことは、それがたとえ生まれる前年の出来事であっても、知らない出来事であり、リアルに考えることはできないと思う。

小手鞠るい氏の父・川瀧喜正(かわたき よしまさ)さんが娘に託した「マンガ自分史」には、岡山の空襲や、戦後の日本の混乱などが、ユーモラスかつ、リアルで写実的(この二つが共存しているところがすごい)に描かれている。
私も改めて昭和史をおさらいした。こんな歳だが「戦争を知らない子供」なのだ。
若い人たちにも是非読んでもらいたいと思う。絶対に面白いから!

『プロローグ———蠍座の父』
『第一夜 つい昨日のできごと———「アップルソング」』
『第二夜 軍国少年ができあがるまで、あるいは軍国少年の作られ方』
『第三夜 「レェイディオ」で聞いた「デス・バイ・ハンギング」』
『第四夜 働く者の幸いを———ブルーカラーの青春』
『第五夜 こけし人形と白い橋』
『第六夜 父と娘の昭和草子———愛の重さ』
『エピローグ———がんばれテレさん』
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蛇足。
朝ドラ「カムカム・エブリバディ」で岡山空襲の夜、ヒロインは「安子さん、安子さん、早う!」とお義父さんの声で起こされるんですね。
あら、空襲警報で目が覚めなかったの?子育てで疲れてたのかなあ?
などと違和感を感じていたのですが、岡山空襲は警報が鳴らなかったとこの本で知りました。
でも、川瀧少年(当時13歳)が見た、駅の貨物倉庫に並べられた300体の黒コゲ死体はさすがにドラマでは描かれませんでしたね。

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2024年12月29日

Posted by ブクログ

セミプロのマンガ家だった父が書いた家族の歴史。娘が見た父と子の家族史は大きな感動。
自分の生い立ちから戦争、成長し岡山から上京その後夢破れ帰郷。家族を持ち子の成長の記録。マンガのタッチもよい。

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2024年11月30日

Posted by ブクログ

小手鞠るいさんのお父さんが描いたスケッチ(「マンガ自分史」)を基に、本書は構成されている。
スケッチの絵はとても細かく丁寧に描かれていて、どこかユーモラスで面白い。文章も字が綺麗で分かりやすい。とても貴重な昭和の記録だと思う。
1945年にお父さんは13才。1931年〜1963年の32年間が記録されている。小手鞠さんは、これらを「つい昨日のできごと」と表現している。本書を読んでいると、だんだんそんなふうに感じられてくる。単に一組の親子の話しではなく、私たちひとりひとりが過去と繋がっていると感じられてくる。

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2025年09月21日

Posted by ブクログ

著者の父親がスケッチブックに描いた『マンガ自分史』をもとに、昭和時代をふりかえった本でした。

描かれたイラストがとても味があって、すっかり気に入ってしまいました。文章で書かれたものを読むよりも、すんなりと頭に入りました。軍国少年がどのようにして出来上がったのかなど、戦争へと向かっていく様子などがありありと描かれていました。この戦争体験を子どもたちに伝えるために、『川滝少年のスケッチブック』という本も出版されているそうです。

父親が描いたものは、昭和を生きた痕跡がとてもわかりやすく、と同時に家族への愛情も感じる絵日記でした。父親が記したものを読んで、その当時を思い出す著者の気持ちが素直に表現されているところに、親子のよさを感じました。

家族の記録であると共に、昭和の記録としてとても貴重な本だと思いました。


〈目次〉
プロローグ
第一夜 つい昨日のできごと―『アップルソング』
第二夜 軍国少年ができあがるまで、あるいは軍国少年の作られ方
第三夜 「レィディオ」で聞いた「デス・バイ・ハンキング」
第四夜 働くものの幸いを―ブルーカラーの青春
第五夜 こけし人形と白い橋
第六夜 父と娘の昭和草子
エピローグ――がんばれテレさん

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2025年08月04日

Posted by ブクログ

小手毬るいさんの、ファミリーヒストリーともいうべきこの本に、親世代のことを知らされた思いがした。
私の母は朝鮮からの引き揚げ者で、その頃のことを一切語ろうとしなかったから。戦争の思いは人それぞれで、むやみに聞き出すこともできないデリケートなもの・・・と思っていたけれど、聞きたい気持ちはあった。とうとう聞くことができないまま、彼岸へ旅立ってしまったのは心残り。
小手毬さんのお父さんは、戦争中という暗い時代を、マンガにして記録していた。冷静に戦争を見つめる視点と、描写の豊かさに目を見張る。マンガにする、ということは、客観的に物事を見つめないとできない作業だ。この時代に並大抵なことではなかったと思う。敗戦で国に裏切られ、それでも平和を模索しながら、家族を、子供を愛して生きてきた父親としての姿。強い意志を感じることができた。

作者が父の漫画を紹介して、時代と、家族の歴史と付き合わせながら、戦争と戦後を語っていく、こんな形で父親と交流することができる作者を、羨ましく思う。

庶民からの目線で語られる戦争の物語。『この世界の片隅で』(こうの史代)は、岡山と広島で場所も近い。庶民にとっての戦争の話。『台所に敗戦はなかった』(魚柄仁之助)は、戦中のみならず、明治から昭和にかけて、婦人雑誌などから家庭の台所事情を教えてくれる、びっくりするような内容の本だった。

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2025年02月23日

Posted by ブクログ

父親の川滝喜正の漫画日記をベースにして振り返る父親の時代と生き方.あたたかさの感じられる絵とユーモラスな文.娘の立場からのツッコミや解説とともにとても楽しいエッセイです.

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2024年12月08日

Posted by ブクログ

簡略化の漫画を付け加える事で、生き生きと時代の様子が分かる。言葉が想像力を掻き立て、場面をより鮮明にさせる場合もあるが、絵が加わる事で、分かりやすくなる場合もあると感じさせてくれた。

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2024年11月23日

Posted by ブクログ

(感想を書いたのに誤って本棚から削除してしまったので再投稿)

ほのぼのとしたイラストで、昭和の生活文化や暮らしを振り返ってノスタルジックにひたる。

そんな期待をして手に取りましたが、少し違いました。

あの時代に「元祖イクメン」だったというお父様はすごいですね。
ご自宅から乳母車を押してお母様の実家に娘さん(筆者さん)を預けて出勤、休憩時間に授乳のため連れ出し、職場のお母様に預けて……と。
頭が下がります。

本の冒頭、かなり厳しいお父様であったことが記されていました。

一体どのような父娘関係になるんだろうとハラハラしましたが、しっかり愛が感じられて良かったです。

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2025年06月01日

Posted by ブクログ

サブタイト?「父の昭和スケッチブック」に惹かれて手に取る...

著者の父親のスケッチを通して昭和の時代(=著者の父の)を振り返る?構成??

感想は...ちょっとコメントしにくいなぁ〜

スケッチ、写真...
こういうもので生きた時代を振り返るってこともいいのかな...と思った。

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2025年02月23日

Posted by ブクログ

予想とは少しイメージが違う内容でしたが 激動の昭和を生き抜いた お父さん凄い人生でしたね。
悲惨な時代もあったのでしょうが イラストがどこかユーモアがあって なんだかホンワカしてしてしまいました。とにかくイラストがお上手。
お子さんにはイラストのほうがわかりやすいですね。

同年代の亡き父 もっとたくさん話を聞けばよかったなと思いました。

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2024年11月12日

Posted by ブクログ

戦中を生き抜いた1人の軍国少年だった父親が残した絵日記。イラストも上手で戦争中のことや、戦後の世界のことなどよく分かる。こういうその当時のことが知れる生の資料が絵付きであるなんて素晴らしいなあと思う。

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2024年11月03日

Posted by ブクログ

筆者の父ちゃんが描きためていたイラストでみる戦中戦後の日本。
これがなかなか味がある。
他人の日記って興味あるので、これはこれで楽しく読めたよ。

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2024年10月23日

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