あらすじ
エンタメの深層をつかめ。
大正時代、出版華やかなりし頃。
「市民公論」編集部の松川は、窮地に立たされていた。
担当した企画のせいで、筆者が大学を追われることになったのだ。
奔走する松川に、主幹は驚きの決断を下す。
同じころ、当代きっての人気作家・菊谷は、
「書きたいものを書く」ための雑誌を立ち上げようとして……
「100万部突破の常勝雑誌を作る」宿願は叶うのか?
徳川夢声、谷崎潤一郎――
作家や文化人たちが侃々諤々の議論を交わしながら、
面白いものを作ろうと奮闘する様を描く。
刊行点数200冊に迫るエンタメ界のトップランナーが送る、出版お仕事小説。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
大正から昭和にかけて出版業界が活気づいた時代、「市民公論」編集部松川は主幹とぶつかり退社、人気作家菊谷が立ち上げた雑誌に加わるもまたも意見が合わず、別の会社の新雑誌立ち上げに加わり奔走していく。昔の出版業界や文壇の内幕や主人公の苦悩と熱い思いで読ませる作者さんには珍しいお仕事小説。
Posted by ブクログ
訳の分からない(読む前は)表題だが著者名によって購入。期待せず読み始めたが、これが非常に面白い。1日で一気読み。
主人公は実在の人物かどうか不明だが、日本初の雑誌百万部を実現したキング(本書ではエース)の物語。
登場人物が実名と仮名とが混在している。実名で出てくるのが谷崎潤一郎。まあ端役でしかないからだろうか。仮名代表は菊池寛。こんなに存在感のある人物だったとは。芥川龍之介もすぐに分かる。まあこんな感じだったんだろうね。後はよく分からないがこれを調べるのも楽しいだろう。
それにしても雑誌がメディアの中心だった時代。その熱気が素晴らしい。
Posted by ブクログ
大正から昭和への雑誌社の黎明期の画期がイキイキと伝わってくるような作品。一回はこういう編集の仕事に憧れた身としては登場人物の端っこにいれたような気になって嬉しかった。世界大恐慌から第二次世界大戦へと続く後輩たちの奮闘も続編で読みたいですが、堂場瞬一先生無理かなー。原稿催促に行きますけど笑
Posted by ブクログ
大正時代から昭和になる頃の出版業界で働く男の物語だが、表紙がポップすぎるなぁ…なんて思わなくもない。
タイトルも「ポップ・フィクション」だからそうなるのか…
堂場さんと言えば警察小説のイメージが強いけど大正時代のお仕事小説となれば、職種は違えど仕事に打ち込む男としてはありなのか。
「市民公論」編集部の松川は、担当した企画で筆者が大学を追われることになり、奔走するなか主幹の判断に納得いかず殴り辞める。
その後、人気作家の菊谷が自分の書きたいものを書くための雑誌を立ち上げるが、上手くいかず松川が加わり「文學四季」の編集者として働くのだが…
推したい作家を菊谷が拒否し辞める。
最後には勢いのある「エース」で新しい雑誌を作るために奔走する。
真っ直ぐなのか、我が強いというのか、とにかく諦めるということのない松川に振り回されたような気持ちになった。
しかし何にしても創り出すという作業は苦しいということだ。
Posted by ブクログ
いろいろ実名だったりそうでなかったりして虚実がどこまでかよくわからない作りだが、編集者の考え方や作家とのつきあい等、雑誌創成期の息吹を感じられる堂場作品らしい作品。題材となった雑誌「キング」や菊池寛や野間清治、芥川あたりまでは想像できるが、その他は勉強不足でよくわからず。タイトルはどういう意味なのかしら。
Posted by ブクログ
堂場瞬一さんによる大正から昭和を舞台に奮闘する雑誌編集者を主人公にしたお話。
編集者と作家の関係性、作品が生まれるまでの作家の苦悩っぷり、関東大震災時の状況などリアルに話が紡がれていき読み応え十分。
結末がシャキッとしない終わり方であったが楽しく読める作品。
Posted by ブクログ
大正時代の雑誌出版をモデルにした物語。
フィクションとノンフィクションが混じってる。
菊池寛や芥川龍之介なんかは
名前は変えているものの実在の人物だから
大阪の薬問屋のぼんぼんだという志方も
誰かモデルいるかと思って探したけど
どうも架空のキャラのようです。
主人公の辣腕編集者・松川も。
その松川が、まず『市民公論』で働くも
編集方針をめぐって退社し
新雑誌『文學四季』を軌道に乗せるも
また意見の相違で啖呵切って辞め
最後は老若男女の読者に向けた
総合誌『エース』の創刊に関わることに。
雑誌という媒体が生まれた頃の
作る側の熱量がすごい。
菊谷…菊池寛の人物造形がなんか好き。
こんな社長は嫌だが、憎めないねぇ。
Posted by ブクログ
大正〜昭和初期の雑誌編集者のお話
雑誌作りへの情熱や作家との交流など、実在の人物や架空設定の人物が入り混じって進む
時代が一緒のせいか、門井慶喜「文豪、社長になる」をちょくちょく思い出しながら読んだ
時代の特徴か豪傑な人が多い、この後の時代を匂わせているのか不穏な空気で話が終わった気がする
Posted by ブクログ
総合誌といわれる雑誌を創り出した編集者たちの物語。今も出版されている雑誌や、休刊になってしまったものの百万部を売り上げていた雑誌などがモデルとなっている。作家も、実名で登場する人や、多分あの人?などと想像させる人もある。
関東大震災前後ということは、大正末期から昭和初期。まだテレビも無かった頃の事、雑誌は娯楽であり情報源でもあったのだろう。
本のタイトルから想像していた内容と違っていたけれど、予想外の面白さだった。
Posted by ブクログ
松川の会社の辞め方で、後々また当事者同士が笑って話せるようになるなんて、昔の人たちは豪快でさっぱりしていたのだろうか
夏目や芥川など実在の人物と架空の人物が入り混じっているので、おや?となることもあるけれど楽しめた
今は雑誌が150万部なんてなかなか…すごい時代もあったんだな