あらすじ
企業を上場まで導いた実業家たちは何を考え、事業と組織を成功に導いたのか。
「実務として有効ではないフレームワークのツギハギのような方法が頻繁に採用され、成果を生まないという場面を何度も目にしてきた。
このような状況に対して実践的な事業創出方法を提案し、企業変革に貢献したいと強く思うようになった――(本書「はじめに」より)
コンサル、起業家、新規事業のアドバイザー
著者がすべての経験を注ぎ込んだ事業創出の方法論!
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【目次】
第1部 事業領域の選定
事業領域の選定ー総論
第1章 進出する事業領域の選び方
1.実業家たちの事業領域選定
2.儲かっている先行者の情報から始める
3.情熱を持てるものから始める
4.構造変化から始める
5.実務を通じたインサイトから始める
第2章 自社の能力を踏まえた領域検討
1.実業家たちの能力活用法
2.新規事業で活用できる自社の能力
3.日常的な能力拡張
4.ゼロから始まる能力獲得と領域拡大
5.個人の能力を十分活用した領域選定事例
6.飛び地における能力獲得
7.M&A・マイノリティ投資の活用
第3章 事業領域の評価
1.調査を通じた事業領域の評価
2.対象領域の調査方法
第2部 インサイトの発見
インサイト-総論
第1章 インサイトの発見
1.実業家たちのインサイト
2.インサイトの定義
3.顧客インサイトの発見
4.先行者インサイトの発見
第2章 インサイトの活用
1.先行者インサイト活用の実務
2.追求する新規性とリスクの調整
3.顧客インサイトと先行者インサイトのバランス
4.インサイトの客観性
5.インサイト発見は細分化しない
6.インサイトから実行へ
第3部 事業立ち上げの遂行
事業立ち上げ-総論
第1章 事業立ち上げの方法論
1.実業家らの事業立ち上げ
2.実業家らの事例を通じた学び
3.大企業内での事業立ち上げ事例
4.大企業での事業立ち上げからの学び
第2章 事業の継続・成長と撤退
1.撤退・戦略の大幅修正
2.集中投資段階へ
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
少し冗長だったり構成がわかりにくい部分はあるけれど、読後の満足度はとても高い。まず言葉を安直に使わずしっかり定義しているのがよいし、一つひとつの記述も、たとえるなら4年ほど前に流行った「金儲けのレシピ」と同じで、事業の本質を突いていると感じた…と思ったら、この方も株式会社プロジェクトカンパニーだったのか、納得。
いずれにせよ、事業の立ち上げ戦略について書いた本の中ではトップクラスなのでは。
Posted by ブクログ
新規事業の成功要因について、具体例と共に記載がありわかりやすい。生成AIにより、更に1次情報の価値が高まっていると思えるので、このような本は有益。
Posted by ブクログ
・先行する企業の模倣の過程で、自社の強みを活かしていく方向性を検討するべきであった
・「すでに似たようなものがあるから後発に参入の余地はない」という議論はあまりに雑である。実業からは「あの会社は儲かっている。しかも欠点もたくさんあり、重要な要素であるこれができていない。自社ならある面ではもっとうまくやれる」と考えて、参入戦略を策定する。先行者がいることで「顧客が強く求めているもの」「ある程度強く求められることが証明されているコンセプト」がわかる段階で参入できるメリットがある
・マーケティング:顧客を販売の場面(ECサイト・営業など)まで連れてくる能力
・機能全体で能力を捉える
営業・マーケティング:他社より売る能力が強い
製品企画・開発:他社より優れた製品を企画・デザインできる
製造・サービス提供:他社より安定的かつ大規模にサービス・商品を提供し続けられる
マネジメント:他社より大規模かつ効率的な組織を形成し運用できる
・能力把握を行う際は、社内のメンバーのみで議論をするのではなく、顧客になぜ自社を選んでくれているのかを問うといい。「価格が安い・納期が早い」と言われたなら、それを支える製造体制及び原材料の仕入れ能力に注目し、調達や製造を担っている社員と話すことで能力を正確に把握できる
・飛び地に進出する際には、無理に「強みが生きる」というストーリーを作るべきではなく、「弱いが、必要だから行く」というストーリーにするべきだ
・差別化されている≠売れる(顧客から見て価値がある)
・スモールM&Aの大きな留意点は買収対象企業の経営陣ないし社長個人と信頼関係を醸成できるかである、スモールM&Aの対象となる企業の場合、被属人的な事業を行っているところは極めて珍しいであろう。能力の移管を実現する前に社長や経営陣が離反してしまうと、ビジネスが崩れ、能力獲得という目的が達成できずに終わる
・インサイトが深いとは「明示的に語られていないが、発生する現象を正しく言い当てられている」ということである。
・戦略の種類
成長戦略:複数の事業を組み合わせ会社自体を成長させていく戦略
事業戦略:単一の事業に関する方針を定める戦略(顧客・競合・自社の観点をすべて含む)
戦略:目標を達成するための行動指針(顧客・競合・自社の観点をすべて含む)
・事業の成功においては、決定的に重要な競争要因での勝利にしか意味がない
・重要なのは、その重要性を理解しつつも組織的な理由で先行者が投資できていない要素を狙って突撃することである
・バイトダンスの参入戦略
儲かっている・成長している企業のサービスを模倣して参入する
模倣品を企画・開発・運用することで能力獲得を進める。同時にインサイト発見に努める(この段階では競争力が低いため収益性は低い)
インサイト発見後、集中的に投資を行い競争力を確立する
・自分が売れないものは他人にも売れないことを認識し、事業リーダー自らが営業を行うべきだ
・戦略を学ぶとすぐに棲み分けや差別化を考えてしまう人は多いが、5日は正面から戦うことになる。毎回正面衝突を避け、ニッチに引きこもっていてはビジネスになり得ない。自社が先行していたとしても、いずれ模倣品から追撃される。正面から戦って勝ち続けられるような強靭な体制を構築するべきである
・「この事業はいずれ大きくなり、少なくとも10年後には異議が出るから今は耐えよう」というストーリーではなく、「短期的にも取り組む意義がある」というストーリーを作ることによって、社内から潰されるというプレッシャーを回避する
・事業創出とはそもそも困難なプロセスであるため、「困難である」という証拠を検証過程で見つけることは極めて容易い。だから困難であってもやり抜くという強固な意思が事業を立ち上げるうえでの必須要素なのである
・正確なインサイトを得るためには、顧客や先行者らとの対話を最重視する
Posted by ブクログ
成長戦略に関する本。元マッキンゼー、元スタートアップceoで業務接点もあった方の本。
自身、新規事業を長らく見ているので新しい発見は少ないが相当大事なポイントを押さえられている良著
やや表現や構成に冗長感あるか。逆に言うと序文や総論が相当まとまっているので、概ねそこを読めば充分かも
メモ
・企業は自社の能力に制約される。正確に把握し事業領域を定めることが必要。能力獲得が必要なら、投資意思が共にあること
・意義のある領域設定は初期的なインサイトと共にあることが多い。
・競争力と呼べる能力は企画、製造サービス提供、マーケティング、マネジメントの観点で、面で競合優位がある必要がある。点の技術やアセットは単に参入の契機として扱うべき
・参入の契機は社内説得性を与える。事業拡大のためにはこれのみてまは困難で、能力獲得やインサイト発見をし、段階的拡大へ進む必要がある
・能力獲得には高い不確実性があり、じかんをともなうがか、常に新規顧客層開拓、新商材導入、新規事業への挑戦を習慣として続けるべき
・成長戦略の中核はインサイト。顧客や先行者との対話を重ねることが有効。インサイト発見客観的に説明困難で背景知識、経験を共有できる人らとしか共有できない
・事業を立ち上げるためには熱意のある事業リーダー、機動力のある運用体制が欠かせない。戦略策定と同時に機動的な運用体制構築に努めるべき
・新規事業創出において重要なプロセスは、事業領域の選定、インサイトの発見、事業の立ち上げの三つ。
・事業領域選定の4ルート
儲かっている先行者の情報
情熱を持てるもの
構造変化
実務を通じたインサイト
・好きなものをビジネスにしたいときはまず顧客と競合を見る。顧客はちゃんと対価をはらいうるか。競合よりも良いサービスを提供できるか
・投資、参画することで自社が情報の交差点となる発想
・関係性強化。投資側のコミット。社内での連携説得性。受ける側から必ずしも特別扱いを得られるものではない
・変化は常に機械を生み続ける
・インサイトとは背景知識に基づいた現象解釈による戦略
・インサイトは多くの人が合意するものではなく、少数派の意見であることが望ましい
・強い需要があり、サービスもしくは能力の需給ギャップがあり、自社が成功する自信があること
・社内説得は小さな販売実績、顧客の購入意思を示す反応、信頼ある事業リーダーの存在がメインシナリオ
・事業立ち上げ、通常業務との違いは常に顧客、先行者から情報取得し、機動的な戦略修正を繰り返すこと
・熱意が実業家の唯一無二の素質