あらすじ
日常生活から難解な科学理論にいたるまで、現代のネット社会では、欲しい情報の入手にはほぼ困らない。では、人はなぜ学校に行くのか。教師や教科書を通して知識を得るためか、それとも経済的に恵まれた仕事につくためか――長年アフリカをはじめ世界の教育政策と歴史を研究してきた著者が、自身の試行錯誤を振り返りながら、「学ぶ」という人間の本質的な営みの核心へと迫る。AI時代の到来を見据えた画期的論考。
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Posted by ブクログ
アフリカの教育のフィールドワークに教育批判が含まれ、最後はAIの問題となっていて多岐にわたる。5章までのアフリカの教育のフィールドワークで教育と開発の問題を中心として読むことで、ユネスコを中心とした教育開発の歴史や現状がわかると思う。6章からあとのことは付け足しなのかもしれない。
Posted by ブクログ
著者は早稲田大学を卒業した後、アメリカの大学院へ行き、専門を比較国際教育学とアフリカ研究、として博士課程を終えている。今は名古屋大学大学院国際開発研究科教授。アフリカで、4半世紀に及ぶフィールドワーク、歴史探究から見えてくる「知」の本質の答えを探る。
本の内容は硬く、アフリカに行って調査するという著者の情熱は物凄い。学ぶということの本質を、なぜアフリカまで行って探究できるのかが驚きである。しかし、私は、本の内容としては、第5章社会で求められる能力、の章だけが大事だと思ったし、この本の肝になっていると感じた。全9章で構成されているが、やはり第5章の考察が魅力的だ。
とはいえ、その第5章の内容としては、社会で生きていくために必要な能力に関してで、仕事をこなして自立して生きていくためには、どのようなことが必要で、社会はそれを学ぶことをいかに提供できているか、という内容である。学びの本質としての答えは、社会で生きていく能力という感じだが、もっと哲学的な答えを期待してしまったところがある。