あらすじ
嫉妬が嘘をあぶりだす、学園青春探偵物語!
蛇谷さんは、おかしい。
「ああ、本当に――妬ましい」
蛇谷カンナ。園芸部所属。美しい花を憎み、雑草の惨めさを愛する女。
黙っていれば怖ろしいほどの美人なのに、口を開けば怒涛の毒舌。
好きなものより嫌いなもので自分を語りたい。
その行動原理は全て――「嫉妬」。
こんな残念すぎる先輩と、どうして一緒に行動する羽目になっちゃったんだろう?
答えはひとつ。
嫉妬深くて攻撃的すぎるがために、他人の嘘や悪意を見抜いてしまう蛇谷さんのそばにいられるのが、どうしても「嘘」がつけなくて、本音がなんでも顔に出てしまう僕だけだから。
蛇谷さんが好きなのは、惨めな人、馬鹿な人、自分より下な人、嫌われ者、そして。
犯人――悪者のいる謎。
学校で起こる様々な「謎解き」に立ち向かう蛇谷さんの動機はもちろん嫉妬で、その目的は悪者を追い詰め、知的に拷問すること……なのだけれど。
ぜんぜん尊敬もできないけれど。
それでも僕は、このおかしな先輩のことを――カッコいいと思ってしまうのだ。
青春は、綺麗ごとでは終われない。
嫉妬で嘘をあぶりだす、学園青春“探偵”物語。
※「ガ報」付き!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
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Posted by ブクログ
蛇谷さん、野水くん、かわよ!かわよ!
青山会長のガチ百合もかわよ!かわよ!
あとがきまで読みますと、野中春樹さんのやさしい人柄が伝わってくるお話だと思いました。
ネタバレではございませんが、ひとつだけ、本作の『嫉妬』の例を挙げます。
それは、自分にとって理想を叶えたと思った瞬間、一番劣等感を覚える(=憧れている)人に、その理想を侮辱され、喜び、感動、価値を見出せなくなってしまった人の_嘆きと怒りです。
嫉妬は、卑しく、稚拙で、愚かで、そしてどうしようもなく愛おしい。心がまだまだ幼く若いからこそ出会う感情。けれど、恋は病と言いますように、そんな未成熟な想いに真剣に自分なりに向き合おうとするからこそ、同じように真剣に生きている人は惹かれ合うのだと思います。
それに、どんな立派な大人も、そう見られるよう振る舞っているだけで、幼く、若い頃と同じように、試される度に怖い想いをしますし、理不尽な圧力には悔しさも覚えます。誰だって、慣れていたり、そう見えるというだけなのです。大人だって、嫉妬だらけです。それは無くなりはしないですし、それも心の、私たち自身の大切なものだと納得できれば、他者の嫉妬もまた、不思議と、愛せるようになる気がします。
歪な欲望を満たすために探偵をしている蛇谷さんが、素直すぎる野水くんに惹かれて、ほんとうのさいわいを探していくお話。
あなたの心が穏やかに癒されていくことを願って__
※
以下、ネタバレを含みます。
感想、兼、個人的な雑記です。
時間の許す方のみお付き合いください。
・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
いろいろな女の子たちのハグシーンが多いのは、野中さんの願望(?)なのか、性癖なのか。私にとってもごちそうでした、ありがとございます!(限界オタク早口)
なんといっても、野水くんが慕われる理由ははっきりしているので、なんとなくハーレムになってしまう、主人公AとヒロインBみたいな、記号が恋愛ごっこしている希薄さではなく、しっかり、生きている人のときめきが伝わってくる臨場感が好きだなと思いました。
真咲さんの暢気なハグもかわいいながら、一番ドキドキしたのは、青山さんが泣きながら抱いてくる場面です。蛇谷さんがどれだけの想いをこめて野水くんを愛しているのか。その理由がわかってしまっただけに、彼女も全く同じ気持ちで愛してしまったのでしょう。彼女の恋路を応援したいと想いながら、同じほどの強さで、彼に惹かれているもどかしさ。そして、そんな涙ながらの抱擁でも、計算づくな嘘つきな性格は変わらないですし、それほど愛した彼のことよりも、蛇谷さんへの「大好き」は尚更情熱が込められていて……青山さんの個性が洪水状態ですよ。月刊百合姫購読者のわたくし、ストレートラヴの素晴らしさを感じながら百合の胸キュンが楽しめる本作は素晴らしいと、拍手喝采でございますよ!(限界百合カプオタク早口)(ここまで0.05秒)(蒸着ッ!)
お気に入りのシーンはたくさんあるのですが、語り出すと、まるで副音声つき本編の如く、全文を挙げてしまいかねませんので、ここまでとさせて頂きます。笑
最後に、個人的脳内劇場の配役紹介です。
推しのRewriteキャスト多めです。
野水:森田成一 蛇谷:喜多村英梨
青山:花澤香菜 真咲:黒沢ともよ
白峰:志崎樺音 小森:田中涼子
渋沢:篠宮沙弥 椎名:紡木吏佐
桜庭:田中あいみ
カオル:神田沙也加
です。他にも役はありますが、なんと申しますか、いわゆる悪役の適任が想像できず、そこはぼんやり補完で読ませて頂きました。
詳しい方はピンときますでしょうか。
その通りです。
ほとんど、Rewrite、IDOLYPRIDE、ブシロード、に由来しています。
カオルさんの命懸けの救いを見ていると、どうしても、長瀬麻奈ちゃんと、神田沙也加さんを思い出さずにはいられませんでした。麻奈ちゃんの事故の真相は、作中でも深くは触れられていませんが、似たような出来事があったのではなかろうかと考えております。彼女の血潮が、川咲さくらちゃんの命を救ったように。事故現場の儚い命を救って、斃れたといったことが、あるいはあったのではなかろうかと。
森田さんと喜多村英梨さんは、いわずもがな、天王寺瑚太郎さんと千里朱音さんです。やりとりがそっくりなんですよ、野水くんと蛇谷さんは。笑 もう、かわいいのなんの。しかも、意図しないとはいえ、彼女の身体に触れるたびに、甘く喘がせてしまうあたり、野水くん、身体の相性も抜群に良さそうです。Rewrite本編においても、事実上明らかに行われたであろう性行為を連想させる√は、朱音さん√だけでした。※これはアニメ版のMoon編でも語られたいます。「あの会長と大人な関係になったり!」と、可能性世界の出来事を回想しているコタさんの様子で明らかです。
つまり、ヤることヤって尚、相性抜群で愛し合えるカプって、最強すぎて、推せるところしかないという話です!笑
真咲さんは、名前が似ていることもあり、着ぐるみのギャルということで、もう確信的に、奥沢美咲さん———ハロー!ハッピーワールドの黒沢ともよさんを連想せざるえませんでした。
白峰さんと椎名さんのお二人も、白金燐子さん、チュチュ様の印象からお招きしております。あるいは、一柳隊・安藤鶴紗さんにも近しいものがあります。
桜庭さんは、あざとかわいいからのブチギレ芸ということで、うまるちゃん……にも似ていますが、どちらかというと、スリクス・kanaさんから連想していました。
小森先生と渋沢さんは、どちらもRewriteキャストです。
特に、小森先生が、生徒への愛のために本気で怒る場面は、田中涼子さんの芝居が輝く素晴らしい一幕でした。