【感想・ネタバレ】殺人は夕礼拝の前にのレビュー

あらすじ

英国の田舎町チャンプトンの司祭ダニエルは悩んでいた。教会のトイレ設置をめぐって住民が真っ二つに割れてしまったのだ。そんななか裕福な地元の名士が夜の教会で殺された。住民をまとめあげ、犯人を突き止めるには司祭が適任だ。狡猾な犯人にダニエルが挑む。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

オリーブ色の背景にステンドグラスのような図柄と聖書を読み上げる親娘の姿。
そんな装丁だから宗教色強めなピリピリした雰囲気を纏う物語かと思ったが、冒頭、教会の説教の場面で司祭が放った言葉。
荒野で怒れるイスラエルの民達を前にモーセが岩を打ち、奇跡の水を湧き出させ、苛立ちと乾きを鎮めた場面を模して、
わたしたちも新たな水が流れることを、というか水を流すことを、認めようではありませんか。みなさん、わたしたちには新たなトイレが必要なのです」
ここから、教会へのトイレ設置をめぐるスモールタウンでのいざこざへ発展。
真面目で理性的で寛容、慎み深い発言の中にときに茶目っ気を含ませる、主人公で司祭のダニエル。

ダニエルが静なら、母オードリーは動。
ダニエルの代わりにとばかりに噂話に首を突っ込み情報収集。
誰にも物怖じせずに、そこまではっきり言っちゃう?とばかりにずけずけと発言する。
この母息子コンビの凸凹加減、町の人々とのやり取りにそこはかとないユーモアが散りばめられており、序盤はどちらかというとコージー感強め。
そう言われてみるとこのタイトル、かの国内ユーモアミステリがよぎりますね。

とはいえ現役の司祭さんが書いたと言うこの作品。
凡百のコージーミステリにはない、神への信仰を下地にした雰囲気が強く漂う。
教会や教区内の会議などの事務的な記述はもとより、礼拝、祈り、聖歌と切ってもきれない日常や聖書の言葉が自然に入り込んでくる感じが特徴的。
何よりダニエルの人格者然が良すぎて感服。
こんなにも自分と異なる人々を受け入れられる度量の大きさ、心の平静さはどうやったら手に入れられるのだろう。
対立に対して引き下がるわけでもなく、相手を責めるわけでもなくな切り返しは人間の成熟という観点で大変勉強になりました。

事件はこの町の一大イベント、町の名士ド・フローレス卿のお屋敷の一般公開日に起きる。
たくさんの人々をもてなした後に訪れるほっと一息の時間にド・フローレス卿のいとこアンソニーが礼拝堂で殺される。
こんな辺鄙な街では滅多に起きない殺人事件。
近くの歴史的史跡に人の立ち入った形跡があればそこもあっという間に警察に封鎖される加熱ぶり。
そんな中でやはり発生した2件目の殺人事件。
「二週間で殺人が二件もですよ。イギリスのいなかの村にしては多すぎでしょ、セント・メアリ・ミードでもかなわないわ」。。。

かの村の犯罪発生率にはそこまで詳しくはないが、それなりなのでは。。。
いやそれはともかく、チェスタトン路線なのかクリスティ路線なのかそこが揺れに揺れる感じを受けた。

ダニエルが事件に対する洞察を受ける一幕。
「キツネは多くのことを知っているが、ハリネズミは大事なことを一つだけ知っている。両方にはなれないんですね」
「おそらく、ハリネズミはキツネ的に、キツネはハリネズミ的にと心がけるべきなんだろうな。一歩下がってみたまえ、、、」
うーん、チェスタトン寄りか?

本国では第3作まで出ている模様。
続編は、邦訳されるのか!?

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2025年06月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

英国の田舎チャンプルトンで教会にトイレを設置するかどうかで、村が真っ二つに。そんな中、地主一族の関係者が剪定ばさみで喉を切られて殺害された。被害者は死の直前、教会で何かを調べていたらしい。更に戦時中の村の歴史を調べていた元校長も殺害される。村の司祭ダニエルは遺族や住民に寄り添い話を聞くうちに、村の歴史と住民の裏の顔を知るようになっていく。

教会にトイレを設置するかどうかで、村が二分されるってあんまり理解できない…。読みやすくて良かったけど、もう少し盛り上がりがあっても良かったかな〜。

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2025年10月30日

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