あらすじ
四世紀初め、第十一代垂仁天皇の治世下、土師氏の開祖・野見宿禰の一代記。宿禰は殉死をやめ、土人形(埴輪)の埋葬をもって、殉死にかえることを提案した。
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Posted by ブクログ
短編ですが、安彦良和氏の古代日本ものの中では『ナムジ』に並んで最も好きな作品です。魅力的なキャラクターをこれでもかと登場させて神話伝承の世界に血を通わせ、生き生きと描き出すことに成功していると思います。物語が明るく終わっている点も良いですね。
因みにこの作品に登場する本牟智和気尊の言語遅滞問題は、私にとって特別な意味のあるエピソードです。最初に古事記の現代語訳を読んだ際は、「古事記は時の権力者の都合のいいように捏造された物語だ」という説を予め耳にしていたため、やはり頭の片隅にそうした先入観がありました。ところが読み進むうちに、「これは比較的伝承に忠実なのでは?」と次第に思うようになったのです。
まず旧勢力の大国主命の国造りが詳細に語られているところ。仮に自分が「時の権力者」だったなら、旧勢力の首領の苦労話など全部カットしてしまうことでしょう。そして日本武尊のエピソード。仮にも皇子である人が実兄を惨殺して親に疎まれ、遠征という名の3K労働に従事させられたなど、さながら皇室の黒歴史です。馬鹿正直に書く様な内容ではありません。極め付けが本牟智和気尊の言語遅滞エピソードです。「本牟智和気尊の言語遅滞は大国主命の祟りである」などと書くのは、「大和朝廷は大国主命に連なる出雲系の一族に後ろめたいことがあります」と自ら暴露しているようなものではありませんか。また、当時の人々は現代の政治家や官僚よりも遙かに信心深く、何か凶事が起こる度に「政治的敗者の祟りに違いない」と本気でビビっていたことも忘れてはならないでしょう。祟りが怖ろしくて捏造など到底出来なかったのではないでしょうか。
ですから、この作品に本牟智和気尊の言語遅滞エピソードが登場した時は思わずニヤリとしてしまいました。安彦良和先生、お流石です。
Posted by ブクログ
安彦良和さんの絵がとにかく好き
古事記シリーズの世界観と絵が魅力的すぎる
読みやすいかと言われるとそうでもない
が、魅力がいっぱい詰まった作品