あらすじ
「AbemaTV」、ラジオ「飯田浩司のOK! Cozy up!」、ネット番組「チャンネルくらら」「ニッポンジャーナル」「魚屋のおっチャンネル~パーラー異世界」でおなじみ、日本人初・北京大経営戦略博士号取得、現在インド大学研究フェローを務め、中印30億人を研究対象とする中川コージの最新分析!
中国との取引はやばいと思っている皆さん!
日本の勝ち筋を伝えます!
崩壊しない中国、インドは急成長。アメリカ頼みも通用しない、米中印G3時代を生き抜く大戦略
経済インテリジェンスが国民の命運を左右する
■居酒屋トークレベルの対中解像度では国を誤る
■軍事忌避の風潮が遠ざけてきた産学と安全保障
■中国にはできない、日本だからできる信頼あるデータ取引所
■中国が「軍民融合」を推進しなければならなかった理由
■中国政府を最も信用していない人たちに学べ
■「中国のデータを日本が販売する」ことで得る「勝ち筋」
■「インド」という変数を踏まえ、100年先を見据えたシミュレーションを
本書は、「最近話題の経済安全保障って何だ?」「中国との取引はヤバいんじゃないか」などと思われている方に向けて、論点を平易にまとめた本です。
ですが、そもそも経済安全保障という概念自体がこの数年盛り上がって議論されてきたものであって、歴史も浅いものですから、基本的な知識を集約している本書を眺めただけでも、経済面を含む中国の関係をどう構築していくべきなのかなど、経済安全保障の基本概念がつかめるのではないかと思います。
加えて、著者なりの「日本にはこうした点が欠けているから、あれこれカクカクシカジカこうしたほうが良いですね」「経済安全保障をイデオロギーや力学など無形資本の疑似戦争として捉え直してみると6つの概念が…」といった戦略的考察も盛り込んでいます。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
経済安全保障というキーワードはまだ国内でも明確な定義や共通認識が定まっていないが、本書を読めば国際情勢に対する冷静な理解に基づき、現実的に日本が何をすればよいか見えてくる。
著者の中川コージ氏は救国シンクタンクでのハイブリッドストラグルに関する提言をされており、過去の著書でも中国(中国共産党をトップとする中華人民共和国と人民解放軍がぶら下がっている構造)に関する分かりやすい解説をされていることは知っていたが、
当書では、上記の中川コージ氏の専門的な領域のみならず経済安全保障という広い領域で分析と提言をされている。
ウイグル、GDPR、三法、ベリングキャット、カウンターインテリジェンス等の最近個人的に興味を持ってきたキーワードが散りばめられていることで、最後まで興味を持って読むことができた。
対中国としての経済安全保障を考えるとき、日本人は郷愁も含めてデカップリングやブロック経済的なことを考えるが、
多くの産業が世界的なサプライチェーンで成り立っていることや中国の枠組みに参加する国が多く、逆に米国をはじめとした先進国に足並み揃える国が減っていることを前提にすると、
そうした経済安全保障論は現実的ではない。
中国の持つビッグデータを日本の信用により取引する、という当書記載の例のように、超大国が持つ資源などに対して日本が持つ優位性を当てはめて、かつ日本がなければうまく世界が回らなくなるようなルール作りをすることが理想である。
先進国と相容れない人権意識を持つ途上国や非民主主義国家は中国の一帯一路構想に参加しやすく、
中国としても一度拡げた構想であるが故に、
債務の焦げつきがあろうが、党の熱意もあり、徹底してこの枠組みを利用し続けており、
一帯一路はオワコンにはならず、このまま生き続ける。
インドは向こう100年の間に米中と一緒にG3となることが見込まれる。
親日ではなく、親中でも親米でもない新たな超大国との関係性を日本は本気で考える必要がある。
中国は2049年までに米国を凌駕することを目指している。
それまでは国際連合ベースの秩序をうまく活用していき、今後の新秩序形成又は米国の弱体に応じて適したシナリオで仕掛けてくる。(台湾に対して)
そのときに日本だけが一人負けしないような準備が必要。
経済安全保障としての国内の政策は、米国の真似事では総花的になり、メリハリのないコスト投下になる。
インテリジェンス、先端的な産業への投資、サプライチェーンの強靭化等やることは多いが、日本は地域大国だが非超大国であること、そしてこの先G3となる世界を見据えて、ニッチな領域で強みを作り、世界の仕組みの中で欠かせない立ち位置を作る必要がある。