あらすじ
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西洋建築史と日本建築史の古代から近代までの、大きな流れが把握できる。また組積造や軸組構造といった構造からみた章構成とし、テーマごとに歴史的建築の空間や意匠を解説する。大きな建築史の流れを把握しつつ、建築の造形を見る楽しさが味わえる1冊。
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Posted by ブクログ
ギリシャ建築=高貴なる単純さと静かなる偉大さ
古代ギリシャは純白の文化
ロマネスク=壁が多く、堂内は薄暗い、半円アーチ、単純素朴
コルビジェはル・トロネ修道院を参考にしたらしいけど、確かに光の入れ方がロンシャン礼拝堂と似てる。しかし、ロマネスク建築ってほぼ田舎にあってめちゃくちゃ行きづらいよね。ゴシック建築に比べてアクセスが悪すぎる。
日本の建築の配置の仕方が、中国の左右対象配置ではなく、空を並んでとぶ雁の行列みたいな形の雁行配置である理由は、
①多湿な環境だから、通風をよくしたかった
②山が多く平地が少なかったから山の谷筋の地形に沿うように雁行型になった
③日本建築は雨が多いから軒の出が長く、屋根が重いから左右対象の大空間は作れなかった
etc...
みたいな色々な説がある。そこから日本は左右非対称のものを是とする風潮になったんだろうな。
フランスの美術批評家が日本人はコルビジェを過大評価してるっていう意見に同意したw8日しか日本に居なかったフランス人のおっさんが作ったこの見るからに微妙な建築をコルビジェだからって褒めてる人居てびっくりしたことある。これ見るからに微妙だけど、中入っても微妙だよね。フランスにあるコルビジェの建築は好きだな。
後期ゴシックのゴシック建築の集大成であるパリのサントシャペルがここまで開口を作れてステンドグラスが張れるようになった技術の進歩には感動しかないな。これはアーチの崩壊の原因であるスラストという力を支えるタイバーを付けてるから、ここまで開口が取れるんだよね。分厚い壁で崩落を支えるしか手段が無かった時のロマネスク建築の開口とは大違いだな。
マニエリスム=後期ルネサンス
マニエリスムとは、美術講師に助走付きで殴られるレベルでざっくり言えば「自然を超えて美を追求する思想」。だからマリアの首は不自然に長く、幼児イエスの体は不自然にねじれて長く、天使達を含む登場人物全員が不自然にお肌ピカピカなのです。なおこのマニエリスムという言葉は、マンネリズムの語源とされています。
右がお姉さんのように見えます。異常に首が長いのはちょっとマニエリスムの影響を受けているのかもしれません。
16C【マニエリスムの時代】
ミケランジェロの模倣から発祥し極端な強調、歪曲を行って写実主義を離れた独自の美を追求。デフォルメ表現の先駆。代表はポントルモ、ロッソ。フランソワ1世に好まれてフランスで隆盛しフォンテーヌブロー宮殿の装飾に反映された。
マニエリスムは、完璧すぎて表現の余地がなくなったから、意図的に“崩し”や“ずらし”の美学を探求した。
ルネサンス→マニエリスム→バロック
JOJOの絵って美術で言うとマニエリスム感あるよね
現在のAI動画界隈はルネサンス後に訪れた16世紀のマニエリスム(技巧主義)に似ていると思う。技術ブレークスルー直後で、何ができるかを競い、技巧ばかりが強調されている。しかし中身が薄い。生成によって情報量は増えたが、伝達すべきメッセージが不在だからだ。
8稜星はイスラムの国の印
ドーム建築の天井が格天井になってたり、リブが付けられて居なかったら下から見ても球体に見えないからリブ等が付けられた。リブは構造的意味合いと装飾的意味合いの両方ある。
ロンドンのイギリスバロックの代表作のセントポール大聖堂のドームはレンガ+レンガ+木造の三重殻らしい。手が込んでる。ちなみに、セント・ポール大聖堂は、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』で占い学の教室の階段として登場したらしい。
カテナリー曲線は建築の中に偶然には存在したけど、意識的、理論的に使ったのは19世紀後半で、ガウディが初めてらしい。放物線はとっくの昔の紀元前の古代オリエントで既に使われてたらしい。ガウディが偉大である由縁はここだろうな。ガウディ建築はアール・ヌーヴォーとも言えるし、組積造の最終形態を作った人とも言える偉大な人だな。
ウィーンの建築家のオットーワーグナーが鉄骨で初めてドームを作ったらしい。ドーム自体は組積造から生まれた形だけど、鉄骨材をトラスにすれば球形を簡単に作れるからね。西欧の人はDNA的に曲線とか球体という形自体に馴染みがあるけど、日本人は特に曲線とか球体に馴染みがないイメージ。
ウィーン建築ってなんか貴族趣味が全面に出過ぎててあまり好きじゃない。チェコの旧市街みたいに街人が形成した感のある街並みの方が味があってオシャレで可愛いと思う。
ウィーンのシュテファン大聖堂の屋根は戦前は木造で作られてたから、戦災で屋根だけ燃えて消えたらしい。でも改修後のこのモザイクタイルとハプスブルク家の双頭の鷲の紋章可愛い。
ネオクラシズムの建築家のシンケルって建築は堅苦しいぐらい正統派なのに、絵はこんな感じなんだ。意外だった。
ピラスターは装飾的な柱で構造的な意味は無い。
鍛冶屋は鉄を叩いて炭素を取り除く仕事
ディズニーのクリスタルパレスって、火事で無くなった伝説のロンドン万博でお披露目されたクリスタルパレスから取ってるんだ。やっぱディズニー凄いわ。もう建物は無いけど、イギリスのサッカーチームの名前として残ってるの良いよな。
シカゴ派のルイスサリヴァンってゲイなんだ。
73mのヴォールトとか産業革命の鉄の量産がいかに革命だったか分かるな。
組積造と木造しか無かった時代は片持ち梁(キャンティレバー)が出来なかったけど、産業革命後にRC造とS造が出来てからキャンティレバーが可能になり、横に長い開口を作れるようになった。
ボウウィンドウ=出窓
シカゴ派 合理主義
ドミノシステム=ジョイストスラブ=中空スラブ
フランク・ロイド・ライトはコルビジェ嫌いでミースは好きだったらしい。
ミースは退屈という評価があるのか
モデュロール=モデュール+黄金比
ベルリンの表現主義のアイコンであるアインシュタイン塔
今日3月21日は建築家E.メンデルスゾーンの誕生日(1887年)。彼の処女作「アインシュタイン塔」は相対性理論を実証するための観測施設(太陽望遠鏡)でした。なお、日本にも同名(通称)を持つ建物があります。国立天文台三鷹キャンパスにある太陽分光写真儀室です。Image Credit: Doris Antony
ブリーズソレイユ=パラソル=日除け
建築の分節化あるいはエレメンタリズム
神は細部に宿る と less is moreはミースの言葉
マリオン=ガラスを支える方立
バルーンフレーム=シカゴ構造=ツーバイフォー構法=枠組壁構法
日本の建築技術は世界一かと思ったけど、木造に限ってはそう言い切れるらしい。東大建築出身の人が言ってた。
日本人のスピ的な感覚的に"斜め"が嫌いだったから、建築に斜めの構造材の筋かいを使わなかったら、阪神・淡路大震災でやばいぐらいの被害が出てから斜めの筋かいを使うようになったらしい。本当に痛い目に合うまで"斜め"を嫌う日本人逆に凄いなと思った。筋かいが一般的に使われるようになったのが1995年てだいぶ最近だよね?
パリ郊外にあるオーギュスト・ペレのノートルダム・デュ・ランシー教会超良い。これRC造だからこそこんだけステンドグラス張れるんだよね。超綺麗。
ツーバイフォー工法は伝統的な在来軸組よりも釘を大量に使うから、鉄が量産された産業革命以降に日本に入ってきたものだけど、伝統的な木造在来軸組工法より合理的で職人の技術も必要なく(職人が師匠に弟子入りして技術を学ばなくていい)、プレファブで作れば工期も早くて、構造的にも強いのに、日本ではそんな使われないってエピソード本当に日本を表してるよね。正直、ツーバイフォーって構造だから隠れる部分だけどなんかダサいんだよね。日本人の美学にとにかく合わないんだろうなというのが見るからに分かるよ。
ツーバイフォーの利点は材木の規格が5種類でほぼ出来上がる合理性。日本古来の在来軸組工法だと構造材だけで約10種類。羽柄材は地方により様々。更に和室の造作材なんて何種類あるんだって感じ。何ならグリッドだって京間と関東間じゃ違う。ホールダウン金物を含む金物が変わりました。
1995年以前から筋交い金物もありましたが形状・厚さ・設置箇所・ビスや釘の太さ種類等々が大きく変わりました。
ザハ・ハディド建築好きな人多いけど、ザハ・ハディド建築ってあまりにその都市との文脈が無いというか、デザインが3Dモデリングに頼り過ぎてるというか、非人間的な所がなんか好きになれない。
詳しいですね。ツーバイフォーは日本ではメディア戦略的に利用されてましたが、もともと貧民が自分達の力で家を建てたため生まれた工法です。そして貴族階級から風が吹いたら飛んでいきそうな家としてバルーンフレームと笑われたのが由来です。
ハンマービームは最高級の小屋組み
屋根を支える為に、「てこの原理」を使った尾垂木があるんだけど実物を見るとわかりやすかった。
青線で囲ったのが尾垂木。
【法隆寺五重塔】
四隅の肘木と尾垂木もゴツく骨太にも見えるのですが、雲形組物と卍崩しの高欄によって優美で繊細に見えてくるのが不思議
三手先組物、見た目がゴージャスかつデカい。組物は人以上にデカいとか衝撃。
この組物って日本では、宗教施設にしか使われなかった構造材で、中国と朝鮮半島では、宗教施設と住宅垣根無く使われたらしい。こういう所からも、日本人無宗教と言う人が多いけど、国的には凄く神様と人間を明確に区別してる印象あるスピリチュアルな国だなと思う。
地円飛角:
地垂木(下)の断面が丸型なのに対して飛檐垂木(上)の断面を角材にする様式。奈良時代に全国に広まり、平安時代以降はどちらも角材にする様式に変化。
地垂木、飛檐垂木、組物とかは基本構造材として過去にあって今は無いものだけど、意匠的な意味合いとして見ても美しいと思う。
知恩院御影堂修復現場で露わになった桔木(はねぎ)。優美な日本建築を裏で支える立役者。貯木場と見紛うばかりの丸太の群れに圧倒されました。
尾垂木は見える軒先支えで桔木は見えない軒先支え
上層に小屋組み組んでます。
社寺建築にはこの深い軒を支えるには桔木が重要ですが、まだ入ってない。
見えない所に本当は大切な物はあります。
桔木 はねぎ
隅扇垂木って日本に3棟しかない。
平行垂木→和様、法隆寺
隅扇垂木→大仏様、東大寺南大門
扇垂木→禅宗様、円覚寺舎利殿
興隆寺東金堂はネオクラシズム
イオニア地方(現トルコのイズミール辺り)から生まれたイオニア式オーダー。この渦巻き模様は、幅が等比間隔で広がる対数螺旋。自然界にある巻貝も対数螺旋。対数螺旋は黄金比と関係がある。女性的で優美なデザインと言われている為、Diorがイオニア式オーダーのドレスを発表したことがある。
イオニア式は巻貝の等比間隔の渦の対数螺旋が使われてて、コリント式は植物のゼンマイの等差間隔の渦のアルキメデス螺旋が使われてるの凄いな。古典様式は凄く数学的だな。建築見ると人間って凄いなと思う。
コリント式は複雑なオーダーだからか古代では稀にしか使われなかったらしいけど、デザインのモチーフはアカンサスとゼンマイの上に籠を置いてるイメージのかなり写実的で華麗なデザイン。作るのも大変そう。アカンサスはギリシャの国花で夏に咲く花で、ゼンマイは春の高尾山でよく見かける。
コーニス=垂木
パルテノン神殿はオーダーの柱芯がズレてるけど、アルテミス神殿はオーダーがグリット状に配置されてる。
日本の伝統の寺社建築で、日本特有の軒先が長い重い屋根をテコの原理で支えてる桔木(はねぎ)っていう外からは見えない重要な構造材があるんだけど、私は桔木みたいな人間になりたい。
アンドレーア・パッラーディオの言葉
「建築も自然の模倣であるのだから、自然が容認したものからかけ離れていたり、遠ざかっていたりすることには耐えられないのだ、といいたい。」
インテリアにモールディングを使うとヨーロッパぽいインテリアになるということ?
古代から近世の建築はモールディングやらオーダー(柱)の表層形状を延々と考えてるイメージがあるけど、近代のモダニズムに入ってから表層形状を完全に無くして、デザインの力点を空間そのものに置いたのがル・コルビュジエだよね。ル・コルビュジエの師匠のオーギュスト・ペレはパリのエコール・デ・ボザールで正規教育を受けてるからコルビジェみたいに思い切った抽象性には踏み込めなかったらしい。私は学校教育そんな否定派ではないけど、このエピソードみたいに学校教育が発想の邪魔になってることはめちゃくちゃあるんだろうなとは思う。
カリアティード=女像柱
シンメトリー(左右対称)は、ギリシア語のシュムメトリアが語源。神殿をはじめとする寺社仏閣は左右対称の形状・構造が基本。
現代では、左右対称であること自体が神聖性の象徴みたいに評価されますね。
シュムメトリア→シンメトリーのギリシャ語。物事を構成する基本単位である数値を見つけ出し、その単位の組み合わせ(倍数-当初は有理数のみでしたが後に√のような無理数も含まれるようになります)によって物事を造形する考え方
三平方の定理を発見したピタゴラスが生きてたのが、ギリシャのパルテノン神殿が作られただいぶ前だから、パルテノン神殿を建てる頃には比例についての考え方に関しては完璧に出来上がってたんだろうなと思われる。だから、古代ギリシャの建築は美しいんだろうな。
パルテノン神殿が視覚補正して建てられてる説は、ルネサンス以降に作られた神話で事実ではないんだ。
トスカナ式オーダー。ドリス式オーダーより簡素だから、本来は軍事施設とか堅苦しい建築に使われるらしい。
エディキュラ=ほこら
ロマネスク建築=ずんぐり、むっちり、量感がある
パリ・オペラ座はネオバロック建築で、ペアコラムが使われている。
ファサード=建築の表面
バロック=湾曲、屈曲、うねり
その宗教の建築見れば、カルト宗教かどうか分かるよね。カルトではない宗教の建築はなんだかんだ美しいもん。オウム真理教の宗教建築は唯の豚小屋みたいな倉庫みたいで美しさの欠けらも無い。やっぱり美的感受性って、全てを包括する気がするから美的感受性を常に磨きたいと思った。
バロック=楕円重合