あらすじ
森で見かける、クモのようでクモでない脚長の生き物、ザトウムシ。
乾燥に弱く移動力が低いため、山や川を越えるだけで、
同じ種でも体の色や形,染色体の数などに違いが生まれる。
単為生殖をしたり,雄が子を守ったりする種類も。
そんな不思議な生き物、ザトウムシの研究に50年を捧げた
世界的なザトウムシの権威による、ザトウムシの本。
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Posted by ブクログ
面白い〜〜〜!!!
ザトウムシについて、なんにも知らない人間でも初歩から知っていくことができた。蜘蛛の仲間だと思っていたらどこがどう蜘蛛と違うのか、なぜ違うと言えるのか滔々と説明が続いて楽しい。ザトウムシとは何か?→ザトウムシの特徴→日本における分布→研究者、と読んで得た知識を元にだんだん広がっていき、基本的に噛み砕いた説明がされていて読みやすい。虫が単為生殖をするの!?という知識レベルの私でも楽しめた。婚姻贈呈のあたりでだんだんザトウムシが可愛く見えてくる不思議。専門的なところもあり、「はじめに」で難しいところは読み飛ばしてもいいよと言われたことに気を良くして染色体のあたりはさらっと読んでしまった。築地書館という出版社は知らなかったが、多くの人が知らない虫についての本をこんなに安く出してくれるなんて!と感動してぜひ『カニムシ』も読もうと思った。カニムシってそもそも存在を知らなかった。
ザトウムシの習性が面白いのはもちろん、ザトウムシ愛に満ちた紹介も、読みやすい装丁も含めて初心者向け!易しくしようと説明を省かれると余計理解できなくなるし、かと言って専門用語がつらつら続くとついていけない。そこがこの本は絶妙にわかりやすい。コラムも多くてのんびり読めるし、ザトウムシのイラストも可愛くて、つるさんはまるまるむしの絵描き歌にも笑ってしまった。生物系の面白い本を薦める機会があればぜひこれを出したい。