あらすじ
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絵画に描かれた「いわくつきの美女」や、様々なエピソードをはらんだ「いわくつきの美女絵画」など、280点の西洋絵画を紹介し、どんな「いわく」があるのかを解説する、他とはひと味違う西洋絵画の入門書。
神話の女神から、キリスト教の聖女、寓意像の美女に、詩や文学に登場するヒロイン、王侯貴族の寵姫(ちょうき)や貴婦人、そして高級娼婦まで、様々なバックストーリーに彩られた「美女たちの名画集」。
■CHAPTER 1
神話画、神々と美女たちの物語~美を巡る神と人の物語
[コラム]
ルネサンスに復活する神話画の美女
■CHAPTER 2
宗教画、キリスト教の聖女たち~その美しさは魂ゆえに
[コラム]
聖書にはない聖母マリアの物語
■CHAPTER 3
寓意画、美女にたとえられしもの~美しきアレゴリーのひみつ
[コラム]
寓意像は女神から様々な象徴へ
■CHAPTER 4
物語画、語り継がれる美女たち~描かれたヒロインたちの運命
[コラム]
運命の女、ファム・ファタール
■CHAPTER 5
肖像画、美女たちのプロフィール~貴婦人から高級娼婦まで
[コラム]
肖像画に描かれた美女たちの歴史
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
美術は奥深い…毎回そんな感想を抱くのですが、この本は美女に特化した絵画を取り上げている特に良書だと思う。
一枚の白いカンバスに色とりどりの絵の具で描くのにこんなに表現できるということは素晴らしい。
特に人物画でこれだけ綺麗に描いてもらえたら嬉しいかなと思う。
実在の人物でないものもあるが、対象が同じでも画家が違うとまた面白い。
美女ばかりを所蔵している所もあるという…素敵だ。
絵画の解説もわかりやすく良かったです。
Posted by ブクログ
「いわくつき」というのがみそらしい。神話画、宗教画、物語画、肖像画などで、美女でなければならないという絵画を選んでいる。美女というからには、個人的感性も関わってくるだろうが、それをなんとか回避してるわけだ。
ティツィアーノ「フローラ」の左手のVサインには驚いたな。これは婚姻によって処女の帯を断ち切り、二人が結ばれる行為を表している。
ギリシャ神話で甚る初の女性とされるパンドーラーの持つ箱(もともとは壺)が子宮あるいは女性性器を表し、そこにあらゆ災厄を詰め込んだというが、女性嫌悪(ミソジニー)も甚だしい。
その他、神話、キリスト教、アレゴリー、物語、宿命の悪女(ファム・ファタール)などでの美女がてんこ盛り。
第5章の「肖像画」も面白い。シャルル7世の愛妾アニエス・ソレルを描いたジャン・フーケ「ムランの聖母子」のおっぱい丸出しも凄いな。宮廷内を自慢のおっぱい丸出しで歩いていたというのだから。ルートヴィヒⅠ世の美人ギャラリーというのにもびっくり。他にもいくつかそんなギャラリーがあるらしい。エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブランの自画像はなかなか可愛い。
まあ、個人的な感想だが、レオナルド・ダ・ヴィンチとティツィアーノの描く美女は隔絶してる。フィリッポ・リッピもいいな。
そうそう、レオナルド・ダ・ヴィンチの「白貂を抱く貴婦人」の白貂(ギリシャ語がガレー)は、モデルの名前ガッレラーニと、パトロンのスフォルツァ公のあだ名の白貂を表している。モナ・リザの微笑は、イタリア語の楽しい(ジョコンダ)がモデルのリーザ・デル・ジョコンダを示している。ヴァザーリ「芸術家列伝」によると、モナ・リザを描く際に、楽士や道化をそばにおき彼女を楽しませたとあり、その場面を描いたチェーザレ・マッカーリ「モナリザを描くレオナルド」(1863)なんて絵もある。レオナルド独特のアトリヴュートみたいなものか。
ピエロ・デ・コジモ「シモネッタ・ヴェスプッチの肖像」の蛇の首飾りは「アスクレーピオスの杖」であって医神を表す。医学はイタリア語で「メディチーナ」で、薬を語源とする「メディチ」家に愛された女性を意味しているとか。西洋絵画は目を凝らして、いろいろなものを読み取らないといけないね。