あらすじ
発達障害の特性が,生きづらさにつながる社会の正体とは――.特性がある人が負った心の傷,「ふつう」をめぐる本人や保護者の葛藤,学校教育のゆがみ…….増え続ける発達障害の周辺を,地方新聞の記者たちが丹念にルポ.人が自分らしく生きることを阻む,生きづらい令和時代の日本を深掘りした大反響の連載を書籍化!
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Posted by ブクログ
発達障害を切り口に、社会の様々な立場の人々を取材。単純に社会の仕組みの善悪を述べるにとどまらない。オフィシャルな市井の研修会などでは得られない実情が記述されている。めちゃくちゃ面白い。おすすめ。
Posted by ブクログ
発達障害などで苦しむ人たちの実体験がたくさん載っている、非常に価値のある本だと思います。そういう人たちの声を聞くたびに、この社会は発達しすぎたのではないかという考えに至ります。狩りや採集、農耕の時代には苦しむことはなかった人たちが、この高度な社会で学力やコミュニケーションが求められ、苦しんでいるのではないでしょうか。社会の理解も必要ですが、発達障害をもつ人が輝ける場が増えるように、行政の支援も今後さらに必要になると思います。
インクルーシブ教育に関して、海外の1クラス10人前後の環境であればうまくいきやすいのでしょうが、日本の30人学級で同じようにやってうまくいくようには思えません。やはり細かい配慮は難しくなります。日本は教育にもっとお金をかけてほしいです。
Posted by ブクログ
社会における「ふつう」が発達障害がある人たちの生きづらさにつながっているのではないかという問題意識の下、発達障害の「早期発見」の現場、インクルーシブ教育の虚実、障害者福祉サービスへの民間参入の光と影など、様々な観点から、増え続ける発達障害の周辺を信濃毎日新聞の記者たちが丹念に取材した連載キャンペーンを書籍化。発達障害がある人たちの生きづらさの感覚をまずは「聴く」ことに希望を見出だしている。
自分にも小さい子どもがおり、他人事ではない発達障害について、多角的に丁寧に掘り下げたルポで、学びとなったし、とても考えさせられた。
発達障害がある人たちには、自分も含めた人々の「ふつう」という意識をはじめとする様々な社会的障壁が依然として取り巻いていることを改めて認識した。
一方で、発達障害がある人たちを受け入れる立場の教育現場や職場の人たちの苦悩もよくわかるところがあり、みんなが生きづらさなく共生できる社会の実現はそんなに簡単なことではないとも感じる。その点で、本書はちょっと「きれいごと」に傾きすぎているきらいがあるようには感じた。
Posted by ブクログ
「土の声を 「国策民営」リニアの現場から」
を読ませてもらった時にも
感じたことだが、
あぁ ここにも真のジャーナリストさんたちが
ちゃんと居てくれるのだ
ときっちり思わせてもらえた
「リニア」の時も
何も考えず、ぼーっとしていると
聞こえてくる(情報)は
お上からのお達しの「こんないいことがある」
一辺倒のうすっぺらい情報ばかりになって
現場の生の声、それも特に弱い立場に置かれた者たちの
悲鳴や、嘆きはどこかへ置き去りにされてしまう
今回の「「ふつう」という檻」もしかり
よくぞ ここまでちゃんと入り込んで、寄り添って
弱者の声を掬い取ってこられたなぁ
と思うことしきりである
こういう優れた「報道現場」の記者さんたちが
まだ この国には いらっしゃることに
大きな拍手を贈りたい