【感想・ネタバレ】子どもの隠れた力を引き出す 最高の受験戦略 中学受験から医学部まで突破した科学的な脳育法のレビュー

あらすじ

塾通いは最小限、睡眠たっぷりで
中学受験成功&医学部まで合格!
脳科学を最大限に駆使した受験戦略
早期教育が過熱する現代において、
よかれと思った教育が、
子どもを追い詰めているケースは珍しくない。
脳科学の正しい知識で育てれば、
メディアの煽り文句や周囲の脅しに流されず、
子どものペースや性格に合った進路を見つけられる。
中学受験から大学受験まで、
長期的な視点で子どものポテンシャルを最大限に引き出す教育法。


目次
はじめに
「いい学校」を目指す子どもたち
子育てで徹底したのは「これ」だけ
偏差値35だった娘が、睡眠時間を削らず医学部に進学
勉強を楽しめる子どもに育てる

第1章 中学受験で心が壊れた子どもたち
ハードな塾通いが子どもの心に与える影響
学習には口を出さない、成績は見ない
学習塾に通うなら、生活の軸に抵触しない範囲で
塾の脅しは真に受けなくていい
実力に見合った学校を選んで塾ナシ受験
受験が決まったら、親は諦める覚悟をしておく など

第2章 子どもの脳がぐんぐん育つ習慣
まずは睡眠時間を確保、余った時間を勉強にあてる
「賢いおりこうさん」が、成長して問題を抱える訳
幼少期の短期的な評価より、中長期的な脳育てを優先する など

第3章 やる気を引き出すには観察力がすべて
成田家では「宿題をしなさい」と言ったことがない
「夢中になれること」が見つからない子どもたち
「やりたいこと」のヒントは、子どもの頃の思い出にある
子どもの「好き」を見つけるなら、とにかく観察
「得意」や「好き」を見つけても、親は下心をもたない
観察するためには、子ども部屋はなくてもいい など

第4章 無理せず合格できる! 省エネ勉強術
中学受験のメリットとデメリットをフラットにプレゼン
中学受験は子どもの実力×相性で選ぶ
偏差値だけで志望校を選んではいけない理由
「建学の精神」とオープンキャンパスで相性を見極める
中学受験は「こころの脳」を育てる絶好のチャンス
受験勉強が苦痛なら、志望校が合っていない可能性も
小学生の可処分時間は限られている
受験生の子どもがゲームばかりしていたら
不合格は人生における失敗ではない など

第5章 教育にお金をかけすぎない
習い事を始めるなら、親が好きなことに子どもを巻き込む
親が率先して楽しむ姿を子どもに見せる
親が熱血コーチだと、子どもの自己肯定感は下がる
習い事は数を絞り、辞めさせる勇気をもつ
本当は怖い早期の英語教育
海外居住経験ゼロの娘が帰国生クラスに入れた理由
「英語欲」のきっかけを置いて待つべし など

第6章 脳を刺激する親子のコミュニケーション
子どもから言葉を引き出したいなら「オウム返し」
子どもからのおねだりは経済教育のチャンス
ロジックは大事。でも正論はほどほどに
イエスノークエスチョンは出さない
「褒める」のではなく「認める」
中学生以降は、親は「少し年上の友達」になる など

第7章 自己肯定感は生活の中で創られる
脳の処理速度を上げて勉強時間を捻出
受験に失敗したら話しておきたいこと
浪人中の娘に朝食係を任せた理由
娘は浪人中に「集中して勉強する力」を伸ばした など

第8章 子どもの世界が広がる大切な経験
学童は子どものヒエラルキーが顕著になる小4で卒業
海外体験は何歳になってからでも遅くない
子どもの世界を狭める「利己的な子育て」 など

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Posted by ブクログ

受験戦略というよりは、子供の能力形成、特に“脳について“の影響を学べる良書。だが、自身の子育て体験やポリシーを熱弁する所については完全に賛同できるものではない。

― ある実験では、赤ちゃんにテレビモニターから母親が呼びかける画像を見せます。この時、赤ちゃんの脳はほとんど活性化しませんが、実際に目の前に母親が立って話しかけると、赤ちゃんの脳は強烈に反応します。つまり、二次元と三次元では子どもの脳の捉え方は全く異なるということです。人間の脳は、人間が刺激することで育つのです。

例えば、脳についてはこのような話が面白い。人間の脳は、人間が育てる方が効果的だというのは至言である。また、次の話も印象的だった。

― 実際、私たちのもとにはバイリンガル教育に失敗した結果、子どもの脳が深刻な状態になってしまった親子がたくさん相談にみえます。少し専門的な話になりますが、Broca(ブローカ)野という前頭葉の言語機能を司る場所があります。幼少期から母語と第2言語に接してきてうまくバイリンガルに育った人の脳では、二つの言語を司るこのBroca野の領域がより接近している、つまり二つの言語を極めて自然に行き来して使えるようになることが証明されています。同じ現象は、他の言語を司る部位でも証明されています。ところが、これがうまくできない場合もあり、極端な場合には、第1言語は右脳で、第2言語は左脳で、というように処理する部位がとても大きく離れてしまうのです。

例えば英語で考えたことをスムーズに日本語に言い換える、ということが難しくなり、母語で習得する学習の場面でスムーズに内容を理解することができなくなることもあるのだという。私の先入観もあるが、確かにバイリンガルの同級生が何か母国語での学習に苦戦しているような印象を持ったことがある。

次の話は、どうかなと思った内容だ。

― 娘も私を見つけると、「ただいま!楽しかったよ~!」と満面の笑みで駆け寄ってきました。その瞬間、私は「ちょっと来なさい」と娘を停めておいた車に連れて行き、そこから1時間のお説教を始めました。この時の娘は11歳、「こころの脳」である前頭葉はもう育ち始めていてもいいはずです。それならば、自分がこの1ヵ月間のキャンプに参加させてもらうために、親がしてくれたことに思い至ってもいいはずです。費用の負担をはじめ、渡航に必要な予防接種や同行してもらうスタッフさんへの挨拶、荷造りなど、親のサポートの上にキャンプ体験は成立しているわけです。ですから帰国して最初の一言は、何を差し置いても「ありがとうございました」でなければなりません。そのことをブラジルから帰国して早々、約1時間かけて伝えたわけです。

久々に海外から帰ってきた小学生に対し、1時間も説教するというのは共感し難い。この説教が脳科学的に正当化できたとしても、人間的には、私とは異なる考え方だ。異なる考え方でも、別に良いわけだが。

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2025年11月28日

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